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青天の霹靂

賞金稼ぎ達による私を利用した“おとり捜査”が始まって数日がたった。


バウンサーに直接教えて貰ったのだが、彼らは私を捕まえに来たのではなく、私にかけられた法外な賞金に釣られてノコノコ図書館にやってきた“賞金首”を捕まえてるのだと。


買い物袋のオバチャンは、そうした賞金首に金で雇われ情報偵察要員、つまりスパイだったらしい。


図書館を間借りしてるバウンサー達は、チームを組んで待ち伏せしているらしく、図書館に入る前に警備隊に引き渡されているんだそうだ。


裏の情報は普通流れないから、怪しい風体まま堂々とやって来るから分かり易いらしい。


探し人としての捜索は“赤の他人”による物であると判明しているので、サムトール側は既に捜索打ち切りにさせてもらっている。


大公国側人間がまっとうな依頼で来ても、サンデック地方公務員の私を連れていくには、役所からの許可が必要になります。

普通の探し人も、本人に拒否されたにも関わらず連れて行こうとするのは、誘拐もしくは拉致目的として、警備隊詰め所への任意同行からのコンボが待ち受けているらしいです。



で、そんな日々が続く中、大公国から思いもしなかった客がやってきました。


金髪碧眼、耽美系イケメン警備員を超える、純正統派美青年が図書館にやってきた。


彼は、現大公の弟の息子、つまり国家元首(王様ではない)の甥です。


お偉いさんの子息様で、ある意味天敵です。


オッサンだって、美少年に生まれたかったよって所ですかね。

「ピエト様お久しぶりでございます」


「お久しぶりです。アティア様もお元気そうで安心しました」

私としては、彼の腰が低いのが一番ツラいんです。


見た目通りの好青年で、家督を弟に譲る代わりに一代限りの準子爵位を賜り、当時学園主席で平民だったナタリア様と婚約なさったばかりの、ピエト・ブラドー準子爵様です。


新しい貴族家ではなく、暖簾分けみたいに、一代限りの名誉称号準爵位を賜ったので、分かりやすくブラドー公爵と同じブラドーの家名を名乗ってるそうで、ピエト様のこれからの活躍次第で、準爵位から領地持ちの爵位を賜る事もありえるそうです。


頭の中のオッサンより優秀で羨ましい限りです。


「それで、なぜこんな所にピエト様が?」


「はい。アティア様に友人として直接お伝えしなければならない事がありままして…」


ピエト様は気恥ずかしそうにしているが、いくつか思い当たる事がある。


私の助言を実行したから報告しにきたのだろう。


「おめでたですね?」


「まあ、端的に言えばその通りなのですが、なんと言うかもう少し…」


「お二人を祝いこそすれ、私が恥ずかがる事などないでしょう」


リア充オッチネと少々やっかみ混じりの気持ちのおかげで、ピエト様の出鼻をわざと挫いた感は否めません何か?


「それで、アティア様に祝いの品を持ってきました」



―祝われる側が祝いの品とはこれ如何に?


「…すみません。なんでピエト様が祝の品を私に渡しに来るのですか?

ピエト様は色々受け取る側と言うか、祝う側の私が貰うのは手紙くらいでしょう。」


ベビーカーとかベビーベッドとかも平民には手軽に手はだせんけど…。


「え、親しい平民には逆に配るべきだと、ナタリアが言っていたのですが…」


よしわかった。


二人とも浮かれすぎておかしくなっていただけか。

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