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底辺男のミセカタ 〜ゴミスキルのせいで蔑まれていた俺はスキル『反射』を手に入れて憎い奴らに魅せつける〜  作者: 筋肉重太郎
第二十六章 静寂の中で暗躍する黒

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不気味な静寂

「……おかしい」


 ワシは確かに伸太に言った。これから先は一手一手が重要になっていくから、動きが慎重になってくる。少なくとも1週間は動かないだろう。と。


 実際に第二防衛基地の襲撃から1週間が経ったが、未だにお互い表だった動きはしていない。そこまではオーケーだ。だが……


「2週間動かんのは……余りにも不自然すぎる」


 これではまるでスキルが発言する前の前時代の戦争だ。ついさっきまで綺麗に回っていたモーターが急に止まった時の虚無感に近い。


「帰ったぞっ……と」


「ワン!」


「おお、よう戻ったな。それでどうだった?」


 さすがにおかしいと察したワシは、いつも見回りをしている伸太にいつもよりも行動範囲を広くしてくれとお願いし、その帰りを待っていた状況だった。


「駄目だ。いつもじゃないような細かい部分まで見てみたけど、何の動きもねえ。新潟も東京も、せいぜい最終防衛基地からの積荷が最前線の基地に運ばれてくるだけだ」


「……別に変な動きじゃない。か……」


 考えられる選択肢としては、お互いにアクションを怖がって受け身の姿勢になっている可能性が考えられる。伸太が見た積荷も、籠城戦の準備だと考えれば全くおかしくない。むしろいい一手と言える。


 むしろ、今までの戦争がアグレッシブすぎたのだ。特に東京派閥なんでビッグな派閥がここまで動いた戦争は中々見たことがない。


(あの時とは状況が違うにしろ……まさかここまで……上層部は嫌な顔しなかったのか……?)


「……どうする? 今日もこれで終わりにするか?」


 伸太はこちらの様子を伺うような控えめな問いかけを投げかける。


(ふん。舐めるなよ……オヌシに気を使われるほど老いぼれてはおらんわ……)


 しかし、ある意味ワシの予想を超えた動き方をしていることは確かだ。こんな程度で終わるわけがない。必ず水面下で大きく動いているはずだ。その水面下の動きをなんとしても事前に知っておきたい。


 目の前で返事を待つ伸太を視界に入れる。


 筋骨隆々の体に、体の至るところから発せられる強者の傲慢さ、高まり切った自尊心からなるオーラは、昔の比ではない。


(これなら……)


 伸太なら、ちょっとやそっとのことでヘマをする心配は無いだろう。


 単純計算で2週間は休んだ。もう目の前で餌を垂らされ続けて、伸太も我慢の限界だろう。


 ワシは人差し指を緩めに向け、おもむろに、思わずこぼしてしまったように話した。


「いや、行け。ある程度ならハデにやっても構わん」


 餌を食う許しを得た獣は、先程までの静寂が嘘のように、餌に向かって活発に動く。


 正に、今の伸太のことを指すのだろう。





「了解した!」





 腕の筋肉をボコボコと脈動させながら、伸太はのそのそと外に出て行った。


 てな訳で伸太動きます。

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