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異世界コンビニ、ネコ耳おっさん繁盛記! ハードモードな異世界で、目指せっ! コンビニパワーで、皆でハッピーもふもふスローライフ?  作者: MITT
第二章「猫とコンビニが世界を救う……のか?」

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第二十二話「チートVSチート」④

 それまで、こっちを見てた傭兵の爺さんがニコニコしながら、前に出ると同じように握手を求めてくる。

 

「まったく、若いのになかなかやりおるのう……。最初は目が泳いでるような有様でハラハラしておったのじゃがな……。今ではすっかり落ち着いたようであるし、こんな状況にも関わらず、自信満々な態度と言葉だけで、皆に希望を与えよった。良いな、実に良いぞ! お前さん、いっぱしの将帥のようであったぞ! ……まったく、初陣でこれなら、将来が実に楽しみじゃな」


「はは……爺さんも悪いね。こんな戦に付き合わせちゃって、あっちの若いのは身内かい? ああ、名前を聞いてもいいかい?」


「ワシはプラド……随分前に引退した老骨じゃが、幾多の戦場を駆け巡った歴戦の強者であるぞ。こいつはワシの孫でな……フロウと言う。止せばいいのに、傭兵なんぞ始めよって……これが初仕事と言うのでな、ワシも心配で着いてきたんじゃ。過保護と笑われたが、来て正解じゃった。もし、捨て駒がいるのであれば、遠慮なくワシを使っとくれ! ワシもこの年じゃからな……戦場で散るも本望じゃ。……その代わり、孫はなんとか無事に返してやってほしい……まぁ、身勝手な話ではあるがな」


「自己犠牲なんて止めてくれよ。老兵は死なずって言うだろ? フロウ君……君はどう思う? こんな爺さんを働かせちゃ酷だろ、お守りくらい任せていいよね?」


「はいっ! お任せください! あ、あの……自分は何をすれば!」


「フロウ君は初陣らしいからね……。無理はせずに、後方支援の二人と君の爺さんのお守りを頼む。この爺さん、ちゃんと手綱握ってないと一人で突っ込んでいきそうで、危なっかしいよ」


「何を言うか! ワシはそこまで無鉄砲ではないぞ! いいだろう……こうなったら、この戦……このワシに任せておけ! このワシとて、かつては閃光のプラドの異名を持ち、帝国に賞金首にされる程度には恐れられたのじゃぞ! 未だ剣の冴えは衰えておらんわ!」


「なんじゃ……お主、あの閃光のプラドじゃったのか……。エラい老け込んでしもうたから、全然解らんかったぞ? 10年前、第一次ヴァランティア戦線で義勇軍として、帝国相手に共に戦って以来じゃなぁ……」


「お前さんはあの頃と全く変わらんのう……。久しぶりと先に言うべきじゃったな……軍師殿。だが、そう言うな……お前さんと違って、人間は年を取るのだ。お前さんからもこの若造にワシの若かりし頃の武勇伝でも聞かせてやってくれ!」


「お互い歳じゃからなぁ……ここは若いのに華を持たせて、無理せんで、気楽にやろうぞ。……そうじゃな、無事に戻れたら、縁側で茶でも飲みながら、ひとつ昔話にでも華を咲かせるとするかのう……」


 この二人……戦友って奴だったのか。

 義勇軍の軍師とは……アージュさんも色々やってるんだな。


「僕は年長者は敬う主義だからね。二人共、無理はしないで欲しいけど……当てにはしてるよ。だから、ここはひとつ、慎重に頼むよ」


「……まぁ、年長者なのは認めるが、年寄り扱いはするでないぞ。 じゃが、我も久方ぶりにひと暴れしたい気分なのじゃ……ちょっと本気を出すとするかのう」


「なんじゃ、お前さんもすっかりやる気じゃあないか! 昼行灯の二つ名は返上するってこったな! まったく、長生きもしてみるもんじゃな。フハハッ! ワシも久しぶりに血が滾ってきよったぞ!」


 ……さっきまで、わりとシオシオの爺さん風だったのに、なんだかすっかり気合が入ったらしく、目がギラギラしてきてるよ……この爺さん。

 

 最初に会った時も只者ならぬ雰囲気だったけど……この爺さん、出来る!

 どうも、図らずもスイッチを入れてしまったらしい……あからさまに纏う気配が変わってきてる。

 

 これが……歴戦の戦士の風格ってやつか! こりゃ頼もしいな。

 

 ぐるりと全員を見渡す。

 誰もが明るい表情で、時より冗談を飛ばし合いながら、それぞれの仕事をしている。

 

 けど、良いね……厳しい戦いに望んで、皆、こんな風に笑っていられるなんて、リラックスしている証拠だ。

 

 ……一人一人に声をかけて、名前を聞いて……ホント、まるでどこぞの将軍様みたいだな……僕も。


 でも、これでいい……内心はビビって逃げ出したくても、頼もしい指揮官を演じていれば、段々とその気になってくる……立場が人を作るってよく言ったもんだな。

 

 そして、一通り、皆に指示を与えて一息ついていると、スマホにメールの着信あり。

 ……鹿島さん達からの続報ってところか。

 

『異世界案件担当局 鹿島でございます。続報をお伝えいたします。

 コンビニ側との調整が終わり、現時点より高倉オーナー様の救出作戦が開始されました。

 

 編成は、テンチョー様が先陣として、すでに出撃済みです。

 テンチョー様は地理に明るく無いようでしたが、先程送り込んだ大型指揮管制ドローン「HQ-1101」を随伴させ、ナビゲーションさせておりますので、道中の心配は要らないと判断しております。

 

 後続の支援戦闘部隊としては、オッドボール少佐を臨時戦闘指揮官とした上で、銃火器装備の臨時集成中隊を編成。

 BUN-6602から6605までの4両をフル装備で現地へ送り込みましたので、これを牽引兵員輸送車として、擬態生物対抗装備を持たせた現地戦闘員30名を戦闘地域まで輸送する計画です。


 なお、BUNシリーズは元々無人戦闘車両として開発されていたので、全車両ブローニングM2重機関銃二門装備の戦闘仕様として、送り込んでおります。

 当車両は正面装甲50mmと擬態生物の攻撃であれば問題にならない程度の防御力を備えており、また完全自律戦闘プログラムを実装しており、スタンドアロン戦闘をこなせるようになっております。

 

 今回初の本格実戦投入となりますが、極めて高い戦闘力を発揮する事が予想されています。 

 当方の戦術シュミレーション上では、BUNシリーズのみでも現時点で確認されている敵戦力の完全殲滅が可能と予測されていますので、戦力的には十分だと判断しております。 

 BUNシリーズを前衛に回すことで、オーナー様のご要望、味方に犠牲なくというオーダーにも十分、お応えできるかと存じ上げます。

 

 なお、増援到着予定時刻はテンチョー様が推定30分後、新たに確認された敵の主力と接敵後、本人は敵中強行突破するとおっしゃっていたので、これと呼応し、敵包囲網を突破、まずはテンチョー様との合流を目指してください。

 テンチョー様には、戦術指揮統制システムのノートPCと、指揮通信用ヘッドセットを現地戦闘員の人数分お持ちいただいているので、装備受領後BUN-6601と接続し、HQ-1101と連携させた上で、指揮車両としてご活用ください。

 

 各種装備の運用説明につきましては、現地にてHQ-1101よりガイダンスを受けていただければと存じ上げます。

 HQ-1101は自然言語コミュニケーションシステムを実装し、戦術管制高度AIを搭載した、複数無人兵器の統括指揮を可能とした次世代型最新兵器のひとつです。

 こちらの戦術データベースとオンライン接続されておりますので、現地での最適な戦術アドバイスなども可能です。

 武装もしておりますので、緊急展開戦力としても、申し分ないので、是非ご活用ください。

 

 なお、支援戦闘部隊の戦闘地域到着は、やや遅れて、50分後を予定しておりますが、攻勢タイミングはオーナー様にお任せいたします。

 支援部隊の攻勢に合わせて、敵本隊へ挟撃の形を取れれば、理想的な前後からの包囲殲滅戦の展開となりますので、可能であれば、敵包囲網の突破後、敵の追撃を躱して、その後背を付き、逆に追い立てる作戦はいかがでしょうか?

 

 観測データを見る限り、敵は二重包囲陣を敷いているようですが、その陣形を逆手に取り、敵を一箇所に集めた上で挟撃する……逆包囲殲滅を仕掛けるのがよろしいかと存じ上げます。 

 極めて高い戦闘力を持つ現地人の協力を得られているようですし、テンチョー様も合流した上であれば、高倉オーナー様の率いる隊の戦闘力は極めて高いものとなると思われますので、決して不可能ではないと判断しております。

 

 なお、この敵は帝国の威力偵察部隊と推測されておりますので、完膚なきまでに殲滅していただく事が出来れば、その後の展開が極めて楽になります。

 敵正面戦闘部隊の殲滅後は、敵指揮ユニットを捜索、可能であれば排除、殲滅を試みてください。


 敵にこちらの情報を持ち帰らせる必要はありません。

 敵の指揮可能範囲はせいぜい5km程度の範囲内ですので、HQ-1101の索敵能力であれば、容易く捕捉出来るでしょう。


 HQ-1101は、高いステルス性能を持ち、広域索敵能力を有し、M134ミニガンを装備しておりますので、制圧力としては十分なものを持っております。

 また、91式携帯地対空誘導弾発射機を二機、増設いたしましたので飛竜型異世界生命体との戦闘も可能でございます。


 飛竜型異世界生命体につきましては、帝国軍は偵察機として運用しているようなので、この戦場に進出している可能性が高く、発見次第最優先で撃破するべきかと思われます。 

 現時点で確認できている帝国軍の全戦力の殲滅を達成できれば、本戦闘において、もはや我々の完全勝利と言えます。

 

 なお、リ・デジャス・ネウロ帝国につきましては、転移ゲートを使い、擬態生物を繰り返し日本各地に送り込むなど、幾多のテロ行為を繰り返し、侵略の意図を持った敵性国家と判断しており、日本国とは非公式ながら、すでに交戦状態であると認定されています。 

 帝国所属兵員の殺傷行為やその所有兵器の破壊に付きましても、我が国の法的にも一切問題ありませんので、日本国に代わって、断固たる意志を示していただくようお願いします。


 以上となりますが、状況は常にこちらでモニターしておりますので、ご安心ください。

 それでは、今後共、よろしくお願いいたします。』

 

 思わず、絶句してしまう。

 ……相変わらず、チートじみた手際の良さだし、なんだこれ?

 

 先程以上の衝撃の事実のオンパレードだった。

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