権力とはこう使う
現状、両親はサムトールの邸宅にいて私は元々サムトールの人間です。
高位貴族向けに設立された国立の学園などを覗けば、大公国にある魔法学園は地方の貴族の私立学園。
国立と比べても遜色ないレベルの教師を集めていて、算数レベルまでしか教えていない一般向けの学園とは教育方針がまるで違う。
学園長曰わく、とことん学べる学園である事がモットーだそうだ。
希望者はいないが、望むのであれば、大学レベルまでサポートしてくれるそうだ。
ただ、就職先は自分で探せと言われた。
特定組織との癒着を避けるためとか話していたが、就職先が欲しいなら他へ行けというかなり異例の学園でもある。
サムトール国内にあるのは、大公国にそうした学園がなかったかららしく他国の生徒の働き口は斡旋してやるのは釈然としないだなんて話していた。
ただ、卒業生の多くがツテを頼り、サンデックやサムトールにある都市に定着しているなんて噂がまことしやかに流れている。
大公国はバリバリの貴族主義ですから、役所はおろか平の軍人ですら貴族の口利きがないと就職できない。
ちょっと優秀な平民がどこに就職しようと注目する事はないそうだ。
そして、学園長は偉いけど外への権力がないから偉くいられんだそうだ。
普通、外の権力と癒着してこそ偉いんじゃないかな?
あ、でもサンデック側には何かしらあるのか。侯爵がバックにいて、大公国に何か指示されても“私の一存では…まずサンデック侯爵に相談を…”とか話せば無茶いわれないのか。
悩む必要がないなら、雇われ店長とか中間管理職もいいな。
そうやって、大公国との関係を持たないから学園長は学園で一番偉いのね?
軍人絡みの騒動はあったけど、私がサンデック側にいるなら、それはそれでありな訳だ。
あっさり私が就職できたのも、上手い具合に侯爵に捕獲されてただけですか。
ただひたすらにありがとうございます侯爵様。
おかげさまで、エリックの持ち込む美味しいご飯にありつけてます。
なんにしても、学園長は本来は学園生徒の技術を放出する代わりに個人の特定はさせなかったらしいんだよね。
ただ、あんな事した教頭先生がお咎めなしになったそうで納得いかん。
神様あの爺に天罰を!
とにかく、私がこっちにいるのは学園的に有りなわけだ。
ただ、大公国に名前が知られてるのがちょっと不味いらしいけど、大公国からのオファーはないと思っていいらしいからね。
来ても、サンデック侯爵様より爵位が下の貴族様から個人的な引き抜きがあるかどうからしい。
基本的に退職は侯爵の許可がなければ出来ないので、気の乗らない引き抜きはのらりくらりと避ける事は出来るのね。
口下手で頭よくないから、その辺り凄く助かります。
「それから、ナタリアからコレを渡すようにと…」
ナタリア様に“ピエトは絶対に中を見ないでアティア様に渡して欲しい”とお願いされたと言う箱をテーブルに置いた。
中には大小様々なイケメンの写真が添えられた手紙。
「これは何でしょうね…」
「下級貴族の次男三男ばかりですし、普通とは形が違いますが縁談の申し込みではないかと…」
…激しく要らない。




