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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 前編
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第39.5話 Hidden Growth

 カンナギの戦艦ブリッジ。夕暮れの綺麗な橙色が差し込む。

「いやぁ、ありがとうございます。ミランダ艦長、ヨシヒロさん」

「この艦は俺の命……万全に整備するのは元より」


リンドウが丁寧に軍帽を取り、二人に頭を下げる。

その頭髪は白髪交じりだ。


「燃焼効率の良い推進剤への交換、OS改造による機器類の反応速度向上。

軍備の提供まで、ありがとうございます」

「ハッハッハ、私達としても敵軍が本格的に侵攻した際の要ですから。

作戦の一番危険なポジション、本当にお任せしてよろしいのでしょうか」


ミランダの低い背を見下ろしながら、リンドウが配慮の言葉をかける。

「私達は、我が国の難しい戦局面を突破するための特殊部隊です。

ゆえに、私達がやらねばならないのです」


「勇ましいことです。我々も見習わねばなりませんね。

ところで、砂浜へのC爆弾配置は完了しそうですか?」


ヨシヒロが筋肉質の腕を組み、満足げな表情で応える。

「無論、予定より早く今日で終わる」

「ヨシヒロはこの見た目に反して、手先が器用でな。

私達の想定以上のスピードで組み上げから埋め込みまでしてくれたのよ」


「では、完了次第報告をください。よろしくお願いいたします」

リンドウがカンナギのブリッジを退室する。


一呼吸置いて、ヨシヒロが眉をしかめながらポツリと言葉を放つ。

「艦長、一言多い」



_______。

 こちらはカンナギの格納庫。

片隅でノートデバイスを開いて、ヒヅル・クニトモ・ウォルノが座り込んでいる。


「さぁて、ヒヅルくぅん。

君のアマテラスに最適なM(ミッション)A(アームズ)W(ウェポン)プランを3つ用意したよ。


共通装備の機関砲、ビームセイバー×4以外は背部アームとアーマーの出撃前換装で選択できるからね」


「ヘッ、お前のクセに合わせて俺がプラン組んだんだぜ。

よーく見ておいてくれよォ!

最近落ち込んでるお前を元気づけるのに、一生懸命だったんだぜ!」

ガシッと肩を組み、笑顔のウォルノ。

尻尾をぱたぱたさせる様子は、オオカミ種の亜人、というよりイヌそのものだ。



「まずは、タイプA!マイティプラン!

君の長所である『眼』と『反射能力』双方を活かす総合装備だ。


背部ビーム砲『日照』、ビームカービン、シールド、そしてコレが新しい増設武器!

『ロングビームバスター 雷震』だ!


背部アームに接続されてて、肩に抱えて引き金も引けるし、アームから右腕に接続・構えもできる。

ただし、威力調整せずにフルパワーでぶっ放しまくるとすぐエネルギーダウンするから注意さね」


「これなら手隙でもビームで視線を外す牽制がしやすいですね」

ヒヅルが、憂える瞳の中に少し笑みを浮かべる。

彼としてはこのマイティプランは好みだったようだ。



「ヘッ、予想通り気に入ってくれて嬉しいぜ。

タイプB!リアクトプランだ!

お前の『反射能力』に極振りした装備だぜ……俺の好みも入ってるがな!


ダガーナイフ×2、ビームブーメラン、脚部ナイフに最後にバスターソード。

バスターソードは、少々小せえが、両刃でありつつ取り回しがよく軽量だ。

こっちは、左側の背部アームに接続されてらァ。


軽量で素早く移動、スカートのダガーと、膝・前腕のセイバーでガンガン行け!」



「これは……確かに僕らしいね」

多様な意味で尖った装備に、少したじろぐヒヅル。



「で、最後にタイプC。アイズプラン。

これはねぇ〜、君の『眼』に合わせたプラン。


日照×2、プラズマビームバズーカ、アームガン×2、そして長距離リニアキャノン『ハヤテ』が2つ。


このタイプだけ、前腕アーマー全換装だから予備のセイバー2本は無くなる。

代わりに連射の効くビームガンでなんとか。


ハヤテは、この前腕下部から伸びる長距離砲ね。

反動は大きいが、当たれば戦艦だろうとぶち抜く。


ヒヅルくんの眼の良さなら外すことは無いだろう、という信頼の上に成り立っているよぅ」


「使い終わった武器は脱着して、距離を詰め切られる前の撤退も可能なんですね。

退きどころの見極めも要求される装備、ですね」


流石に3つ目になるとの見込みが早いようだ。



「ま、役割で言うなら、汎用機、切り込み隊長、固定砲台の3装備だなァ」

「地形によっては組み合わせた特殊プランもあると思うけど、それはまた今度だねぇ」


2人がうきうきとしながら、ヒヅルの背をポンと叩く。

それでヒヅルには漸くわかった。


彼らもヒヅルを励まそうとしていたのだ。

彼らの思いやりを無駄にしてはいけない。


同じだ、高校の仲間や家族と。

彼らに支えられて、今も生きている。


そのありがたさに、少しだけ気づけたのだ。

その折、ふとウォルノがヒヅルに言葉を投げかけた。


「ん?お前……筋トレでもしてんのか?」

「え、どうして?」

突然の問いにヒヅルは眼を丸くする。


「なんだろうな、少し背中が広くなったな」

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:元ネタというほどではないですが。

ヴァン・ヘイレンの隠しトラック「Growth」という15秒ほどのトラック……の海外考察記事っぽいのを見て一気に書き上げたお話。

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