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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 後編
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第64話 勝利への Symptom

 「うおおォォーーーーーッ!!」

「さっきよりいい動きしてんじゃねえか!」


前から針鼠のように飛ばされる弾の数々を、突っ込みながら急降下で回避する。

砲身の向きに対し、真っ直ぐの体制になれば接触面積そのものが減るからだ。


「ならこっちも斬り合いしてやろうじゃねえか!

ビームアックス『シックルグルヴァー』セーフティ解除」


ロケットアームハンドのうち2つが、背中に装備された大斧を手に持つ。

その刃先から煌々としたビーム刃が更に形成される。


「そぉぉらよぉ!」

「大きいばかりが!」

振り下ろされた戦斧とヒヅルのセイバーが、バリバリと電子的な音を立てて鍔迫り合う。


「もう一丁!!!」

ヒヅルの胴目掛け、もう一刀が飛んでくる!


「それならば!!」

咄嗟に光の剣をしまいつつ、体を刃スレスレでかわす。

そのまま縦振りと横振りの斧がかち合う。


「今しか!無いんだあああーーーーァァ!」


再び両手にセイバーを持ち、幾度か側転しながら片手をズタズタにする。

そのまま肩まで駆け上がり、漆黒のバイザーと目が合う。


「ほーぉ、器用だな!」

「今度こそ!」


日照と雷震を正面に向け、撃ち込む!

狙うは頭部。ここさえ潰せば!

「だが、てめえ忘れてねえか?」


即座に、蛇腹鞭が空中の蚊を叩くかの如くアマテラスを叩き落とす。

狙いがズレたビームの行く末は、無情にも防御されるのみであった。


だが、その時ヒヅルはラインハルトの"ある動作"を見逃さなかった。


「距離を離して。よく考えるんだ……、今の一瞬の”あの”行動を!」

空中に逃れ6機半、アームが飛んできても反射で避けられるギリギリまで距離を空ける。


そうか……!!

ヒヅルがさっき見た動作とは、ひと目見たら単なる防御行動だった。


「でも、さっきの行動は確実にいままでと動きが違う!」

日照が先ほど肩部に当たる際、ラインハルトは意に介した素振りはなかった。

だがそれに対して、より高威力のビームバスターキャノン・雷震への反応は違った。


その細やかな動作をヒヅルは見逃さなかった。

関節の着弾点に向かい、腕をかざして防御をする様を。

ヒヅルは突如長考する。

「もしかして、あれが威力の軽い日照なら……おそらくヤツは守らなかった!


考えてみれば、あれだけ超硬度の装甲にも関わらずセイバーでは腕一本両断できた……。

今まで熱量を逃がしてビーム攻撃を弾いていたとすれば……!


なんだ、ならばいけるじゃあないか!」




咄嗟にカンナギへ通信を送る。

「チョウ!モニターされている範囲でいい!!

あの巨大FGがロケットアームを飛ばした順番を教えて欲しい!

もう一つ、ビームセイバーの瞬間熱量と同じ熱量を、雷震で出力できる方法を計算して!」


「え、どういうことネ!?」

「いいから早く!」

距離を離してる間に、敵のFS達の脚を切り無力化していく。

倒れ込んだ巨体により敵歩兵達の進軍が止まる。


「結果出たネ!

まず一つ、あのアームは必ず向かって左の後に右を飛ばしてくる!

右から先に攻撃は無いネ!


あと雷震でセイバーと同じ瞬間熱量に達するには……1.5秒の照射が必要!」


「ありがとう、チョウ!」

朗らかで優しい笑顔がチョウの目に焼きつく。

「ど、どういたしましテ……」


「な、なんなのネ。ヒヅルのやつ……あんな爽やかに笑っちゃっテ」

そこには頬を染めた乙女が1人いるだけであった。



勝利へのエッセンスは一つ、手に入れた。

「リィロン。君にも2つだけ質問いい?」

「ナ、ナンダ?」

冷静に問う声に、リィロンがびくりと反応する。


「1つ。ヤツの関節で最も脆弱な部分を割り出して欲しい」

一度地面に降り立ち、雑兵のFS達を切り裂きつつも淡々とした声で指示を出す。


「2つ。僕が利き手を使えなくなることと、アマテラスの重心バランスが傾くこと。

どちらの方が継戦リスクがある?」


「後者ハ確実ニ重心ノ方ガリスク大!

関節ハ……スキャン中。

……見ツケタ!左脚、傷ノ入ッタトコロダ!」


「ありがとう、それだけわかれば十分だ!

反撃の兆候が見えた。さぁ、仕掛けるぞ!」

「マテ!ピンポイントデ狙エルノカヨ!」


「やるんだよ、膝への一撃を……張郃(ちょうこう)にしてやるんだ」

できる・できないではない。

『やる』のだ。

再点火したヒヅルは決意を固めた。

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:Symptom=兆候。ただの言葉遊びです。

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