プロローグ的なさわり部分?
酔った勢いで投稿してみます。さわりなので2話目以降が出来ているなら飛ばし読みしてもいいかと。
「もう一周行ってみようか?」
俺は茶色の毛並みが美しいく、くるっと丸まった角を持つ牛に向かい問いかける。牛と言ったが正真正銘、哺乳綱鯨偶蹄目ウシ科ウシ亜科の牛である。品種は日本短角牛という。普通であれば酪農家?頭が痛い人?ぼっち?などといった感想を抱かれるだろうがぼっちを除いて不正解だ。普通に牛に向かって語りかけている。
ちなみに牛に向かって話しかけているが牛に話しかけているわけではないのです。小さいおっさんが涎塗れでさきほどから反芻されるたびに少しずつ俺と会話をしている。何故わざわざ反芻待ちなのか?いきなり小さいおっさんを見たら多少は精神的な安定を求めても仕方ない。
異性の見目麗しい妖精であれば助けただろうが、こいつは確実に五十を超えたおっさんにしか見えないので放置。しかも牛も分かっていて口と胃を行き来させているに違いない。この牛は実に賢いからな。唯一の話し相手だし。おっさんも泣いていることなのでそろそろ本題に入りたい。涎どころかおっさん自身も涙と涎、鼻水で大変なことになっているし、おっさんの体液が牛にとって害がないとは思えない。
「ショーン、ちょっとそろそろそのおっさん吐き出して」
その言葉に従い牛の口から小さいおっさんが吐き出され地面に落ちる。ショーンは牛の名前である。日本短角牛なのでショーンとなる。話をしたいのだがおっさんは涎のせいなのか嗚咽中。では話の整理から順を追って端折った解説付きでいきましょうかね。
小さいおっさんを発見した時点であと五年程度で無事に隕石が地球に当たるらしい。これはかなり前から公表されて現在では常識レベル。
21世紀初頭に観測され一時期はパニックになったが、当時生きている人が生存中に衝突しないということが分かると冷静になったようで対処策を検討し始めるた。自分の子孫も所詮は他人事ということなんだろう。実際、隕石が地球到達まで10世紀以上時間がかかるらしい。各国の代表含め政府関係者も十世紀も後のことなど知るかと言うことだ。検討したのはまず単純に迎撃して破砕するということになるんだがこの隕石まで到達する迎撃装置がないということで断念。念のために地上に残った核ミサイルなんかも隕石に向け現存する核ミサイル、さらには作れる限り全て打ち上げ済み。二番手がじゃあ宇宙移民、異星移民だなとなったが宇宙ステーションすらまともに運営できていない当時の人類の科学水準では全ての人類脱出計画も頓挫。資金面、科学力、対処方法のどれもが足りておらずまったくのお手上げ状態に、研究課題として大学教授などがテーマにする程度になったほどありきたりな研究課題まで落ちぶれたらしい。時期は多少前後するがその頃にあった石油が枯れるかもという程度の危機感程度に落ち着いた。
そうやって放置された問題に解決策を見いだせずに二世紀ほど経過して転機が訪れる。危機的状況になると馬鹿が天才に化けることが昔からあったようで例に漏れずに数人の天才科学者が現れる。口癖は「俺、異世界に行くんだ。」であり日々異世界へ向けて準備をしていた人物で、俺の先祖もこの人だ。名前が日ノ本一太郎である。他の天才と称されている奴らが当時一桁の年齢であったにもかかわらず一太郎は六十歳を超えていた。周囲は大器晩成と言っていたが晩成過ぎた。
一太郎は異世界に行くために量子という分野において完全に理論を構築して量子コンピュータを実用に成功。当然のごとく早速異世界へ行く方法を算出するが可能性が全くないことに寄るショックでその他の量子学の応用技術、装置を実用、運用する前に他界した。以後、我が日ノ本家が遺産である理論の運用、実用に力を入れて行くことになる。天才といえど老衰には勝てず、他国に生まれたの一太郎以外の初代天才達も遺族によって研究結果が実を結び科学水準が飛躍的に何世代も上がりそして結果がもたらされることとなる。
日ノ本家である俺の曾祖父は量子コンピュータによるありとあらゆるシュミレーションで、とある結果を世界各国に発信する。
「どう考えても無理、隕石に当たるわ。それと、異世界には現在の科学水準でも行けない。」
異世界に行くことに異様に執念深さを見せる日ノ本家の考え方は理解が出来ない。
人類は曾祖父にそんなことを言われた。言われたらどうなるか?
隕石が当たり地球崩壊だってさ➝時間がかかるから準備しましょう➝天才爆誕➝科学力スパーキン➝結果無理
あげて落とすが見事に決まり世界中でまたもパニック。再度時間があることにより首脳陣沈静化。ただパニックにより国家の枠組みが崩壊するほど混乱が長引きとんとん拍子で統一政府ができあがる。今までの国家間の主張はパニック一つで終わってしまったことにより国民も呆気にとられ沈静化。本当に世界大戦時代の人たちに謝った方が良いよ。余談だがなんにでも量子と付ける風潮がこのときからあった。量子エンジンとか量子コンピュータなんかが代表例で一昔前のスパーとかと同じ扱いなんだろうな。量子大安売り。
その後、統一政府の主導で天才の子孫一族郎党は半ば隔離されつつ(待遇悪化?)研究と実験に明け暮れ代を重ね俺の代になる。地球と隕石のランデブーまで八十年というところまで来た。おそらく最後となるだろう直系の子孫ということで名前を先祖と同じく一太郎とされた。(ちょっとバトン渡すタイミングが悪いんじゃないかな?)で、十歳の時に直系の子孫だけを集めた対策室という部署がやっと出来た。(やっぱり遅いと思うんだよ。あと場所はどういう基準で選んだんだろうか。)対策室が設置されたのはハワイであり初めての海外旅行ということでワクワクしていたら飛行機に基地から乗せられ、ハワイに設置されている基地に直行。ワクワクと睡眠時間を返して欲しい。メンバーは全部で四十人前後、男女比がちょうど良く半分。何の因果か全員同じ年齢だった。ちなみに直系だけど天才はいなかった。そうそう天才は生まれないってことなんだろうよ。チャンスは一回きりってことなのかもしれない。でもこれは学園ラブコメの始まりなのでは?対策室だからオフィスラブ?と思ったら監視付きの強制労働だった。(二代目一太郎マジでショック。)
とりあえず始めますかというところで先代からの遺品となる量子コンピュータの出番です。
Q、どう対処したら間に合うか?
A、間に合いません。
Q、間に合わせるにはどうしたらいいか?
A、量子による圧縮空間の作成とその空間内での研究により対処可能。
コンピュータ、マジ便利!一人一つ持つ時代で良かった。大きさは小指の爪程度で性能についてはどう使っているかによって変わるんだが今は関係ないか。
開けた輝かしい未来が提示されたのであとは実行あるのみ、ここでは監視もあるしオフィスラブどころではない。さっさと圧縮空間とやらにしけこまねば。(俺を始め数人はマセタガキだった)せっせと作業しその日のうちに対策室内に圧縮空間とやらを無事に設置。必要な物、不要な物を全て量子化して格納、いざ戦場へ。
希望ってのは絶望といっしょにあるんだよ。知ってた?
圧縮空間ってネーミングはセンスが無い。攻撃魔法みたいだなと思っていたけど悪かったのはネーミングセンスだけじゃない、安全性もなかった。出れん。さすが凡人。出入りは出来るけれど出たら死ぬ。
理論的には対策室含め世界と物理的には辛うじてつながったまま時間だけが膨大に引き延ばされた空間。しかも入った奴は普通に行動できる。どっかの塔の上にある部屋と同じ原理なわけだ。時間換算はこちらの方が膨大だったが。ただし、そうただしが付く。外と物理的につながっている。つながっているのに肉体的の成長がない。十歳の肉体のままこの百年以上研究漬けだったわけだ。(二次性徴こねぇよ)まあ、当然知識も増え隕石の解決策も可能な領域に入った。最終確認でシュミレーションしたら対処可能となったので万々歳!今後の予定をシュミレーションで!という話になって結果が、出たら死ぬと。普通ならパニックですよ。十歳なら泣いてもいいと思いますよ?ただ十歳の中に百歳以上の精神年齢ですからね。マッドサイエンティスト的に変な方向にフルスロットルしましたね。
例えば、普通の空間に肉体をおいて精神体だけを時間のゆったりしてるところに行かせます。精神体を肉体にもどす際に精神体は肉体の通常の経験以上の体験をしているわけすよね。記憶を維持しようとすると脳に記憶を刻み込まなくてはなりません。脳はそんな無理は出来ません。ニューロンが焼き切れます。焼き切れたら?そりゃ死んでしまうわ。水道管の耐久限界を超えるような高圧をかける奴はいないよ。筋トレしても意味が無いと知って筋トレを日課にしていた奴が泣いていたな。
そんなことに状況に研究狂いの倫理観いらずの凡人を詰め込んだらどうなるか?
だったら肉体なんぞ要らんわ!となりまして研究が再開です。ここで役に立ったのがジャパニメーションとサブカルチャー。MMOの世界にダイブってのが流行ったじゃない?とりあえずダメ元でやってみようということになりました。シュミレーション結果駄目と。肉体がないことが駄目なようです。地球十個分の現実よりリアルな広大なバーチャル世界に行けないと。先にバーチャルな世界を構築していることが物作りの好きな研究者だったんだろうな。五年もかけたのに。
その程度で挫折する奴はここにはいないわけで可能な手段が完全な量子化というやつでした。ちなみに生物を量子化すると必ず死にます。類人猿以下ならそのまま保存、オリジナルからの複製なんてことも可能なんだけど。類人猿だと何故死ぬのかという問題はシュミレーションでも解けなかったが完全に量子化して保存先をバーチャル世界に指定することによってダイブ可能。生きて脱出するにはこの片道切符に頼るしかないという結果になったわけで、<さようなら厳しい現実パーティー>の始まりです。
この空間に入ったときから食欲や尿意なんかがないと気付くまで今までかかった俺たちは過去に倣い最後に打ち上げをやることになった。(不便はなかったので気にもしてなかった)
平均年齢が十歳程度では打ち上げもお菓子やジュースが大半であった。天才ではなく凡人であったが故の痛恨のミス。アルコールに対する欲求が芽生えることなど予測していなかった。飲んだことがなかっただけだったけど。節目にアルコール摂取という形式美としての知識はきちんと持っていたんですよ。
パーティーも無事終わり念のために確認をとったが全員参加が決定。遺伝子分野の女の子がぎりぎりまで粘ってみると言っていたけれど、バーチャル世界へ移住という方針は変わらずバーチャル世界でのシステムや必要なNPC、施設などについての検証と魔法や時代設定、ルール設定にさらに5年かけて、いざ移住!
量子化という分野で先祖の功績が高かったこととその分野について一番使用していた量子コンピュータの所持者の俺の端末で量子化することになりました。というか他の奴らの端末には人間をはじめ生きたまま量子化する機能にロックがかけてあるから順当だったんだけど。他の奴らの端末も俺の端末に吸収して容量も拡大。俺が最後に量子化することに決まり三十九人分の量子化開始。バーチャル世界の状態をモニターに表示しつつ様子を見ると無事に一人目がモニターに表示されテンション上げ上げですよ。モニター内で一人じゃ寂しいからか「さっさと作業しろよ」とせっついてきたときはこいつを削除してやろうかと暗黒面に落ちかけた。
作業内容は肉体労働ではないし頭脳労働でもない。対象を頭の中で指定してスキャン開始。スキャン終了時に量子化して量子コンピュータに格納。格納したオリジナルデータをバーチャル世界に注入。以上の工程であと俺を含め2人となったときに。最後まで粘ってみると言っていた女の子が俺に近寄ってくるじゃないですか。状況的に密室に男女で二人だけ。しかもその男女が百年以上いっしょに生活しているわけでフラグが立っていたとしても不思議はないだろう。十歳児の体格と顔つきでは厳しかったがかなりニヒルな顔つき&ポージングだったと思う。モニター内の同僚達がこっちを見ながら批難をあげているが当然スルー。フラグが立っていると確信しているとさらに抱きついてくる。先に旅立った我が友よ、私が旅立つのは数時間後になりそうだ。恨むなよ、恨むならフラグを立てていない君自身を恨み給え。この心地良いぬくもり、この柔らかさは例えるなら、例えるなら?何でこの子こんなに冷たいの?まるでこの部屋の床のようなひんやり具合。
床じゃん。身体動かないし、声も出ないんですけど。ちょっとやめようじゃないか。何で注射器?そういう一部にしか受け入れられないプレイは時間をかけてからでいいじゃん。倦怠期に実験的にやってみようよ。最初はノーマルがいいと思うんだよ。なあ、エブリワン?誰だよ無痛式の注射器発明した奴。
「私たちって研究者じゃない?」
そんなことを言われても床に完全に倒れている俺は返事も出来ずリアクションとれないって。しかもわざわざ俺の目線が合うように移動して目線を合わせてから言わなくてもいいよ。かなり猟奇的だって。でも声は艶っぽい。
「研究者って、基本的に目的のために仮説を立てて検証しながら理論を構築して目的を果たすものでしょ?途中で駄目になることも普通にあるし、結構博打みたいな面もあるよね。結果が最初にあることもあるけど、それでもなんでって理論を構築することには変わりは無いと思うのよ。今はシュミレーションで大概のことは結果も予測できるから楽よね。私の研究分野ってそれだと足りないと思わない?ねえ?」
全く思いません。人命が何よりも重いと思いますよ。ほら特にこういう状況だとさ。危機感感じちゃってるときは正論とか言っちゃう訳よ。言えてないけど。見ないようにしたいけどさっきの注射器と違ってその大きな注射器の中何が入ってるの?中身の色が蛍光色の赤って目にも身体にも悪いって。赤は人を凶暴に指せる効果もあるみたいだし。喋れるようになったらきちんと二人の未来について話し合ってからでも良いじゃないか?建設的だろ?
「この注射器が気になるの?これはね、ここから出られるように研究した結果なんだけど。バーチャルな仮想空間だと効果が確認できないじゃない?だからね、付き合って欲しいの。」
今の最後の台詞だけ上目目線で言われたらオッケー出してるけど注射器は駄目。泡立ってるじゃない。血管に空気が入ったらそれだけで死んじゃうんだって。っていうか君の名前も知らないし、じっくり時間をかけて話し合ってからがいいと思うよ。
「沈黙は肯定だったっけ?あと沈黙を尊ぶって、あなたの生まれ故郷の言葉だったっけ?尊ぶってことは善行であるってことよね?っていうか返事できないよね。とりあえずこの後の予定だけど、あたしの研究結果は二パターンあるのね。どちらかに絞れなかったのは残念だったけど、この際仕方ないかなって。私たち二人に一パターンずつ注射してみて、この部屋の位置口から普通に出てみましょ?私の端末はあなたに預けておくから。二人とも無事だったら改めて自己紹介でもしましょう。そういえば私たち誰も自己紹介してないわね。それを不思議にも思わないんだからマッドサイエンティストの仲間入りかしらね。時間も有限だし私も結果が早く知りたいし、とりあえずプチッとな。」
そんなかけ声で毒々しい注射器(蛍光色で鈍く光り確実に空気入り)を打つなよ。普通はチクッだろうが!!その音だと潰れてるだろうがっ!あと絶対に劇薬だろめちゃくちゃ身体熱いし、即効性ってどういうこと?あと針が刺さってるところ胸の真ん中って、心臓ってどこにあったっけ?
「じゃあ外に行きましょうか。歩けないでしょうから引きずっていってあげるわね。それと私まで量子化してあなたはどうやって自分を量子化するつもりだったの?」
表情を動かせない、言葉を話せない状況というのも案外悪いものではないらしい。忘れてましたとも言えないし。結果的に、冒頭で俺の場面があることから察してくれてると思うが俺は生き残り、彼女は駄目だった。物語的に彼女がヒロインの地位に着任することは無かったということだ。猟奇的な彼女は必要ないので良かったんだろうか。脱出後に彼女の端末のメモからバーチャル世界というネーミングは改めて考えるとかなり酷いとの酷評と仮想世界でいいんじゃないか、との意見と俺自身の量子化の問題と、俺がこの圧縮空間からの脱出方法が無いということについての考察が出てきたので彼女なりの優しさだったと思うことにしている。名前については一切記述がなかったので知られたくないのだろうと思い今に至るまで調べることすらしていない。最後の行動はアレだったが、同僚として故人の意思は尊重してあげる程度の優しさはあっても良いだろうさ。名称も彼女の意見を採用して統一するとしよう。
脱出後、身体が動かせるようになってから国家に呼び出され世界中継されている会議に出席して研究結果をねじ曲げて発表。生まれてから軟禁に近い状態であったことに対するいらつきがあったし、研究成果を自分たちが使うことが常識みたいなことを言われると俺が体験していた苦労を無価値に思われている様な気がした。なにより俺の半分も生きていないような奴に子供扱いしていることが癪に障る。
「隕石の回避方法は量子コンピュータに展開してある仮想世界への移住以外にない。量子コンピュータの端末については硬度の問題上隕石の衝突に対しても問題ない。」
そんなことを発表したら反発があると思っていたが宗教関係以外は素直に受け入れた。反発していた宗教関係も仮想世界での利権と布教の自由を保障してやると嘘を並べて説得したら受け入れられた。その程度で受け入れるなら過去にあった宗教問題って何だったんだろうか?
結局世界中の人はあらゆる場所からハワイを目指して集まり順次量子化して仮想世界へ。余裕を持って数年かけ現存する人類は仮想世界へ。
当然のごとく俺は一人残されることになる。赤い蛍光色の薬品か、圧縮空間から出た後遺症かは不明だが端末の取り外しが出来なくなった。そういえばテロリストに機関銃で撃たれても自爆テロされても怪我すらしなかったしな。今現在左胸にシミのような状態で一体化しているし。十中八九あの薬のせいだと思っている。生きていく上で不便はないが俺自身を量子化してくれる可能性も消えた。
その後、先祖が生まれた家がある旧日本領へと渡り、仮想世界の追加要素を始めダンジョンなどの増設をしつつ祖父を含めた日ノ本家や、各天才の子孫が代々続けてきた研究成果などの記録に目を通して暇を潰していたが、あまりに暇でさらに孤独だったので近所で野生化していた牛を捕まえ一緒に生活するようになって隕石衝突まで五年という時期になり冒頭に戻ることになる。
なお、日ノ本家の遺産の割合が研究成果よりも膨大な数の異世界ファンタジー小説やアニメがあったことにはあまり触れたくない。




