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第百五十九話
段蔵が、くくく、と、うつむき加減で、声を殺して笑う。
景虎はゆるんだ頬を引きしめて、
「でもまぁ。使えるものは何でも使わねぇとな」
と、目を座らせた。
長尾の家臣団の間では、景虎の温情裁きに好意的なものと、甘い姫殿と揶揄を飛ばすものとで、物議を醸し出していた。
反景虎勢力の者たちからは、秀忠との戦は大義上の表向きで、影では秀忠と密約が結ばれており、晴景を亡き者にする為の布石だと、公然と揶揄された。
秀忠との戦闘で受けた景虎の傷は、直ぐに癒えたが、黒い噂が若い景虎の心を蝕んだ。




