表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
個体ノ武器  作者: 雅木レキ
【”僕”は、”誰”だ?:雅木『レキ』】
77/82

【予兆】049【葉矛】

【個体の武器】

【雅木葉矛?】-0-49----予兆




 まだだッ!

回避が無理なら被害を抑えろッ!!


 咄嗟の判断で、空いている左手を突き出す。

そして刃を”掴む”。

……素手で刃を触ればどうなるか、そんなこと判っている。

案の定、手の平に激痛が走る。


 ”痛ッ!!!”


 文句言うな!

脳天から身体が真っ二つになるよりはマシだろう!

俺は極力突き出した手のことは考えない様に努めた。


 さて、反撃を模索しよう。

幸いにも斬撃の威力は大した物では無い。

コイツは俺を殺す気で斬り掛かっては来なかった。

理由は判らんが仮にコイツが俺を殺す気で全力で斬り掛かったのなら、今頃刃を受けた指全てが捥げていたハズだ。


「お、おいおい! 考えても普通やるか!?」

 目の前の敵対者は動揺した。

俺の行動のせいか? 死なない為の工夫だったらいくらでもするだろ、普通。


「あぁ、やるだろ。」

 左手で俺に向いた刃を振り払い、剣を持つ右腕を振りかざす。

……反撃にして一撃。

さっきお前のしようとしていたことを、そっくり返してやる。

動揺したその隙を見逃したりはしない!

この一撃に全力を掛けるッ!!


「---油断は駄目ですね。 貴方も城ヶ崎も。」

 ---グッと、右腕にチカラが加わる。

右手は動かなくなった。チカラを入れてもびくともしない。手首が締め付けられている……。

……手首を握られた!?


「いいぞリコ。そのままだ……!」

 目の前の少年の目に活力が戻った。

俺の注意力も衰えていたか? 後ろからもう1人が近づいているのに気がつかなかった。

マズい、全くの無防備だ。 出血し過ぎたか、左手も動かない。


 目の前の少年は改めて剣を構え直す。

マズい、死------。



「葉矛ッ!!」

 目の端に”ナギ”の姿が映る。

不完全な形ではあるが、ナギは手に剣を作り出した。

彼女はそのままこちらに駆ける。

けど、駄目だ。助けようとしてくれてもその位置からじゃもう間に合わない。


 城ヶ崎は不適に笑った。

彼は”僕”を殺しはしないだろう。

彼の目的は僕の捕獲なのだから。

だけど、だけど……!


「後で起こしてやるからな!」

 城ヶ崎は剣を振るう。

僕は強くまぶたを閉じた。

強烈な痛みに耐える覚悟なんてない。

迫る刃と、それに肉を斬られたときの痛みを思って、僕の身体は力んだ。

万策は尽きた。


 最後になんとか刃から逃れようと身をよじる。

けれど、駄目だ。理子にしっかり掴まれてて動けない。

避けれない。斬られ------。



"---死ねるか……"






 ___……。


 ……斬られ、ってない?

……来るべき”痛み”は身体に訪れない。

身構えたまま、僕はうっすらと目を開けた。



 ……状況は大きく変わっていた。

城ヶ崎は傷つき膝をついていたし、理子も左腕から血を流し身を庇っていた。

そこでふと気がつく。

腕を掴まれていたはずなのに、何で僕と理子は離れた位置にいるんだ?


「い、今の、葉矛……? なにをしたの……?」

 すぐ横に凪が居た。

いつの間に?

そんな時間があったか?

さっきまで倒れていたのに?


「今のって?」

「今、2人に掴まれてて、ボクは助けようとしたんだけど……。」

 ナギは小さく首を振った。


「……キミは、”何か”をして、気がついたら立場が逆転してた。あんな動き、人に出来ることじゃない……。」

 そこまで言って、凪が”本当に伝えたいコト”を知る。

彼女は僕から目を逸らした。

……凪が、僕を怖がっている。


「城ヶ崎、口惜しいですがここは……。」

 理子がこちらを睨みつけている。

その視線を正面から迎えて、初めて知る。

先程まで無傷だったのに、今の彼女は酷く傷だらけだ。

凪と戦い終わるまでは無傷だったのに。


「判ってる。……退くぞ。コソコソ隠れる害虫に手の内を見せることも無い。」

 城ヶ崎も同様に怪我を負っている。

理子に比べて軽度なもので、黒いスーツも破れはしていない。土で汚れているが大きく目立った変化はそれだけ__。


 っ? 変化?

……時間が経っている? 何か、変化が起こるってことは過程があるハズで……。


「まさ、か?」

 コレ、全部本当に僕がやったことなのか?

理子に捕まった状態で、城ヶ崎と理子に反撃し状況をひっくり返す?

そんなこと、出来る訳が……。


「雅木。」

 城ヶ崎が僕の名を呼んだ。

ビクリとして、それからなんとか目線を返す。


「……残念だ。」


 彼はただ一言、そう言い、理子と共に公園から立ち去った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ