40/388
第四十話
「段蔵さ~ん。休憩しようよ。休憩。寺出てから歩きっぱなしだよ~」
だらしなくへたばる虎千代の姿を、段蔵はちらと見て、虎千代の傍まで戻ってきた。
段蔵は腰につるした竹筒の栓を抜き、虎千代に手渡してすぐに背を向けた。
「段蔵さんも座りなよ」
立ち尽くしたままの段蔵に虎千代が声をかけたが、段蔵は一向に座ろうとしない。
「段蔵さん無口だね。今日出会ってから僕しか喋ってないもの」
虎千代は竹筒を傾けて水を喉に通すと、竹筒を持った腕を段蔵に伸ばした。
段蔵は竹筒を受け取ると
「おぬしが喋り過ぎなのだ」
憮然と応えた段蔵の声は、薄汚れた旅装束からは想像できない、透き通るような声だった。




