田舎の人だ
結局、子を授かったらお祝い事(物)は、ナタリア様の生まれた村の慣習らしいが、村人が年末正月祭り以外で、大っぴらに酒を飲むための口実なんだろう。
「ありがたく頂戴いたします」
結局、ピエト様に大した物ではないからと言われ渡されたのは金の懐中時計で、正直私のひと月の給料では足りない代物だった。
幾らするのか検討もつかん。
「ナタリアがアティア様は絶対自分じゃ買わない物だからってソレにしたんだよ」
「時計は高いですからね…」
時間に捕らわれない生活のせいか、一般的に時計は普及してません。
基本的に、スケジュールに追われるのは貴族と商人くらいのものですからね。
恋人同士の“待ち合わせ”はあまりなく逢い引きやデートは基本的にどちらかの家に迎えに行くのものです。
現代日本的な、公園で待ち合わせなんかコジャレた事したら危険で仕方がないですよ。
だから私が待ち合わせやデートをした事がないのは仕方がない事なんだと理解できましたか?
―オッサンも記憶にございません。
歌は好きな癖に、一人カラオケ所かパチンコ屋以外ほとんど出掛けてないぞ。
パチンコ屋がない世界では、日本のパチンコは賭博ではないの流儀でいったら、反面教師にすらなりゃしないダメ人間だ。
給料日前には、パチンコ行けなくて漫画だ小説読んでたけど、ラノベの知識はあんま役に立たないな。
パチンコも利益出せない人だったみたいだから、何の意味があったのやらな…。
「ところで、アティア様は学園に戻らないのですか?」
「…あ~、これでも命懸けで自主退学したつもりなんであんま戻りたくないんですよ」
A.いのちをだいじに
サンデックは完全に他国だから、学園にいるより安全なんじゃないかと思われますよ。
一応、学園もサンデックが出資して、その管理下にある施設な訳ですが、最大のパトロンの孫とか息子なのに、なんでエリック人気無い。
モテモテとか、噂話の一つや2つあっても良かったんじゃないの?
―話跳んだ。
とにかく、学園は大公国国内だから危ないと言うことで。
「何しろ真面目に授業受けると目に見えて落ちぶれていくますからもうコリゴリです」
研究と論文も、引きこもり時代に出涸らしになりましたら、やりようがないのですよ
「そうですか、ナタリアがアティア様が卒業したら、是が非でも我が家の専属魔法使いとして雇うと楽しみにしてたのですが…」
是が非でもって、拒否権ないとか勘弁してください。
雇われても、攻撃魔法使い物にならないんじゃ話になりませんしね。
「アティア様ほどの回復術に長けた方は、教会に数人いるかどうかですし、私としても近くにいてくれたらと思っていたのですが…。」
「…なんやかんやで、図書館勤めに収まってますからねー。怪我人やらと顔会わせるより気を使わなくて助かりますよ」
まぁ、私が回復術士の部署に回されなかった理由としては、サンデックが私の偉業(医業)を畏れたと…。
ドラゴン復活させたなんてのは、後にも先にも私だけしか例がないそうですよ。
最上級回復魔法でも、バラ肉からのドラゴン復活はなし得ていないそうです。
回復魔法の体系も少し一般的な魔法と違うらしいんですよね。
オッサンの知識のおかげで細胞や血管やらのイメージがありますから、それが影響を与えてるんだと思います。
そんな得体の知れない魔法を重症患者にかけさせたくないんでしょうね。
切り傷や擦り傷くらいならたまに頼まれますが、そこは敢えて塩擦る込むくらいの感じで、消毒薬を塗ったげますとも。
いや、そんなん魔法いらんしメチル(工業用アルコール)塗らないだけ感謝して欲しいね。
まあ、メチル間違えて飲んだりすると、失明したりするから目散るなんて呼ばれてたらしい危険な劇物だから、まずやらないけどな。
メチルを間違えて口にしてしまったらお酒のアルコールと同じ成分の消毒用エタノール・エチルを胃に流し込むなんて話があるが、素人が試すな危険だぞー。
カンテラとかコーヒーメーカーの燃料とかは確かメチルだから失明したりするから取り扱いには要注意だ。
最悪死にます。
万が一、戦争で大公国側に回復術士として連れ出されたら、メチル塗り込んでやるくらいのつもりでいるから大丈夫です。
メチルって銀製品とか変色すんのかな。
わかんねえけど、軍人は助けないだけだからまあいいか。
ピエト様とナタリア様の場合黒こげが酷すぎて見えなかったから我慢できただけで、養父に戦場を連れ回された時に回復術士にはなるまいと決めましたからね。
怪我人だらけとかちょっとしたトラウマですよ。




