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牛と歩む開拓史  作者: ぴえ
学生生活
13/13

まずは観察と実験

 目の前には新種のゴブリン。ならまずは実験でもしてみようか?


「この学校にいる男は碌な奴がいないな。」


 ボソッと悪口にも聞こえるような台詞を口にした途端に男連中を摂取したゴブリン達が一斉にこっちを見る。この程度の事にも反応するのだからやりやすいと言えばやりやすい。こっちを向かないゴブリンはティアラが2丁のサブマシンガンのようなサブマシンガンを乱射しながら制圧していく。夫としてはあまり見たくない場面だった。どちらかというとそれは俺の役じゃないだろうかと思うんだが今更気にしても遅いと思ってしまうところに救いがない。炸薬の代わりに魔力を使っているのでサイレンサーよりも音がしないので遠目から見るとゴブリンが勝手に穴だらけになっているように見えるんだよな。対物ライフルクラスなると多少は音がするんだけど。新種に話を戻して、思考にも影響を与えているというよりも吸収が近いのか。後はどの程度劣化しているかだな。劣化具合を知りたいのだが、攻撃されても判断できないし。攻撃の強弱なんてあまり意味ないからな。テストで女性陣に当たって貰うのも確実に良くないと。精神的に判断するしかないのかな?


「俺の事をどう思ってる?」


 まずは会話が出来そうなのでコミュニケーションを取ってみようか。


「「「女の子との架け橋。」」」

「金づる?」「あいつの周りには女の子が多いので友達になりたい」


 俺の事がほとんど無視されて利用価値でしか認識されてないのか。とりあえず動けないようにしておかないといけないのでなんとかしないと。で気になる本音はどうなんだろうか?


「本音は?」

「絶対に悲惨な死体にしてやる。」「美味しいところだけ貰って面倒事を押しつける。」「ネルちゃんに近づく糞虫は駆除だ。」


 本音と建て前があるのは理解したが、女性陣がいるのに本音を漏らしてしまうあたり劣化していると見た方が良いのか?もともとがこの程度だったのか・・・

 実際に交流があった訳でも友人だった訳でもないので判断できない。惚れられてるということに期待してネルと思われる女の子に聞いてみる事にしようか。初日の自己紹介をきちんと聞いておけば良かった。


 まあ聞くにしても襲ってくるので生存しているゴブリンで膝から下がある奴はもういないんだけどね。なぜ膝から下がないのか?正解は、俺に対しての暴言についての報酬として魔法で地面をサメに加工して四肢を食い千切らせてしまったからでした。多少知能を付けてもゴブリンはゴブリンということなんだよな。精神的に不安定になっているのか魔法も使ってこなくなったしな。モンスターなのにメンタル弱いんじゃないか?


「ネルちゃんはこいつらに食われた奴の事知ってるの?」

「私たちは全員知ってますけど、私たちを散々つけまわしていましたから。あとちゃん付けはやめて貰えますか?」

「・・・まあとりあえずそいつらは全滅した訳だから今後は安心でしょ。こいつらは新種っぽいからいろいろ調べてみたいんだけどいいかな?」

「ちょっと時間貰っても良いですか?」


「ちなみにあれは女子会ではありませんよ。ただ話し合っているメンバーが女性だけという事です。」

「分かってるよ。」


 あれが女子会なのかな?女性陣パーティーが集まって話し合いをしているのを遠巻きに見ていたらティアラに突っ込まれた。多少の見栄を張っても問題ないだろう。まだ世間ずれが治っていないというか慣れないものだ。


「良いですけど、検証に付き合う報酬が欲しいんです。厚かましいようですけど私たちは今回収入が今のところないんで少しコアを融通してください。」

「それなら全部譲っても良いから頼むわ。面子が減ったけど改めて自己紹介でもしようか。俺が一太郎で、あっちがティアラね。」

「お二人は良い意味でも悪い意味でも有名ですから自己紹介は必要ないですね。私はネル・フライヤー、フライヤー家の長女です。このパーティーのリーダーをしています。呼び方はネルでお願いします。ちゃんは付けないでください。」


 この”ちゃん”付けを異常に拒絶する魔法使いのリーダーが件のネルということが判明。残りの3人も自己紹介をして貰ったが、あれだ。印象が薄くてあまり覚えられそうにないが、協力して貰える事になったのは喜ばしい。早速生け捕りにしてあるゴブリンとの検証に入り日が暮れる頃に申し訳程度の止血を施してあったゴブリンが出血死して調査が終了。ある程度の事までは確かめられたと思う。


 ・人間がモンスターに捕食されると、食われた人間の経験した知識・技術・性格など、その人物を形成するもの全てが吸収される。

 ・捕食され吸収される割合は捕食される人物がどの程度食われたかによると思われる。頭1つと頭以外の残りであれば後者の方が色濃く吸収されるらしい。

 ・捕食したモンスター同士も捕食可能で吸収もされるし、ある程度であれば欠損した部位の修復も行われる。


 委譲が今回分かった事であるが、マリーの方針が分かったような気がする。放置しておけばモンスターが勝手に強化されていく訳で、そのうちモンスターと人の戦争にでも発展することになるだろう。そうなるとモンスターの強化に拍車が掛かり情勢悪化となるわけだ。そうして情勢悪化で混乱期になれば俺とティアラが楽しめると思っているんだろうな。もと神の代弁者と称えられた巫女の面影はもう無いな。人類諸君、君らの知る巫女は死んだぞ。


「一太郎、時間をかけすぎたようですので山頂に戻り次第野営をしましょう。」

「確かにもう日が暮れてきてるから、ネル達もそれでいいか?」

「私たちも構いません。というよりもここにいたくありません。」


 出血多量でお亡くなりになったわけだから辺りは血まみれだし、ティアラが優しく駆除した3桁に届く量のゴブリンもお痛みになってきているのか、ほのかに香っている。意識してしまいそうなのであまりはっきりと言いたくないのだがぶっちゃけ臭いんだな。


 頂上まで戻り、男性陣が散っていった森を見下ろしながら遅めの夕食を取る。ここにいる全員が今回亡くなったやつらに対して全くと言っていいほど未練も執着も無いので悲しい気持ちが起こりそうにない。ティアラを含めた女性陣は夕食の味付けについて議論をしているようで俺としては盆地を眺めつつ不憫な男性陣に対して考えるくらいしかやる事無い。新人10人のパーティーで4人が死亡ということは惨敗として記録に残る事になるんだろうか。実際の戦場なら責任問題になりそうな結果だ。いくら下半身で思考しながら行動しているような連中でも遺族はいるだろうし遺品でも回収してやるのが人情という奴なんだろうがゴブリンの体液塗れを渡されても困るだろうしな。


「もう寝る事にしませんか?」

「じゃあ見張りの当番でも決めないとな。」

「ネルのパーティーがやってくれるそうですよ。報酬に期待しているとの事です。」

「現金な考え方だな。ノルマの事もあるから金に汚いとは思えないけどさ。」

「今回は検証以外役に立たなかったと自覚があるようですから問題ないと思います。ということで寝ましょうか?」

「あいよ。」


 テントに入る時にネルのパーティー全員が期待した目でこっちを見ているのには昨日から気が付いていたけど、テントの中でいちゃいちゃしないからあんまりプレッシャーをかけないで欲しいんだよね。テントなんて所詮布で出来ているんだから期待に添えない事くらい分かるだろうに。期待するならこっちに来れば良いだろうに。ん?なんか変な思考をしているよう気がするが気のせいだな。疲れたのと友人っぽい知人を失った事に心労を覚えているんだろう。今日は早く寝よう。


 監視された夜を過ごし行き着いた先は当然のごとく朝。寝た気がしなかったが早めの朝食を取り帰路を辿る。がっかりしたような雰囲気を醸し出しているネル達の事を無視しつつ出現したモンスター達を手早く処理していく。異世界物であれば剣術や魔法なんかで攻撃するんだが、俺もティアラも銃器の方が手間が掛からないという事を知っているので適当にばらまいておけば問題ない。魔法使いであれば興味がわくのだろうか、ネルが撃ってみたいという事なので撃たせてみたところ1発で魔力を使い切って気絶してしまったので俺がおんぶする事になった。感触を楽しむにもネルが着ているローブが分厚いものだったので全く分からなかった。他の要因としてはメリハリのきいた体では無かったという事なんだろう。知らなくていい情報はなぜか頭に定着するのはどうしてだろうな。


 体力的に問題のあるネルが伸びてしまったので進行速度は飛躍的に上がり夕方には学校に戻る事が出来た。集めたコアも売却して収入をまとめて報酬としてプレゼントした。報酬と一緒にネルを他のパーティーに預けて報告をして本日の業務は終了。男性陣の全滅という事もあったが、情報提供した事により賞罰で言うとことの賞が勝るということで説教関連もなかった。とことん運に見放された奴らだったという事だな。報酬額を聞いたネル以外のパーティーは驚いた間抜け顔を周囲に晒した後でペコペコしながら感謝の言葉を言っていたが今後の生存率を考えると素直に感謝の言葉を受け入れられないのはマリーの事を知っている為だろう。モンスターは他の地域でも変化があったらしく職員も学生達にも情報が錯綜している感じがしたが次第に収まるだろうし、俺にとってはどうでも良い事だった。ティアラに視線を向けても今日の晩ご飯についての話をしてきたのでティアラにとってもどうでも良いのだろうな。


 神様が自分であり、魔王と魔神の夫妻も俺の一味、創造神とかって奴もいないし本来ボスになるような役職に就いている候補が全滅した中で、一番の人類の的はもしかしたらマリーじゃないかと思いつつ家路につく。


 今更ながら気が付いたが全滅した奴らの名前を最後まで知らなかったと思ったのはティアラお手製の夕食を食べ風呂には行って一服してベットに入った後だったが興味を持たない相手の事なんて普通はそんなものだろう。

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