12「油断大敵」
騎士たちは、まさか抵抗されると思っていなかったのだろう。防ぐ間もなく、まともに魔法を正面から受けてしまった。
「がっ……っ‼」
騎士たちの身体が、見えない何かに押し出される形で吹き飛ばされる。そのままの勢いで、騎士たちは家の壁に激突した。
「き、貴様⁉ 何を……」
「衝撃魔法‼」
動揺するアロエラに対し、俺は容赦なく魔法を放った。近衛騎士団は、王国の中でも選りすぐりのエリートだけが入団を許される組織だ。
そんなエリート集団の副団長となると、さらに優秀さに磨きがかかる。戦いに関しても、当然ながら優秀だ。
しかし、油断大敵とはまさにこのこと。気を緩めていたアロエラは、俺の抵抗に対し対処ができなかった。彼女もまた、他の騎士と同じように壁に激突する。
「はぁ、はぁ……」
アロエラ含め、この場にいた騎士全員が気を失っていた。慣れない魔法の使い過ぎで、俺も気を失いかけるが、どうにか堪える。
「た、タイヘイ君……いつの間に、こんな」
「クレアさんの教え方が上手だからですよ。さあ、逃げましょう」
俺は、クレアさんを縛っていた縄を急いで解く。
「とりあえず、今行くべきなのはドランドのところね。彼女の暴走を止めて貰わなきゃ」
また、ドランドという男の名前が出てきた。ここ数日、俺を散々悩ませてくれた、恋敵の名前である。
「……ドランドって、誰なんです?」
思わず、聞いてしまった。だが、非常事態なので仕方ないだろう。
「ドランドは、近衛騎士団の団長よ。私の、古い友人なの」
つまり、あのアロエラの上司ってわけか。だが、俺はその部分よりも、「友人」という部分に関心が向いており……。
——良かった。恋人じゃなかったのか。
そんな、場違いの安堵感を抱いていたのだった。




