第35.5話 野郎共のメタル・ハート
「あーぁあ、僕の作ったスナイパーライフルがおじゃんだよ〜」
「しゃあネェだろ、ヒヅルの戦い方と言やァ喧嘩殺法ステゴロ一丁なんだからよォ」
帰投したアマテラスを見つめて落ち込むクニトモ。
ウォルノはクニトモの落胆を察し、少し考え込んだ顔で反応するウォルノ。
毎度毎度ライフルにセイバーにと使い捨てをされたら、そりゃあ彼らメカニックもたまったものではない。
気持ちのほど、推して知るべしと言った趣であろう。
「加えてマドゥ=クシャもボロボロか……。
こっちはまだ量産機のカスタムだから楽だけっどなぁ」
手を切り落とされて、まるで項垂れているような影を悲しそうに見つめる。
「ヘッ、そう言いなさんな。
彼女も彼女なりに頑張った結果だろ。
そりゃあ無傷じゃ済まねェさ」
「ま、そりゃそうか……。
とにかくヒヅル君の方だな。
武器をポイポイされちゃたまらんし、手持ち式じゃない武器を装備するしかないかぁ?
いっそブーメランでゴテゴテにするとか」
「いやァ、あいつのこと考えたらやっぱり遠距離武器一択だろうヨォ。
クニさん、アンタ意外とヒヅルのこと分かってねェなぁ?オイオイ」
クニトモの言葉が耳に入ると同時に、狼のような鋭い目が光り、反論する。
「奴の武器は、反射速度と機転を効かせたセイバーでの近距離。
もう一つは超遠距離。敵を撃ち抜くあの"眼"がウリだ。
その両方を活かせる装備なんざ、スナイプ系とセイバーっつーピーキーな装備でいいんだ」
一息にヒヅルの戦い方を語るウォルノを見上げ、ポカンとするクニトモ。
「そういう君は彼のことをよく理解してるんだな」
「……ヘッ、"相棒"だからな」
ウォルノはただそれだけ、真っ直ぐにアマテラスを見つめながら言った。
「じゃあその相棒さんにアマテラス……いやヒヅル君に適したM・A・Wのプランを2〜3個、一緒に考えてもらおうかね。
あぁ、彼がセイバーをポンポン使い捨てるのは分かったから、前腕に1本づつ予備を追加するのは既定路線さね」
「へっ、そういうことなら楽なこったァ。
ま、少なくともスナイパー+セイバーに、背中のビーム砲……ナントカ?は確定だな」
「日照だよ。脇の下を通すビーム砲、ロマンある撃ち方だろ?」
クニトモが目を輝かせて説明する。
その熱にウォルノも気圧される。
「ま、少なくとも他プランは"眼"と"反射"に細分化して考えるさ。
ところで、クニさん別件。例のAIは順次配備可能かい」
クニトモのべしゃりが始まる前に、話題を変える。
「おやおやおやおやおや。
もうほとんどの機体にはパイロットブロックに積み込み済みさ。
あとはカンナギに積む親機を起動すればいい」
「ヒューー、楽しみだねェ……これで俺も連携が楽になるってもんさ」
「そうもいかない、君のヤクシャは近中距離戦機。
海の向こうを撃つためには、今のままでは役者不足だ」
サイバーベルのデータをいじり回りながら、クニトモは早口で語る。
「加えて、ヤクシャはホバーは出来てもフライトユニットは機体特性にアンマッチだ。
そこで、流石の君にも長距離バトルキャノン砲くらいは背負ってもらわなくちゃあならない。
撃ち尽くしたらポイして即座に機動性重視へシフト。
実にメカニックの理想とする機体の活かし方。
脳汁出ちゃうね。
下手するとバスターアームズも別の換装になることは、覚悟してくれたまえよ?」
「ヘッ、バスターアームズは俺のイノチよ。
捨てるってこたァ死ぬのと一緒さ。
大地に足つけて、腕っぷしと機動性でスマートに処理。
俺には俺のやり方があンのさ」
互いを見合い、男2人。
「意地は捨てられんもんだなぁ、男ってのは」
2人の笑い声は、鋼鉄の格納庫にどこまでも響くのであった。




