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第五十三話
山伏達は山襞を滑るようにして虎千代と段蔵の前に立ちはだかり、錫杖の頭飾りを外した。
頭飾りを抜き捨てると、諸刃が槍の様に現れた。
山伏達は相当鍛錬された刺客であると、一目で見て取れた。
「小僧を渡してもらおうか」
一人の山伏が低い声で段蔵に言うと、他の二人が素早く三方に分かれ段蔵を取り囲んだ。
「断る」
段蔵が威嚇を含めた凄みのある声で言うや否や、錫杖が三方から一斉に段蔵に襲いかかった。
段蔵はとんぼ返り、攻撃をかわしながら手裏剣を三方に放散し、九十度にそびえる岩肌を蹴って体を反転させ、膝のばねを収縮させた。
「標的確保」
段蔵はにやりと笑って、極限まで縮めたばねの箍を一気に解放した。
空気抵抗を避け、一の字に飛ぶ段蔵が矢の様に空を裂いた。
次の瞬間、標的にされた山伏の首が飛び、切り離された胴から血が噴出した。




