第1章 40話
「よし、そうと決まれば行こう・・・」
勝彦の掛け声とともに、リリアと勝彦は外に出る為に部屋のドアを開けた。
すると、部屋を出るとドアの前に立っていた護衛の警察官がさっそく止めてくる。
「待ってください、姫様!どちらに向かわれるのですか?」
部屋の前には、若い警官が2人立ち塞がっていた。
(やっぱり、素直に通してくれる訳ないか・・・)
「私達は、これから港に向かいます!」
リリアは真剣な声で警官に訴える。
「だめです。外は危険ですので止めてください。局長より、落ち着くまでこの部屋におられるように仰せつかっています」
護衛の警官は、勝彦達の行く手を固く遮っている。あくまで勝彦達を通すつもりはない様だ。
「大丈夫です。私達は彼らと話し合いをしてから行きますから・・・」
リリアは警官達に安心する様に訴えた。
勝彦とクー太は、下に降りて地球を救う事を言えば、逆に協力してくれて問題なく通れると思っていたから、警官達が思うような心配事は何も無い。
「しかし・・・」
警官達は困っていた。そりゃ上司の命令を聞かない訳にはいかない。でも、リリアの真剣な目つきは、あくまでここを通るつもりだった。
ここでリリアは、警官への強引な説得を始めた。
「私は新銀河連合評議会メンバーの一人です。ここを通さなければこの件は新銀河連合評議会に訴えますよ!」
と、リリアは権力を傘に着て警官に向かって指さす。
リリアの指はビッシと警官達に向けられていて、とてもカッコよかった。普段、消極的なリリアが珍しく強気だったのである。あくまでリリアはここを強引に通ろうとして、何が彼女をやる気にさせていたのか勝彦は気になった。
「おい、どうする?相手は新銀河連合同盟の議員様だぞ・・・・」
前に立っていた警官は、何やらコソコソと相談しだす。
「地球管理局長のブレッド様とどっちが偉いんだ?」
「馬鹿言え!地球管理局長の地位なんて、グーグルで言ったら、下請けの下請けのさらに下請けのただの臨時アルバイト位違うぞ!」
「マジで!?それは・・・・・・通そう!」
「だよな・・・・」
「はっ、わかりました!」
強気なリリアの態度を見て、警備の警官はすぐに俺達の行く手を開けてくれた。最初は通す気がなかったのに、今は完全にひれ伏している感じである。
「さあ、行きましょう!」
リリアは、勝彦を手招きして先に進もうとする。
「お前って・・・本当は偉い人間だったんだな・・・」
勝彦はリリアの強引な言動に感心して感動した。
「ううん、違います。ただ、生まれた所の地位が少し高いだけです。私が偉いわけではありません!」
勝彦はさらに控えめなリリアの言葉に好印象を抱いた。地球から冥王星までの会話で、リリアは特に偉ぶったりしていなかった。むしろ、ずっと他人に気を使う行動をとっているのを勝彦は見ていた。そんなリリアを勝彦は誇らしく思っていた。もう完全にリリアの事を信用しきっていたのである。
勝彦は、これから何が起きても、リリアを信用する事を固く心の中で誓っていた。
それから、勝彦とリリアはエレベーターに向かい乗り込んだ。
「ちょっと待った!」
ここでリリアは一階に向かおうとしたけど、勝彦はすぐに止めた。
「はい?」
不思議そうにリリアが勝彦を見ている。
「俺に、考えがあるんだ!名付けて、オペレーションスタンドアウトだ!」
勝彦は、親指を立ててニヤリと笑った。
「オペレーション・・・スタンドアウト・・・?」
又もリリアは不思議そうにしている。
でも、勝彦はそんなリリアを気にせず、エレベーターに2階へ行くように指示する。
そして勝彦は、2階に着くとある場所に行く方法を探していた。
「どこに行くんですか?」
勝彦の後を追うリリアが不思議そうに尋ねる。
「まあ、見てなって!えーと・・・多分ここだ!」
勝彦は、バルコニーから群衆を見下ろしていた時、ある場所に気が付いた。そして、同時にこの群衆を説得するある方法を思いついたのだった。
一階に降りて、集まった人達と直接話をしても一部の人達にしか伝わらない。こちらの主張を知ってもらうには限界がある。
群衆をよく見てみれば、騒ぎを聞きつけたマスコミらしき人達が来ているのが確認出来ていた。
(これを利用する手は無い!)
「勝彦君・・・ここは・・・?」
勝彦達は、2階のホテルの入り口の上にある舞台みたいな所に来ると、集まった多くの群衆達が眼下に見えている。
さらにそから勝彦が見渡してみると、1000人位の人が集まっている。
まさしく、人口一万人の中での1000人である。この星の多くの人が、リリア・・・いや、クー太に最後の希望を託しているのだった。
勝彦とクー太がさっそく舞台の上に立つと、集まった群衆達は注目した。何が始まるのか分からず、興味津々で勝彦達を見つめている。
(思った通りだ!ここで発言すれば、多くの人に聞いてもらえるはず。ここなら、目立つには絶好の場所だ!)
勝彦は、リリアに隠していた最後の作戦を実行に移すことにした。
「みんなー聞いてください!」
勝彦がそう叫ぶと、多くの人達が注目した。そして、群衆達は横にいたリリアを見つけて、立ちどころに叫びだす。
「いたぞ!銀河連合評議会のリリア様だ!」
「リリア様、どうか私達の地球をお助け下さい!」
「リリア様!俺達の地球を助けてくれ!」
みんなリリアに注目している。
そして、集まった群衆から様々な声が聞こえる。やはり、みんなリリアに最後の希望を抱いているようだった。
勝彦は、息を飲み込み、大きく吐いた。
(ここから俺に注目を変えるのは至難の業だ!)
集まった群衆は、みんなリリアを見ていて、勝彦を見ている人は誰もいない。それでも、勝彦には一つの考えがあってやる気に満ち溢れていた。
そして、勝彦は大きな声を出して、群衆に訴える。
「みなさん聞いて下さい!」
この一声で、視線をリリアから勝彦に向ける。




