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俺とクー太の銀河物語  作者: カツヒコ
第1章 地球の危機!?
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第1章 41話

「俺は・・・・皆さんと同じ地球人です!」

 あたりはシーンとして、みんな勝彦の声を静かに聞いている。ここで勝彦は、この作戦がうまく行く事を確信した。

 そっと、目線を群衆に向けるとマスコミのカメラが自分を映しているのが見えた。そして、もう一度大きく息を吸って演説を始める。

「俺は・・・・今の今まで、地球に危機が迫っているなんて知りもしなかったのです。でも、知ってしまったからには、何とかしたい。そう思っています!」

 勝彦は、自分の出せる限りの大声で、力いっぱい叫んで演説を始めた。観衆達は、次第に俺の話に耳を傾け、真剣な目つきに変わっていく。

「そして・・・ここにいるリリアは、地球を救うチャンスを、俺に持ってきてくれました。この、地球の危機を救う事が出来るかもしれない、シンピ星に行くことが出来るチャンスをです!」

 観衆は、勝彦の言いたい事を理解し始めたのか、ざわつき始める。各場所から「本当か?」「地球は助かるのか?」など話し声が聞こえてくる。

「俺は・・・・皆さんと同じ気持ちです!生まれ故郷である・・・・あの、美しい地球を救いたいと思っています!俺は必ずシンピ星に行きます!そして・・・・必ず地球を救ってみせます。どうか、みなさん俺に力を貸してください!」

 と言って勝彦は深々と頭を下げた。

 その瞬間、群衆はお喋りを止めて、静かになった。辺りは一瞬、シーンとなって静かになった。勝彦は、頭を下げている間、はたして、自分の演説は成功したのだろうか?と、不安に思っていた。この演説の成否で、ここからのスムーズな脱出が決まってくる。

 勝彦は、頭を下げて、目をつぶって、静かに観衆の反応を待った。


 そして、「おおおおおおおおお!」観衆たちから大きな歓声が聞こえた。


「俺達の地球を頼む!」

「どうか地球を救ってくれ!」

「やってくれ!そこの兄ちゃん!」

 所々に期待に満ちた声が聞こえてくる。勝彦の演説はどうやら成功したみたいで、観衆から大きな歓声が上がった。拍手や応援に満ちた歓声があちらこちらから聞こえてくる。

 勝彦は顔を上げて、笑顔で観衆に答えた。大きく手を振り、それに合わせるように観衆が沸いていた。

 それに、マスコミや観衆の注目を浴びて気持ちが良かった。

(ふふふ、いいぞ・・・これで、俺が無事に帰ってきたら英雄だぞ!)

 勝彦は、地球の危機を知ってから少し真面目な感じになっていた。でも、本来自他ともに認めるお調子者である。勝彦は久々に自分らしい事が出来たと思っていたのだった。

「ふふふ、俺の演説どうだった?リリア!」

 勝彦は振り返って、リリアに反応を聞いてみた。

「はい、とても良かったです。これならみなさん、協力してくれそうですね!」

「そうだろ!そうだろ!いやあ、俺、一度でいいから大勢の前で演説してみたかったんだよね~。これで、俺は地球の救世主様だ!ふはははは!」

と、大笑いして見せた。

「勝彦殿・・・もしかして今のは・・・・全部演技ですか?」

 今まで黙っていたアルテミスが、呆れて勝彦に聞いてくる。

「失礼なこと言うな!地球を救いたいのは本当の事だよ!でもまあ・・・去年、俺の高校の生徒会長がやっていた演説を見て、俺もやってみたいと思っていたんだよね。人々を率いるには多少の演技力が必要なんだよ!」

 と、見事に観衆を沸かせる事が出来て勝彦は機嫌が良かった。

 本当は、地球の人達にこの事を言ってもいいか、リリアに聞いた時点で考え付いていた。でも、演説をして『自分が英雄になるぞ!』という卑しい気持ちは隠しておいた。言えば、反対されて軽蔑されかも知れないと思ったからである。

「リリア様・・・ホントに勝彦殿でよかったのですか?」

 アルテミスは、リリアに呆れた感じで聞いた。

「あははは・・・」

 横でリリアが愛想笑いをしている。でも、そんな事気にせず勝彦は、観衆に目一杯手を振っていた。

 そして、それに観衆達は答えていた。

「ほら、リリアもみんなに手を振って!」

 勝彦は、少し呆れたリリアに観衆へ手を振るように言う。盛り上がった観衆を見て、勝彦はいい気分になってみんなに大きく手を振って出来る限り観衆を沸かせていた。

「いやー、気持ちいい!超気持ちいい!」

 多くの人に注目されて、演説もバチっと決まって、集まった観衆は歓声を送ってくれる。

(完璧だ!)

 勝彦がホテルの部屋を出る時に思い付いた作戦は見事に成功した。これで、勝彦達の行動を止められる事はないはずである。きっと笑顔で見送ってくれる事だろう。

 勝彦は、そう思って一安心していると、群衆の向こうから管理局長と多くの警察官達がやって来る。

「茶番はそこまでです。姫様!さあ、お前達もこれ以上騒げば本当に難民認定を取り消すぞ!」

 管理局長の声に、辺りは一斉に静かになった。勝彦達に向けられていた視線は、一気に管理局長に向けられる。

 そして、勝彦達の後ろには、先ほどまで護衛をしていた警察官を含め、数多くの警察官が取り囲んでいた。

「姫様!お父上はこうなる事を心配しておりましたぞ。申し訳ありませんが、姫様にはしばらくそちらのホテルで滞在してもらいます」

 管理局長は、今度はリリアの父親を出して行動を止めて来た。

「そんな、私が決めた事です!お父様の事は関係ありません!」

 リリアはそんな管理局長の言葉を否定する。

「残念ながら、我々はその、お父上から勝手な行動をしないようにと、すでに仰せつかっているのです。素直に従ってください!」

「嫌です。私は地球を救うチャンスがあるなら、それに賭けたいのです。私は地球を救いたいのです!」

 リリアは、管理局長に必死に訴える。だが、局長はため息をついて丁寧にリリアに説明をする。

「お気持ちはわかりますが、我々も命令を受けておりますので・・・・」

 管理局長はそれ以上何も言わず、警官達に手振り合図を送る。

「さあ、お前達!姫様を拘束しろ!」

 管理局長が命令すると、警官達は一斉に勝彦達に迫った。

「はっ!」

 後ろに迫っていた警察官は、見た事もない銃らしき武器を突きつけて、勝彦達を拘束してくる。さっきまでリリアに従っていた警官は、今度は言う事を聞いてくれなかったのだった。

「リリア様、港の方も封鎖されてしまいました!」

 と、追い打ちをかけるように、アルテミスが宇宙港の状況を報告してくる。いよいよ八方ふさがりになってしまったのだった。


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