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Martians to Invade  作者: シュンキチ
上陸
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上陸 二

ヒューリーが目覚めたのは基地の病室のベッドの上だった。彼は病室のカレンダーを見た。


二一二九年七月二九日


彼は三週間以上眠っていたのだ。自分の身体を起こそうとしてみたがその瞬間身体中に激痛が走った。我慢できずうめき声を出した彼は自分の身体をよく見てみた。全身を包帯が覆っており、右脚と右腕にはボルトが刺さっていた。命拾いしたことよりも彼の頭の中は耐え難い痛みのことで一杯だった。

しばらくすると病室に軍医がやってきた。


「ほう、タフな奴だなもう目覚めないかと思っていた」


昏睡状態から回復した身体に浴びせる言葉にしてはあんまりだと彼は思った。軍医は彼の怪我について説明を始めた。


「右脚及び右腕完全骨折、腰骨と肋骨数カ所に亀裂、左肩脱臼、全身に裂傷、脳震盪も起こしていた。見捨てられなかったのが奇跡だな」


ヒューリーは説明を受けるとより一層身体の痛みが増した気がした。


「完治までには二ヶ月はかかるな。残念だがそれまでは貴様は戦線に復帰することはムリだな」


残念なもんかと彼は思った。むしろあんな所に戻らなくて良いことが彼は嬉しかった。これほどの負傷ならうまくいけば傷痍除隊で除隊が早まる可能性もあるという考えてまで浮かんでいた。

その後ヒューリーは故郷の両親と電話をした。電話越しの彼の母親の声は涙ぐんでいるのか酷い鼻声だった。父親の声からは怒りと焦りが伝わってきた。


「いますぐ戻ってこい!途中除隊でも構わん!これ以上母さんを悲しませる気か!」


ヒューリーは断った。大学に行くための任期満了の退職金はしっかり貰いたかったし、そもそも戦時中に自分の意思で除隊できるわけがないのだ。しかし実際の所、彼は自分は傷痍除隊するものだと勝手に決め込んでいた。

次の日、ヒューリーの元に艦隊の人事士官がやってきた。傷痍除隊の話だろうと彼は期待した。人事士官が書類を読み上げ始めた。


「ダレル・ヒューリー上等兵!貴官は二一二九年七月四日の宙域戦に参加し、空母バイコヌールにて負傷!負傷の度合が非常に高いため、兵卒である貴官にはこの度、名誉傷痍除隊の権利が与えられる!」


普段うるさく聞こえる上官の声もこの時だけはヒューリーには心地よく聞こえた。ところが人事士官の話はこれで終わりではなかった。


「と、言いたいところではあるが、現在第五艦隊は先の戦闘により人的損耗激しく人員の補充に手間取っているところだ。そこでヒューリー上等兵!貴官には特例として退院後、昇進試験免除で下士官教導隊に入隊を命ずる!

教育終了後貴官は伍長に昇進!第五艦隊の重要な戦力の一員となってもらう!おめでとう上等兵!」


すると周りのベッドで寝てる患者やその場にいた看護師達から拍手が起きた。ヒューリーの視界は真っ暗になった。










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