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俺の異世界が何かおかしい  作者: 路崎舞
第一章『夢のセカンドライフ』
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第一章1話『セオリーに沿わない異世界転生』

「――れ――え!」


 ――何かが聞こえる。

 あぁ、そうか。ここはあの世なのか。俺はもう死んだんだな。未練……あったかなぁ。強いて言えば、両親を残して他界したことは気掛かりだ。……数ヶ月くらいろくに連絡返せてないけど。


 ――それ以外は特に無いな、うん。伊達に自分に嘘を吐かないように生きていない。


「我が人生、一辺の悔い無し」


 人生で一回は言ってみたかったんだよなぁこのセリフ。まぁ、もう死んでいるが。

 ――そういえば、なんで何も見えないんだ?


 視界が、暗闇で覆われている。人の音は聞こえる。何故か、鉄がカチカチ響き合う音も。だが何も見えない。


「――――ふむ」


 そうかそうかそうなのか。あの世では目が見えない設定なのか。

 ……目が見えない天国とは。それはもはや地獄ではないか?


「そ――ん、――こ――ぇ!」


「――を――もりしろぉ!」


 うん、なにやら先人達が騒がしい。


「あの、すみません。ちょっと今人生振り返ってるんで、黙っててくれます?」


 完璧だ。大成功だ。見事に静まり返っている。コツは優しめに、かつ威圧的に。ほどよいハイブリットが最高のハーモニーを醸し出すんだ。


 生前の知見がこうも役に立つとは。存外、何事も体験するものである。バ先の店長と室長の諍いも、よくこうして封殺してたっけ。――バイト戦士の憩いの場である休憩室で喧嘩をおっ始める方が悪い。俺は忠義厚く職務を全うした同志達の平穏を守ったのだ――。


「おい! 質問に答えろ!」


 お。やっと聞こえてきた。だが言われている内容がピンと来ないな。

 ――質問? されてたか?


「質問の意味が分かりませんが。……初めまして、先人の皆様」


「は?」


 は? と言われてもだな。分からないものは分からないのだ。正確にはちょっと耳がフリーズして脳がブロッキングしていたのだが、それも仕方ないだろう。


 ――ポテチ死した直後に人の言葉に耳を傾けろと言われても無理がある。俺がそうしたくとも、体が追い付かないのだ。今だって、血で溺れた感覚が消えて無くならない。


「誰だお前はって聞いてんだよ! 何なんだお前は……!」


 おっと、いけない。俺としたことが失念していた。

 自己紹介は全てに先立つ。平時でなくとも、失念せぬよう心がけねば。


 十九年の経験上、ここを落とすと大抵の場合、終わる。多少無理をしてでも、気ぃ張ってスマイルだ。


「俺は冴島 芽吹(さえじま めぶき)十九歳。自宅防衛軍総司令官兼実働部隊隊長を務めている。よろしく頼…………お願い、します……」


 よし、失敗した。つい緊張してお願いしますなどと口走ってしまった。


 自己紹介は、小難しくハキハキ淡々と、と相場が決まっているというのに……。せっかく話題誘導用として用意したツッコミ所の数々もこれでは無意味だ。


 ポージングも台詞も滑舌も声も音程キープも文句無かった。最後のあれが全てを台無しにした。

 二ヶ月間、コンビニ店員としか会話していなかったのが裏目に出た結果だ。後の祭りだが、猛省する。最低でも、お風呂で毎日ア〇ェ・〇リアでも歌って発声練習しておくべきだった。



 これは終わったな。この後、どんな展開が待っているのか容易に想像がつく。


 あれだな。気が弱いやつだと誤解されたまま、パシリルート直行だな。「なぁなぁ芽吹くーん、ちょっと隣の駅のスタンプラリーやってきてくんね?」なんて言われて用紙を渡され謎のスタンプを押すことになるんだ。そして「あ、ごっめーん☆ 隣の駅って在来線じゃなくてー、新幹線の方なんだよねー」と労力を嘲笑われるんだ――。


 そうしてこの身に待ち受ける受難を憂うのに浸っていた俺は――、


「えじまめぶきじゅうきゅうさい?」

「じたくぼうえいぐん?」

「じつどうぶたいたいちょう?」

「即刻捕らえよ!」

「……へ?」


 先人達から浴びせられる想像の遥か斜め上空を行く返答に、面を食らっていた。





 ――こうして俺――冴島 芽吹は、異世界転生した直後に牢屋へとぶち込まれた。



本日もお読みいただきありがとうございます!

『俺の異世界が何かおかしい』連載開始です!✨


俺おか(あるいは"いせおか")は代表作執筆の息抜きに執筆していく予定です。

頭を空っぽにして楽しめる作品になってるんじゃないかなと!


ストック無いので更新頻度は保証できませんが、ざっくりプロットは組んであるので気長にお待ちいただけると幸いです。

目下、毎週金曜日更新予定です。


では皆様。今後とも、よろしくお願いします!!✨



ーーー

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