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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 後編
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第47話 作戦開始!

 「ラインハルト隊長より通達です!

フラッグシップ トライトーン、およびそれに続くラインハルト艦隊は全艦、これより伊忌島を攻める!」

オールアイが厳格にも、しかしどこか震える声で通信発令を行う。


「さぁて、やるかねえ。

あーあー、テメーら総力戦の開始だ!

本気で島を潰せ!!


航空別働隊準備!地上用機体は輸送機に乗り込みな!」


トライトーンの艦首からラインハルトは机に姿勢悪く足を組み、指示する。


「隊長。この一ヶ月に渡り、なぜ何度も攻撃と撤退を繰り返していたのでしょうか」

「ハン!そのフクロウ頭じゃあ思いもつかねえか?」

ラインハルトにはしっかりとした理由があった。


「何度も十数機のFSで伊忌島を攻めては撤退していたのか?

簡単よ、戦力差が分かる。そりゃあそうなんだが。


戦争の鍵は高度な情報分析よ。

撃ち返しがありゃ砲台の場所が、機体が出りゃ継戦能力・航続能力を知れる。

加えて俺はなあ、あの何たらシステムをあんまり信用してなかった。

あの翼の生えたお人形サンの飛行距離も、だ」


「ではその情報が揃った、と」

ここで不機嫌そうに、ラインハルトは咥えていたタバコをプッと吹き出す。


「だったら良かったなあ?えぇ?

あいつら砲台から反撃を全くしてこねえんだなあ、これが。


敵の指揮官はよっぽど秘密主義と見える。

だから海の突撃で目ェ逸らして、そのあと捨て駒で上から叩くのよ。


一派目は荒らして撤退できりゃあ〜御の字だなあ?」


「……!!そ、それでは総力戦と謳っては!

死人が出ますぞ、どうか目的を伝えるべきでは」

「卑怯と罵るか?それでも俺は戦うんだなあ?

正義で飯は食えねえよ」


ギロリ、とオールアイを睨む。

「戦争なんざ敵も味方も死んで当たり前よ。

敵を欺くにはまず味方から。

死ぬまで騙されてたら、それは『本当』なんだぜ?」


オールアイは、悔しい顔を浮かべ軍帽を深く被るしかなかった。


だが、ラインハルトの言う通りだ。

リンドウは徹底して、自身の手の内を相手に晒さないようにしてきた。


決まった機体、決まった戦力をローテーションで使いまわしては、伊忌島や戦力情報を最低限だけ小出しにしている。


砲台がラインハルトにバレてしまえば、集中して砲台を空と海から狙われる。

結果、総攻撃はもっと早く行われただろう。


その意味で言うのなら、仕掛けざるを得なくなったラインハルトの心中たるや穏やかでないことは容易に察しがつく。


いわば仮初の総攻撃指令戦略は、同時に部下の命に八つ当たりする行為でもあった。


「勝つためなら、なんだってするさ」

総大将は、待機するエムルに通信を送る。

「あーあー、皇太子の坊ちゃんよぉ。

あんたらは空中からの電撃部隊だ。


俺が直々に責任を追わせてやる。

部下を連れて帰れなかったら、俺から皇帝陛下にチクるからな、よろしくー」


「くっ、ラインハルトめ……。

何が『責任』だ、現場指揮を押し付けてるだけじゃないか!」

「なにか、エムル様」

「うるさい!人形風情で!」


ブツッと一方的に通信を切られたエムルも、これには流石にメアリーに八つ当たりするしかなかった。



「ハッ、皇太子サマが死んだら果敢に敵に突っ込んだ、勇敢な死とでも告げるか。


さぁて、じゃあ作戦開始だぜ!!

勇気を持って突き進みやがれ!!


海上第一波舞台、伊忌島へ!

FS1機にPS10機部隊の小隊で行きな!」


FS母艦20隻が先立ち海を渡る。

硝煙と血の臭いが溢れるであろう、血生臭い死の海へ旅立つ。


「敵に絶望を、俺たちに勝利を!

それが出来んのはお前らの命そのものよ!」


鼓舞をコックピット越しに聞くエムル。

その眉間には皺が寄っていた。


「にゃはぁん、そんな怖い顔してたらダメですよー。

強敵との戦いはもっと楽しまなくちゃ、皇太子様サマ」

愛嬌をたっぷりに乗せ、キャッフェが通信する。

軍人というよりも、それそのものを楽しむ者の物言いだ。


「うるさい、ヒトモドキが!

奴隷上がり風情が、俺と同じ小隊長などと。

舐められたものだな!」

「…………」


「ハァン♪ 分かるのねこちらのお嬢様は。

皇太子様の御心が。

いい部下を持ったじゃないですか、エムル様♡」

「いい加減にしろ。メアリーも黙れ!」

「……私、何も言ってない」


黙ってはいたが、メアリーはエムルの内心を、おそらくなんとなく感じ取っていた。


「戦闘前から、それ。

またアマテラスに負けます」

「俺の今回の任務はヒヅルではない!

自分の隊を生かして返すだけだ」


意地悪な猫は笑う。

「にゃはん、ならなければいいけどね。

命と引き換えに、ね」


空母上の輸送機の外、砲撃とジェットの音が死地への航海を物語っていた。

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:ボカロ曲「作戦開始!」(お茶漬けP)

スーパーロボットものの曲流してたらミックスリストに入ってきてそのまま採用。

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