最終話 オカン
オカンの退院後、タケシの一家は
今まで通りの有り触れた
普通の生活を続けている。
唯一違う事と言えば、タケシが
自分の部屋に中々戻らない事であった。
夕食後も部屋に戻らずにリビングで
宿題をするタケシにオカンが声をかけた。
オカン
「アンタどないしたん?
自分の部屋行けへんのかいな?」
タケシ
「うん、あの黒い渦巻きまだ消えへんねん」
オカン
「ホンマかいな」
タケシ
「ホンマやで、何か油断してたり
寝返りうったりしたら
また吸い込まれるかもしれへんから
むっちゃ怖いねん。もうほとんど
俺の部屋つこうてへんで」
オカン
「それ早よ言いなアンタ。
そんなんお母さんに任しとき」
タケシ
「え?どうするん?」
オカンは押し入れから掃除機を持ち出し
タケシの部屋へ行く。
タケシ
「ちょおオカン何するん?」
タケシもオカンの後を追う。
タケシとオカンはタケシの部屋で話す。
オカン
「こんなもんダダイソンで吸い込んだら
しまいやないのアンタ」
タケシ
「いや無理やろ、
異世界と繋がるゲートやぞ」
オカン
「ええから見ときい!」
オカンがダダイソンの掃除機を
異世界ゲートに近づけると
黒い渦巻きは見る見るうちに
ダダイソンに吸い込まれ、
跡形も無く消え去った。
タケシ
「・・・・・」
オカン
「ほらな、ダダイソンに
吸い込まれへんもんは無いんやでアンタ」
タケシ
「すげーな、ダダイソンマジ神やん」
オカン
「ほんならこれでもう安心やね」
タケシ
「……あー、でもこれで
もう異世界に行けへんくなってもうたな。
オカンは異世界に逃げたいって
思わへんの?」
オカン
「思わへんわアンタ」
タケシ
「ホンマに?あっちやったら
めっちゃ賞金貰えて上手くやっとったやん」
オカン
「……賞金なんてどうでもいい。
お母さんはな、アンタが元気で、
お父さんが元気で、家族が元気やったら、
それだけで幸せなんやで。
せやから異世界になんて、
行く必要無いんやでアンタ」
タケシ
「……そうか…」
その後もタケシは今まで通りの
学生生活を続けている。
毎日目覚まし時計で起き、
同じ時間に同じ電車に乗り同じ学校に通う。
だが異世界に転生したあの時の
冒険を経て、平凡な毎日を
以前よりも少し前向きに生きれるように
なったと、そんな風に思っていた。
そして一つタケシには気がかりな事が
残っていた。
オカンがダダイソンで吸い込んだ
黒い渦巻きの異世界ゲートが、
ダダイソン本体ののゴミ集めボックスに
まだ残ってるかも知れないと言う事だ。
タケシ
(……あのゴミ集めボックス開けたら
どうなんねやろ……)
そんな事を気にしながら
タケシの日常は続くのであった。
異世界生活満喫してたら
うちのオカンがやってきた!
終




