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66.踏破者、調査を開始する。

「お、あったな。」


王都の東ハンターギルドで依頼掲示板を物色していた俺は、一枚の依頼書を剥ぎ取る。


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【魔物素材の収集】

依頼内容:王都周辺に生息する魔物の魔物素材の収集

依頼主:アルカディア魔道具研究所

依頼達成条件:【魔妖精(トロール)】の舌、【鬼(オーガ)】の牙・爪、

【鉄鋼百足(アーマーセンチビード)】の表皮、【毒性蜘蛛(ポイズンスパイダー)】の牙(数量上限なし)

報酬:各魔物素材1つにつき25,000ギラ、ただし上限250,000ギラ

備考:素材鮮度の問題があるため、収集対象の素材は直接納品要

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「この研究所がそうなのか?」


俺の後ろで依頼書の選別を眺めていたエルが声をかけてくる。

今日はハンター登録を行っている俺とエルの2人だけだ。


「ああ、ヴァン侯爵の系列の研究所だな。ティアが教えてくれた研究所名と一致してるし間違いないだろう。」


「魔物素材は直接納品だったな。」


「ああ、これも俺達からすれば都合がいいな。仕事を通じて内部調査をかけよう。」


俺とエルは頷き合うとその依頼書を持って受付へ。


「あ、昨日のお兄さんたちにゃ。依頼受付かにゃ?」


そこでハンターたちを捌いていたのはどう見ても未成年にしか見えない年上の猫人職員だった。

名札を確認するとフェリスと書いてある。


「昨日大型依頼達成したばかりなのに元気だにゃ。若いっていいにゃ。」


やたら年齢に関する言葉が多いのはわざとだろうか。


「この依頼を受けたい。」


「はいにゃ。これは西ハンターギルドの依頼にゃ。素材は直接納品だけど場所は大丈夫かにゃ?」


「いや、魔物探しに行く前には確認しようと思っている。……西ハンターギルド?」


俺の言葉を聞いた猫人の職員、フェリスは何やら資料を探しながら俺の疑問に答える。


「王都のギルドは4つあるにゃ。でも、どこで出された依頼でもその内容は全部のギルドに共有される仕組みにゃ。」


なるほど、王都内で依頼とハンターがマッチングしやすい環境を整えているという訳か。


「でも、そうするとこの依頼も他のギルドで既に受付済みってこともあるのか。」


「そう言う事にゃ。その時はさっぱり諦めるにゃ。ちなみにその依頼はまだ未受領だったから東で押さえたにゃ。あ、あったにゃ。」


そう言ってフェリスは1枚の資料を受付カウンターに載せる。

それは王都の地図だった。


「アルカディア魔道具研究所はここだにゃ。」


その地図の中に印を書き込むフェリス。

そしてそれをこちらに手渡してきた。


「持っていくと良いにゃ。サービスにゃ。」


「そうか、助かる。」


俺は素直に礼を言ってそれを受け取る。

そして踵を返して去ろうとした時だった。


「……アルカディア魔道具研究所はちょっと良くない噂も聞く所にゃ。気を付けるにゃ。」


俺は振り返ってフェリスを見る。

彼女は普段通りの表情をしてこちらを見ていた。

だが、その瞳にはいつもとは違った真剣なものが含まれているように感じられた。


「必要以上に繋がりを持ったハンターが何人か行方知れずになってるにゃ。金払いの良い所ではあるから、深入りせずに付き合うのが正解にゃ。」


「忠告感謝する。」


俺はそれだけ言うと今度こそ受付窓口を後にする。

後ろからはいつも通りの軽い口調の挨拶が聞こえて来た。


「何か言ってた?」


打ち合わせスペースで待っていたエルが尋ねてくる。


「ああ、どうもギルド側でも黒いうわさが流れているらしい。ハンターも行方知れずになっているってさ。」


言いながらエルの向かいの席に座る。

そして視線はエルの椅子の後ろへ。

そこには大男が一人床に突っ伏して寝ていた。

どうも俺が依頼受付している間に絡まれたみたいだ。


俺の視線に気づいたエルが少し憤慨した感じに言う。


「ちょっとしつこかったんでな。心配しなくても殺したりはしていないぞ。」


「違う。……いや違わないか。だが本当に気になっているのはそいつのことじゃない。」


面倒なのに目をつけられたりしていないかの心配だ。

厄介ごとは避けるに限る。


「ん?私のことを気にしているのか?私がこんなのに後れを取ることなど無いぞ?」


「お前の心配なんざ、もっとしていない。」


だが、そんな俺の心配をよそにエルは不満そうだ。


「主殿、私のような美女が一人待たされている間に得体のしれない男から絡まれているんだぞ?それを心配しないのは男としてどうなんだ?」


そう言われると、確かにどうなんだという気持ちが湧いて……こないわ。

第一、窓口に並ぶのが面倒だからって理由で受付俺に任せて休憩してんじゃねえか。

それを待たされているってどういう言い方だよ。


「……余計な面倒ごとは勘弁だな。さっさといくか。」


面倒になった俺はエルを無視して席を立つ。

エルも、不服そうにしながらも付いてきた。


「じゃあ、まずは納品用の魔物素材の収集からだ。」


そして俺たちはギルドを後にした。

研究所編スタートです!!

もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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