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4.未知との遭遇

 ハンナの一行はギントリペンペンに似た生物を無視し、よろよろと歩き出した。歩いても歩いても生命体はギントリペンペンに似たものばかりで知的生命体に出会う気配がない。しかも気温はどんどん低下し辺りは吹雪のようになり一行は次第に視界を失っていった。


――もうダメだ。この惑星では生活どころか生命を維持することすら困難だ。


 メンバーは一人減り、二人減り、気が付くともう数人しかいない。ハンナは他の船員と折り重なるようになってその場に伏せた。


◆◇◆

 目を覚ますと、ハンナは一人で大きな薄暗い部屋のベッドに横たわっていた。何だか部屋全体が揺れている。ハンナは体に掛けてあった分厚いものをめくり、光の差す方へ二歩三歩と歩いていった。

 そこには水の広がる大きな光景が広がっていた。確かに水平線があった。そしてハンナが子供の頃、絵本でよく見た『空』がある。

 入口から何者かが入ってきた。足はギントリペンペンより遥かに長く体型も『生命体その弐』によく似ている。ただ、かなり太っていて体格はいい。ハンナの惑星ではこういった状況を『デブチン』という。

 ハンナはケンタウルス座アルファ星の伴星Cの惑星で知性生命体(生命体その壱)に侵略された生き残り(生命体その弐)の中では、若くて美しい物質の生命体の女性種であったが(ああ、説明めんどくさ)、同様の若くてかっこいい男性種は好みではなく、『デブチン』が好みだった。


――知的生命体のデブだ!


 ハンナの表情に緊張が走った。

「◇※△●!」(私は侵略者ではないの!)

「怖がらなくていい。お腹がすいているだろう。歩けるならば隣の部屋にスープとパンがあるから」 防護服の下は胸と腰の一部に樹脂製のシートを貼り付けているだけだったので、防護服を脱いで横たわっていたハンナは人間でいうところのほとんど丸裸同然だった。

 知的生命体のデブチンはしげしげとハンナの体を見つめている。ハンナはその視線に対し生まれて初めて『恥ずかしい』という感情を抱いた。

「※△×○!」(このドスケベ!)

「さあ、こっちにおいで。話はあとで聞こう」

 ハンナは胸と下を両手両腕で隠しながらデブチンに付いていった。

 デブチンはハンナを椅子に腰掛けさせ、正面に座ってパンをスープにつけた。そして、ハンナの前で食べて見せた。

 ハンナは何だか良くわからないが嬉しくなってきて思わず笑顔がこぼれた。何年ぶりだろう。少なくとも大人になってからは笑顔を他人に見せた記憶がない。

 デブチンもにっこり笑ってまた食べ始めた。


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