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鉄拳アタック

※この物語に登場する名称等は実在の人物・団体とは一切関係ありません。


春です。校門だけではなく、学校の周りは桜が満開です。

清々しいです。空も快晴で綺麗な青が一面に広がっています。

まるで、太陽が自分たちを祝福してくれているように見えます。


「一応聞いておくが、祝福って何の祝福だ?」


「モチ、俺と姐さんのラブらゴハッ!」


「その続き言ったら岳倉川(近所の川)にお前の死体が永遠と漂いつづける事になるぞぉ?」


「痛い、ひどい、あの夜の出来事は何だったの??」


大きなタンコブが出来た頭をさすりながら俺は姐さんを見る。


「ないない、大体、夜にお前と会った事なんてないだろ! 誤解を招くような事を言うな!」


姐さんは怒ってはいるが、顔は真っ赤だ。どうやら満更でもなさそう?


「うふふ、顔なんか赤くしちゃってぇ~、かわいブフっ……」


「さぁ~て、今日はお前のせいで学校に遅刻していかなきゃならんらしい」


思いっきり鼻を殴られ悶絶する俺。鼻血がド派手に流れる。

殺されそうです。しかし、どうした事でしょう?

姐さんの顔がいつも以上に美しいです。マリア様のようです。

なんか今日は何されても嬉しくてたまらない気分がしそうです。


「満身創痍のくせに何ニヤついてんだよ? 末期か?」


「マリア様ぁ、もっと殴ってぇ~!」


「……しらん」


付き合いきれなくなったのか、姐さんは俺を置いてとっとと行ってしまった。

ふふふ、そのつれない所もジャストミートだ!

そして俺は意識を手放した。





俺は清原竜輔きよはら りゅうすけ。私立岳倉橋高等学校3年1組、出席番号は5番。

ただ今、我等が姐さん、氷見院柳ひょうみいん やなぎと激・恋愛中!

だから、“恋人募集”なんて負け犬がするような自己紹介はせんのだ。

あと、姐さんは同じ高校で同じクラス。出席番号は16番。

ん? 男が少ないのかって??

そんなわけないじゃん。

俺のクラスは男子21人、女子19人の40人クラス。まぁ普通さ。

男子は1番から始まって、女子は22番から始まる。

矛盾が起こるって?? あぁ、姐さんの番号ね? 

いい質問してくるじゃん! 確かに、姐さんの番号は16だ、間違いない。

しかし、女子は22番から始まる……だ、断じて○モ接合体とかそういう話にはならないから注意!

俺は至ってノーマルだ。そして、姐さんに一途なんだぞ!

ここ“テストに出るから耳かっぽじってよく聞け!

そしてありがたく思え、この学校では俺以外の生徒はみんな知らない。

姐さんは女だ!!!

男装したがるお年頃なだけだぁ~~~~!!


「だぁ~れぇ~が~お~と~し~ご~ろ~な~ん~だぁ~?」


「うひゃ、姐さん! 傷ついた俺をわざわざ見舞いに来てくれたのぉ? 竜輔、感激はあと


「……見舞うまでもなかったか。」


溜息をつく姐さん。その姿もまた色っぽい。


「こらこらぁ、興奮するとまた鼻血がでるわよぉ~?」


おっとり口調で保健室の渡辺敏子わたなべ としこ先生が俺に諭す。


そう、俺は今保健室のベッドの上に横たわっているわけだ。今朝、姐さんに愛の鉄槌(?)をくらって、気づいた時にはここに運ばれていた。


「敏子せんせぇ~、姐さんの心をゲッチュ~する方法を教えてくらはい。」


「はいはい、また今度ねぇ~。」


実は敏子先生も教師陣の中で姐さんが女である事を知っている数少ないお方なのだ。


「はぁ~、渡辺先生。この馬鹿をもうちょっといたぶっておいてください。」


「OKぇ~! 氷見院さ……じゃなかった、氷見院“君”もはやく教室に戻ったほうがいいわよぉ?」


「はい、では失礼しまーす。」


「次の時間も待ってますよ、姐さ~ん。」


バタンっ! 


ふっ、今のは俺に対する愛の返事だと見抜いた。


「そんなわけないと思うけどぉ~?」


敏子先生の容赦ないツッコミ。


せ、せんせい、Good job!

ていうか、地獄耳ですか?


「ん~、意味わからないけど、昔よく言われたわ~。どういう意味なのぉ?」


「えーと……聴く力が長けていることかと。」


「ふ~ん、あたしってすごいのねぇ~?」


「あ、あははは……。」


こういう事も持ち前の天然パワー(?)でプラスに考える人だから付き合いやすい。


「ところでぇ、前々から聞こうと思ってたんだけどぉ、なんでそこまで氷見院さんの事が好きなのぉ~??」


「はぁ、それについては話せば長くなります。」





あれは、俺が高1の時だった。

たまたまその辺では名の知れた不良、神原大介かんばら だいすけと同じクラスになって、そいつが“無謀”にも俺に喧嘩を売ってきた。

理由は、どちらがクラスの番長になるとかって意味不明な理由だったと思う。

勿論、その喧嘩を買ってやって、ボコボコにしてやったわけよ。

そういう経緯で、リベンジしに来た時だった。


「清原、てめぇこの前はよくも俺の美顔をボコボコにしてくれたなぁ?」


「へぇ~、てめぇの顔が“美”って言うんなら、俺の顔はまさに“超・美”ってわけだ。

その“超・美”顔の俺に無謀にもまた挑戦しに来たってわけか? 

今度はどんな顔にしてやろうかなぁ~。そうだ、“パパ”にしてやろう。『これでいいのだ!』最高!!」


「て、てめぇ、我慢ならねぇ。この拳で直接殴りたい……が、あいにく、今日は血で汚したくないんでね」


「この前はそのまま殴りかかってきたけどな?」


「う、うるせぇ! ……センセイお願いします」


そこで後ろからそこそこデカイ奴が出てくるわけよ。

髪の長さは耳が隠れる程度でボサボサ。ワックスか何かを使っているような感じには見えないが……。

釣り目なところが威圧的、そのくせ肩幅は意外にも狭い。

一匹狼な助っ人って奴か?


「俺は誰かを殴れればそれでいいんだ。んじゃ、いくぜ!」


釣り目男は真っ直ぐ俺にパンチを打ってくる。

俺はワイヤーアクションさながらの動きで華麗に避けるみせる。


「どうした、こんなもんかよ?」


とか言って、相手の拳を余裕で掴んで……思わず見とれてしまった。


「っ! ……な、何だよ?」


「う、美しい。完璧だ。こんな綺麗な手、初めて見た。お、お名前をお聞かせください!!」


「な、名前!? ……氷見院柳だが」


そう、これが俺と姐さんとの運命的出会いなわけさ。ん~、一目惚れだねぇ。


「俺、清原竜輔です! 趣味というか特技は女あさ……じゃなかった女性とすぐ仲良くなる事です。宜しくお願いします!」


「あ、あぁ、こちらこそ……?」


握手をした。

そこで一つ提案。


「今日から“姐さん”って呼んでもいいですか?」


「ね、姐さん!? てめぇ、なんで俺が……」


言いかけて、後ろを振り返ると同時に


「ばっち来~~~~~~い!!」


叫びながら当時の姐さんは大介パパ(勝手に命名)を殴り飛ばして、俺を一目の付かない所に連れてきた。

俺はその時、何をされるのかドキドキハラハラしたものだ。(いや、嬉しい意味でだぞ?)


「ふぅ~……お前、なんで俺が女だって気づいた? 親父の犬か?」


「何を仰いますか! 俺はあなたの手に惚れたんでやんす。そして、よくよく見ると顔も意外と……(ぽっ)」





まじで姐さんの顔は“超超超・美”って感じでさ~、さらに惚れちまったんだよね。


「なるほど、つまり、清原君は女垂らしってわけねぇ~。私も気をつけなくちゃねぇ~」


「ご心配なく! 俺は姐さんと人生を共にしますので、他の女性の方々には超・安全ですよ」


「それで、なんで女だって気づいたのかしらぁ? 私は土方先生から聞いてるから知ってるけど、普通に手がきれいってだけで女だってわからないはずよぉ?」


ここで補足説明。土方先生とは俺のクラスの担任である。


「先生、俺は半径20m以内なら例え、視界が悪くても正確に何人いるかわかりますよ」


これぞ、清原流108の秘密技の一つ、人間女補足術!

本来、姐さんと出会う前はクールな感じで、いろいろな女を口説いては転々としていたのだ。

そうだよ、世に言う女垂らしだよ……

108って煩悩の数のことなんだぜ? 頭が足りない俺でも知ってる!(どや顔)


「姿形がどうであれぇ~、男と女の区別くらいつきますよぉ~」


敏子先生の真似をしてみる。


「そういう力をもっと日本のために役立てられないのかしらねぇ~」


グサッ!!


アウチ!!!!

鋭い突っ込みを二度もくらっては今日は姐さんが来るまで立ち直れそうもない。

早く来てぇ~~~~~、姐さぁぁ~~~ん!!



主人公は作者と違ってくじけない。

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