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竜族族長の娘  作者: 五月雨 アルト
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兄の行動力を舐めるな














 竜族の里とは違う、強い朝日が射すイザートで、僕はレイミアの隣来日で3日目の朝を向かえた。朝はさっさと起きて鍛練をするのが日課だったのだが、隣から聞こえるレイミアの寝息が可愛くて、ついつい今日もサボってしまった。昨日の朝は早く起きてレイミアの寝顔を眺めていたのだけど、レイミアにばれて咎められてしまったため。今日は隣で寝たふりをする。まぁ、レイミアにはきっとばれているのだけれど。それを許容して甘やかしてくれるのが、嬉しくてまたやってしまう。






 隣からがさりと布ずれの音がなり、薄い掛け布団の端が持ち上がる。レイミアが起きたのだろう。暫くレイミアの行動を見ようと寝たふりを続けたら、隣から深い溜め息が吐き出され、布団の端が強く握られたのか、少しのレイミアの方へ寄った。








 ああ、あぁ!! 可愛いレイミアを朝から憂鬱な気持ちにさせるなんて......!!






 レイミアの体の位置、ため息が吐き出された方向から、レイミアが見ているのはきっと出窓の方だ。となると、レイミアの憂鬱の原因はきっと連日やって来るストーカーからのプレゼントだろう。






 レイミア.....レイミア......可哀想な僕のレイミア......きっと犯人は僕が見付けて生地獄を見せてやるからね? それまでの辛抱だよ。





 僕は犯人を見付けて永遠の苦しみを味あわせる事を今一度 むねに誓い、その体をお越しレイミアに挨拶をする。






「おはよう、アシュリー兄さん......兄さん......また来ているよ」




 そう言いながら指を指すレイミアに倣い、僕もそちらへ顔を向けると、やはりそこには例のプレゼントが置かれていた。今回はそこそこ大きめの箱の様だ。 ーーこんなものを僕達に気が付かれないように出窓に置くなんて、生身で置きに来ているのならば相当の手練れか、魔法を使い、転送しているのなら相当な魔法上級者だろう。転送魔法はかなり難しい上に、本来何もない場所に物質を出現させるせいか、転送先に魔力や気配が集中しやすい。その点を踏まえて、それらが一切無い今回の事件の犯人が相当厄介なことを示していた。






 きっと賢いレイミアはその事に気が付いているのだろう。犯人はレイミアを狙っているようだし、優しいレイミアは僕達にそのストーカーが被害を出さないかを心配しているのだろう。あぁ! なんて出来た妹なんだ!!




「あぁ......またか......大丈夫だよレイミア。レイミアはなにも気にしなくてもいいよ」






 僕は心配そうなレイミアを宥めるように声をかけると、ノアを起こしプレゼントを取ると部屋を出た。向かう先? そんなの国王の下に決まっているじゃないか。朝からレイミアを憂鬱にさせた犯人の罪は勿論重いけれど、そんなことを自分のテリトリーで起こしたこの国も同罪だよ。






















********************














 国王の私室に付くと、その扉の前に立ち塞がる厳つい甲冑で見を包む兵士が二人ほど居たが、僕のその手に乗る箱を見ると、すんなりと部屋へ通してくれた。きっと前々から国王に言付けられて居たのだろう。うん、賢い王には好感が持てるよ。





 部屋へ入り、椅子に腰掛けると、国王は身支度がすでに終わっていたのか直ぐに僕たちの目の前に現れた。





「やはり、今朝も現れたか......」


「......」




 僕の隣には黙ったまま、ピクリとも動かないノアがどうするつもりだと、その瞳に殺気を込めて訴えている。きっと僕の瞳も同じような色をしているだろう。






「その様に催促を寄越さんでも分かっておる。一応、レイミア様が場外へ出ている間に此方も色々手をうち、知恵を巡らせたのだ」


「巡らせた割りには結果が付いて居ないように見えるのですが?」


「まぁまて。そう早まるな」


「今朝、レイミアが溜め息を吐いたのでが? 私の可愛いレイミアが! 朝から憂鬱な気持ちにさせられているのに黙って見ていろと!?」





 僕は苛立たしさに身を任せ、普段の僕からは想像もつかないような声をあげた。隣に座っているノアだってなにも言わないが、その手は近くにあったソファーの肘掛けを握りしめ、歪ませている。このソファーはもう客を座らせられないだろう。





 そんな荒れまくった僕達兄弟に国王、イリン殿は落ち着くように声をかけ、僕達に今日の予定を指示した。






「実は、昨日レイミア様が図書室に居られる間に

、研究所の連中にある魔化学道具を作るように指示した。後は使用者の魔力を登録すれば完成だそうだ。」


「魔化学道具?......」


「そうだ。詳しいことは研究者に聞いてくれ。......さて、そろそろ朝食の時間だろう。レイミア様に空腹を味わわせる訳にはいかないであろう」


「......わかりました。今回はその魔化学道具とやらで手を打ちましょう。では、レイミアが待っているので失礼します」


「あぁ」





 僕はそう会話を切るとノアと共に部屋を出た。何だかうまく丸め込まれた気がしないでもないが。レイミアにひもじい思いをさせるわけにはいかないのは事実なので。僕とノアはレイミアの下へ急いだ。
















 レイミアへのプレゼントはどうなったかって? そんなの話の最後にノアが魔法で燃やしたよ。


溜め息の方向を察知して方向を掴むとか......こいつが一番ヤバイんじゃ......

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