第52話 放て連続ドリルウロコパンチ
戦闘員と同じくレーザードローンも十数機ほどある。
あれを相手にするのは厄介に思えた。
「ぱふぁふぁーっ! てめえを捕獲して連れ帰ればゼラムス様もお喜びになるぜーっ! シルバーライトのほうは殺しちまってもいいからなーっ!」
――おいちょっと待て! シルバーライトちゃんは殺すな!
――やるならおっさんだけを
――やべえ。これおっさんやられたらシルバーライトちゃん殺されるじゃん
――でもおっさんが勝ったらパンツが……
――なんてこったい
相手は悪の組織だ。敵であるシルバーライトを生かして帰すわけないだろう。
焔ちゃんを守るためにも、なんとしても勝たなければいけないのだ。
「ギギギー!」
戦闘員が俺たちへ襲い掛かってくる。
こいつらだけならたいしたことないだろうが……。
「うおっ!?」
戦闘員と同時にレーザードローンも動き出し、一斉にレーザーを放つ。
俺は焔ちゃんを抱えて急いで跳び退り、それをかわした。
「あれを相手にしながら戦闘員と戦うのは難しいな……」
一瞬でもあれから意識を逸らせば、レーザーを食らってしまいそうだ。
パンダもいつ攻撃してくるかわからず、とても戦い辛かった。
「こうなったらジャスティスドラゴンファイヤーで一掃するか」
「ちょっと待って。必殺技はボスを倒すのに使うから格好良いんだよ。必殺技を雑魚に使うのはヒーロー的にダメだと思う」
「けどそんなこと言ってる場合じゃ……」
「良い方法があるよ。ほらこれつけて」
「えっ? サングラス?」
なにかわからないけど俺はサングラスをかける。
「それっ!」
「うわっ!?」
焔ちゃんが地面へ投げつけたなにかが強力な光を放つ。
「ギギ……ギー!?」
「うわっ!? なんだなにしやがったっ!?」
レーザーパンダや戦闘員たちが目を抑えて右往左往している。
「閃光弾。これでパンダと戦闘員はしばらくなにもできないよ」
「よっし!」
これでレーザードローンにだけ集中できる。
「それっ! ドリルウロコパンチだっ!」
拳を突き出してウロコを飛ばす。
しかしあっさり避けられ、レーザーを撃ってくる。
「うわっ!?」
それを避けつつふたたびドリルウロコパンチを放つがやっぱり避けられた。
「直接に殴って壊すしかないか」
しかしあれに近づくのは危険だ。
できれば遠距離から撃ち落としたいが。
「ドリルウロコパンチを連射してみたら?」
「あ、そうか」
下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる。
マシンガンのように連続で撃てば……。
「マシンガンドリルウロコパンチだっ!」
両拳を連続で突き出してウロコを連射する。
ドローンレーザーは連射されるウロコを避け切れず、次々と撃ち落とされていった。
「よしっ!」
すべてを撃ち落として俺はガッツポーズをする。
「な、なんだ? うおっ!? ドローンが全部やられてやがるっ!」
ようやく閃光弾の目くらましから回復したレーザーパンダが、撃ち落とされたドローンレーザーを見て声を荒げた。
「クソがっ! 閃光弾なんてかわいくねーことしやがってっ! 戦闘員どもっ! あいつらを捕まえろっ! 修理した俺様のレーザーで痛い目を見せてやるぜっ!」
「ギギギー!」
閃光弾の目くらましから復活した戦闘員たちが襲い掛かってくる。
「戦闘員なんか怖くないもんねー。とりゃーっ!」
「ギギー!?」
向かって来る戦闘員を焔ちゃんは殴って蹴って投げ飛ばす。
怪人相手だときついが、戦闘員相手ならば焔ちゃんのほうが強かった。
「ぬううっ! 役立たずどもめーっ! 食らえっ! パーンダレーザーだっ!」
「うわっと!?」
「ギギー!?」
焔ちゃんを抱えてかわす。
パンダの砲塔から放たれたレーザーは戦闘員を消失させた。
「あとはお前だけだレーザーパンダっ!」
「だからなんだ? 俺様だけいれば十分なんだよっ! 食らえっ!」
以前と同じく砲塔からレーザーを連射される。
「今回はかわいくねー不意打ちなんて通じねーぜっ! 砲塔を頑丈なものに改良したからなーっ! ぱふぁふぁふぁふぁふぁっ!」
「だ、だったらっ! ジャスティスドラゴンファイヤーっ!」
俺は口から業火を放つ。……が、
「うおっとっ!」
避けられてしまう。
「くそっ!」
ジャスティスドラゴンファイヤーは強力な技だ。
しかし攻撃速度はやや遅く、それが弱点だった。
「そんなノロい攻撃、当たらないぜっ! ぱふぁふぁふぁふぁーっ!」
「だったら連続ドリルウロコパンチだっ!」
ドローンレーザーを撃ち落とした連続ドリルウロコパンチを放つ。
「ならこっちは拡散レーザーだぜーっ!」
拡散されたレーザーが砲塔から発射されてウロコを撃ち落とす。
「くっ」
見た目は砲塔を背負っただけの単なるでかいパンダなのに強敵だ。
これは倒すのに苦労しそうだった。
――うわ、全然ダメじゃん
――今まで怪人を倒してきた技が通じないな。これはピンチ
――おっさんやられたらシルバーライトちゃんもあぶねーんだからがんばれ
――シルバーライトちゃんが死んだらおっさんのせいだぞ
――がんばえー
――こりゃもうダメかもわからんね
俺に死ねと言ったりがんばれと言ったり勝手な連中だ。
しかし困った。なんとかこいつを倒す手段は無いものか……。
「食らえーっ! パーンダレーザーっ!」
「えーいっ! こっちもジャスティスドラゴンファイヤーだっ!」
お互いに必殺技を撃ち合う。
しかしどちらも当たらず、時間だけが過ぎて行った。
「はあ……はあ……」
「ひい……はあ……。し、しぶとい奴だぜ」
とうとう笹を切らしたらしいパンダは疲れを見せ始める。
しかし俺の体力も限界だ。口から火を吐き過ぎて、焦げ臭い匂いがするほどだった。
「くそっ! ちょろちょろと避けやがってっ! 不細工な奴だぜっ!」
「避けてんのはお前もだろうが。人のこと言えるか。お前だって不細工だ」
「な、なんだとっ? これ俺様が不細工だって言うのかこの野郎っ!」
「避けるのは不細工だって言ったのはお前だろ?」
「ぐ、ぬううっ。よぉし、だったらこうしようぜ。俺様のレーザーとてめえの火をぶつけ合うんだ」
「なんだって?」
「ぶつけ合って威力の強いほうが勝つ。これでどうだ?」
「ど、どうって……」
ジャスティスドラゴンファイヤーの威力には自信がある。
しかしあのレーザーとぶつけて勝てるものかどうか……。
「いいじゃんそれ。それで決着つけよう」
「焔ちゃん?」
「これじゃあ共倒れだよ。お互いに最強の技をぶつけ合って決着をつけたらいいと思う」
「けど……」
「大丈夫。正義は勝つ」
「う、うん」
焔ちゃんの言う通り、このまま続ければ俺の体力が尽きて倒れるかもしれない。そのとき奴がまだ立っていたらこちらの負けだ。
「俺は笹切れで限界。てめえもその様子じゃ限界だろう。お互い最後の力を振り絞って決着をつけようじゃねーか。それでこそかわいい決着ってもんだ」
「よ、よし」
俺はレーザーパンダの申し出を受けることにした。
「それじゃあ行くぜっ! パーンダレーザーっ!」
「ジャスティスドラゴンファイヤーっ!」
そしてお互いに必殺技を放ち、業火とレーザーが中心でぶつかり合った。




