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竜族族長の娘  作者: 五月雨 アルト
28/114

想定外

カレン視点です


 やっと......やっとよ.........ここまで来るのに約3週間もかかってしまったわ。


 とても長い道のりの末、ようやく今日、この竜族の里に、私 カレン・マルレーンは辿り着いた。こんなに時間と手間を掛けたなんて知ったら感動で泣いてしまうかしら? 今回の目的であるレイミア・リントヴルムは必要とされる事を狂気的なまでに望むキャラクター。前世のこのゲームのファンで、彼の器量と設定、そして超人気声優に落とされたプレイヤーは万を軽く越えていたらしい。各いう私もその一人ですがね。



 画面越しでないレイミア様はさぞ美しいのでしょうね......あぁ、目の前で今生の兄とレイミア様の性格の現況......ルイ・リントヴルム現族長との挨拶なんて、すっ飛ばしてさっさと彼に会わせてくれないかしら?



「遠い国からようこそお越しくださいました。族長のルイ・リントヴルムです」


「この度は御忍びでの入国許可を出していただき誠に感謝いたします。ハース王国第一皇子 ゲイン・マルレーンです。これから1週間よろしくお願いします。」


「息子がお世話になっております。アルフレットの母、イレーネ・リントヴルムです。」


「いえ、彼には私の方が世話になっておりますので。これから1週間よろしくおねがいします」




 ーーえ?


 アルフレットの母親?............

 ーーなんで? どうして? 有り得ない...私の頭のなかはこれらの言葉に埋め尽くされた。データを詰めすぎて重くなったパソコンの様に、私の頭は目の前の事実を上手く処理してくれない。



 だって今までゲーム通りだと思っていた所にまさかのイレギュラー登場。驚くなという方が無理だわ。ゲームの中の彼を形作って居るのは、最愛の妻亡くした狂った父親に女として育てられたと言うこと。その最愛の妻が居なければ瓜二つでいる意味は無くなってしまう。そんなの、有っては成らないのよ! 私と彼が結ばれるには、彼女の存在は消えてなくてはいけないのに.........




ナンデアナタハソンザイシテイルノ?




 ーーそうだ。そうだわ!! 彼女の正体が分かったわ。きっと彼女は私と同じ転生者なのよ! だから彼女はイレギュラーとして此処に存在しているんだわ! きっとそうよ! そうじゃないと可笑しいもの。きっと彼女は原作通りエルフと人間の間に生まれて、原作通りにルイ様をたぶらかし、子供を産んだ。そしてレイミア様を産むときの為に竜族に伝わる薬を飲んだに違いないわ! だって原作でレイミア様が「俺を産むときにあの薬を意地でも用意して母さんに飲ませることが出来たなら、きっと生きていた」って言っていたもの。そうよ、彼女はルイ様にねだったに違いないわ。




「カレン」



 そうよ、これなら辻褄が.........


「カレン!!」


「!!」



 あれこれと考えていた私に向かってかけられた大きな声により、私は思想の海から引き戻された。その声の主は、私の兄であるゲインのものだ。ーーいけない、まだ挨拶の途中だったわ。



「何をぼぅっとしている。早く挨拶をしないか! 失礼だろう」


「いえ、良いのですよゲイン皇子。きっと長旅のせいで疲れが溜まっているのでしょう」


「......失礼しました。第一皇女 カレン・マルレーンです。...よろしくおねがいします」



 私はそう言うと各々に向かって淑女の礼をした。......まったく。彼女が存在していたせいで動揺してしまったわ。




 ーー彼女が存在しているのなら、これからはもっと警戒していかなくては成らないわね。彼と私が結ばれる為に......



 






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