第1章 43話
地球を救う行動を起こせない焦りからか、勝彦はさっきから落ち着かない。
自分のせいで、捕まる様な事になってしまってリリアに申し訳ない。自分が、もう少し気を使って行動していれば、こんなことにならなかったはずである。
この様に捕まってしまったのは、自分が目立ちたいが為に、わざわざ見つかってしまったのが根本的原因である。
勝彦は、もう一度ベッドに倒れこむ。
(でも・・・)
リリアは元からこうなる事を、すでに覚悟していたかの様に思った。冥王星に来てリリアと話していると、そう感じる言動が多々あったからだ。
警官に捕まった時・・・・リリアの顔が忘れられない。
あの時、リリアは「ごめんと・・」と言っていた。その言葉は自分が言うべき言葉なのにと、勝彦は思っていたからだ。
(それにしても・・・リリアは何故、親の反対を押し切ってまで地球を救いたいんだろうか?)
「なあアルテミス・・・リリアはどうして、そこまでして地球を救いたいんだ?」
「リリア様は、生まれ変わったといっても、地球にいた頃の記憶をすごく覚えています。私は、地球に来るまでの数ヶ月間。ずっと地球や勝彦殿の事を聞かされてきました。そして、リリア様は一番勝彦殿の事を言っていましたよ。もし、地球が滅ぶ事を、あなたに言ってしまえば、必ずあなたは地球に残ると言っていました。だから、あなたを救う為には、地球を救わなければいけない・・・・リリア様はそう言っていました」
「そこまでクー太が俺の事を・・・」
アルテミスの言葉を聞いて、ようやくリリアと言いなれていたのに、ここで思わず、クー太と言ってしまった。勝彦の頭の中に、クー太との思い出が一気に思い出される。
天井に手かざして眺めていると、クー太との思い出の映像が見えていた。
12年前、俺達は本当に兄弟のように一緒に育った。
俺の子供の頃の写真には、いつも必ずクー太が写っていた。
学校を帰ってすぐに散歩に行ったし、遊んだりもした。
一緒に旅行にも行ったし、一緒に寝たりもした。
クー太が死んだ時は、ものすごく悲しかった。
落ち込んだ俺は、しばらく何も食べなかった事もあった。
あの時のショックは、今でも忘れない・・・。
あれ以降、俺は何をするにしても本気で考えないようになった。
今回のように、適当に目立つ事をしては、人を呆れさせていた。
友達も本気で作らなかった。
友達を作っても、常に一定の距離を置く様にしたのだ。
親しくなった友達が・・・いずれクー太の様に消えてしまいそうで怖かった。
高校生活でも、女友達を作る事も出来なかった。
だから、いまだに彼女もいない・・・
いや、それはただ単に俺がモテないだけか・・・。
ベッドに寝そべり、勝彦は自然と微笑んでいた。気が付くと、瞑っていた目から涙が流れ落ちている。
アルテミスからクー太の話を聞いて、自分と同じように、クー太があの時の思い出を覚えていてくれて、ものすごく嬉かった。
そう思いながら感慨にふけっていると、予想もしない出来事が急に訪れる。
「バタン!!」
部屋のドアが勢いよく開く。
ドアの開く音がして、勝彦は勢いよく起き上がった。
「救世主のお兄ちゃん!いますか!?」
入口の方を見ると、まくしたてる様に、急に部屋のドアが開いた。
すると、一人の男の子が入って来た。その男の子をよく見てみると、数時間前にレストランでリリアにすがっていた男の子によく似ている。
(こんな子供が、何故こんな所に・・・・?)
「お前は・・・?」
「僕はアーロン。お兄ちゃんを助けに来たんだよ!」
「俺を助けに?何を言って・・・?」
勝彦は、このアーロンという子供が、何を言っているのか理解出来なかった。
「僕は、お兄ちゃんの演説を聞いていたよ。そして、僕以外の多くの人が、お兄ちゃんの演説を聞いて、地球を救いたいと立ち上がったんだ!」
「はあ?・・・俺の演説を聞いて・・・?」
勝彦には、何が何だかさっぱり分からない。
(一体どういう事だ!?多くの人が立ち上がっただって・・・・?)
勝彦は全く状況が掴めず、頭がパニックになっていた。だが、アーロンは続けて説明を始める。




