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輪廻創世 アルヴァーナ  作者: ひやニキ
Chapter4 伊忌島からの凱歌 前編
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第37話 Secret(ひみつ)

 「カンナギ隊56名のうち、島不時着時で20名の殉職。

この一ヶ月で3名がラインハルト部隊との交戦で殉職。

残り33名……私が至らぬゆえに多くの仲間が散ってしまった」


ミランダの自室。

彼女は、志半ばで亡くなった部下たちへ、深い哀悼の念を込めて冥福を祈った。




ラインハルトの艦隊と交戦が始まり、1ヶ月以上の月日が流れた。

その間、7回ほどの5~30機ほどの少数部隊が襲撃を行ってきた。


その度、リンドウはイチマルキュウ部隊とカンナギ隊の合同部隊に、決まった指示を出した。

それは敵数の半分以下で迎撃することだった。

無論、苦戦を強いられて幾人かの味方が逝くこともあった。


「全く、顔を覗きに来てみれば辛気臭いわねぇ」

「ジェーン、散っていった仲間を悼んでもいいだろう」

不意に後ろから現れたジェーンが、ぎゅうとミランダを抱く。


(あい)ではなくて(ライ)、って?」

何かを感じ取ったような眼。


「アナタは自分で思っているより出来る人、よ。

急襲に対応して半分以上の部下を生かして出港。

それだけでアナタは優秀よ、元気出しなさいな」


より強く抱きしめ、ミランダの背にジェーンの豊満な体が押し付けられる。

「ちゃぁんとブリッジってステージで艦長を演じなさいな」


見透かされてバツの悪いのか、ミランダが話題を変える。

「で、ジェーン。アナタは何しに来たの」

「落ち込んでる指揮官様を慰めに」

「茶化すでない」



腰を撫でる手を離しながら、ジェーンが真面目な面持ちで赤い眼と合い見える。

「実はねぇ~アマテラスの戦闘ログにある”Genetic(ジェネティック) Code(コード)”って単語。

それがどう考えても遺伝子情報こそ、あのかわい子ちゃんが能力を引き出せる鍵、と思って更に調べたのよ」


持ってきた資料を、艶めかしい指つきでまさぐる。

「結果から言うと、比較対象が悪かったわ」


若き女性艦長は眉をしかめる。

それもそのはずである、前の比較データはカンナギ隊全員であるはずだからだ。

比較対象として、不適切という事自体意味不明なのだ。




「今回はイチマルキュウ部隊の方々のデータも入れたの。

そうしたら、”ある部分”の遺伝子配列が明らかに違ったわ」

!!!ミランダの目がピン!と開く。

紅色の美しい瞳が、先程の憂えと違う色彩を放つ。


「ではヒヅルは、その遺伝子ゆえに太極図システムに適合している、と」

「確定ではないけど、その可能性は非常に高そうねぇ」


ミランダは微かな安堵の表情を浮かべた。

まだ解き明かさねばならない謎は山積みだが、真実への一歩を踏み出したことで少し心が落ち着いたようだ。


「でも、残念ながら何が決定要因となってシステムの真価・または彼の能力が発揮されるのか?

そこが分かってはいないわ。

どれだけ優秀なソフトがあっても、ハード側でその操作方法がわからないと起動はできないものよ。

やっぱりシステム開発者のシキ・ヤサカにコンタクトは必須ね」


「どのみち進まなきゃ分からない答え。

真実にはまだ完全に近づいてはいない、ということね」




と、ここで彼女は”あること”に気づく。

「待って、ジェーン。

さっき、比較対象が不適切って言ってたわよね。

なぜカンナギ隊との比較ではそれが分からなかったの?」


その問いを聞いて、ジェーンはニヤリとしつつメガネを上げる。

「あぁ、やっぱり気づいちゃった?ミラは賢いわねぇ、花丸あげちゃう」

「だから子供扱いするでない!早く教えたまえ!」

少女のような艦長は、ぷくぅとする。



「実はね、その”特殊な遺伝子配列”、仮称として『遺伝子X』と呼ぶわね。

カンナギ隊の全員に存在するのよ。一人残らず。

アナタもこの私、ジェーン・シーマも。


これって単なる偶然とは思えないわよねえ。

誰が仕組んだのかはわからない。


何かを知る誰かが、わざわざ引き合わせたとしか思えないのよ」



眉間にシワを寄せるジェーンの目つきは、先程の軽口を言う姿とは正反対だ。

ミランダは、新たにわかった事実に驚きを隠せない。


「陰謀、なんて狂ってるって思う?」

「で、でも私達は各人が優秀な戦歴や結果を出したから集められたわけで」

「その優秀な能力も、もしかしたらその遺伝子Xのお陰かもしれないわね」


反論するミランダをジェーンが制する。

……一瞬の沈黙が流れる。




「とにかく、新しい事実が分かっただけで大きな成果ね。

ありがとう、ジェーン」

「で、どっちも私達だけの秘密にしておく?」

「……あぁ」


ふぅ、とジェーンが息を吐く。

「賢明ね。ヒヅル君には暫く、嘘で塗り固めたフェイクの羽で飛んでもらいましょ」



真実が分かるとともに、新しい謎が残った。

何かしら大きな陰謀じみた何かが。


彼女たちがその真意に辿り着くのことが、まだまだ先であることを知る由もなかった。

【ライナーノーツ】

1 タイトル元ネタ:シークレットひみつ(ピノキオピー)

元から入れてたフレーズも、推敲段階で歌詞に合わせて差し替えてます。


単純に最近聞いてたのと、複数出てきた「ヒミツ」を掛け合わせて。

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