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44.踏破者、ダンジョンにもぐる。

黒焦げになった人だったものを見下ろす。

2つあるその遺体から白色と金色のタグを回収する。

彼らは『赤い斧』所属で【単眼悪魔(サイクロプス)】の変異種に殺されてしまった2人だ。


俺たちは漸く上級ダンジョン【奈落】に辿り着いていた。

救出した『赤い斧』の2人はダンジョンへの同行を断り帰還している。

単にダンジョンへ向かう事に恐怖を覚えているのかもしれないし、ダンジョン入口前に横たわる彼らの仲間を見たくなかったのかもしれない。


「ジーク、消耗具合はどうだ?問題なければ一度ダンジョンへ潜ろうと思うんだが。」


後方からエリオが問いかけてくる。


「ああ、問題ない。エル、いけるな?」


「問題ない。」


2人の返事を聞いたエリオが頷く。


「よし、行こう。」


ダンジョン入口前に立つ。

俺が見たことのあるダンジョンは【アビス】だけだが、【アビス】の入口は転移ゲートとなっていた。

【奈落】は趣が異なり、祠のようなものの中に地下への階段が覗いているだけだった。

そして俺たちはダンジョン内へと足を踏み入れた。


俺とエルが先頭、その後ろにエリオが続き、殿は『神狼組』。

ダンジョン内では常に魔物が生まれ続けているため、後方が安全というわけではない。

一本道を進んでいるだけで帰りに魔物に遭遇したり、運が悪ければ挟み撃ちにされてしまうのがダンジョンらしい。

そのため、複数のパーティでダンジョンアタックを行う場合は先頭と殿に索敵能力の高いパーティを配置するのがセオリーとの事だった。


ダンジョンの中は外以上に魔物で溢れていた。

洞窟型ダンジョンだがその通路は広く、【単眼悪魔(サイクロプス)】も歩けるほどだ。

その通路に見える範囲で30~40体ほどの魔物が居るが、【使い魔(インプ)】や【骸(スケルトン)】が多いようだ。

共にEランクの魔物だが、もしかしたら高ランクの魔物ほど外へ出やすいのかもしれない。


「【圧(プレス)】」


俺の重力魔法が広範囲の魔物を押しつぶす。【使い魔(インプ)】をはじめとする低ランクの悪魔系の魔物はこれで一掃できる。


「【除霊(ターンアンデッド)】」


【圧(プレス)】で処理できない【悪霊(ワイト)】等の死霊系魔物はエルの魔法により即死する。

因みに【骸(スケルトン)】は体の中心にある核か頭部を破壊すれば死ぬので【圧(プレス)】でも対処が出来たりする。


俺とエルが魔法を放つことで見える範囲の魔物が一掃された。


「……ジーク?お前高位魔法も使えるのか?」


エリオがひきつった顔で尋ねてくる。


「高位魔法?ただの【圧(プレス)】だが?」


「俺の知ってる【圧(プレス)】は単に相手に負荷をかけて動きを悪くする程度のものだぞ……。というかお前、才能は重力魔術師だったのか?剣で戦ってたから剣士系の才能かと思っていたんだが……」


「それは練度が足りない奴の【圧(プレス)】だろ?範囲を狭めれば重力の100倍くらいは負荷かけれるはずだ。」


「マジかよ……。それ使ってたのAランクの魔術師だぞ……。」


「重力魔法得意じゃなかったんだろう。もしくは何か理由があって威力を絞ってたか。」


「いや、そんな……。待てよ?あるか……?」


エリオは何かぶつぶつとつぶやき始める。


「先へ進もうか。エル、【探索(サーチ)】で周囲の環境を探れるか?」


「もうやってる。階段も見つけた。」


「ちょ、ちょっと待って!?階段を見つけたってどういう事!?」


今度は『神狼組』の狐人、ネイが慌てて確認してきた。


「ふっ、私の【探索(サーチ)】は地形状況も確認できる。」


おおう、久しぶりにエルがドやっている。

うぜぇ。


「地形まで……!?【探知(サーチ)】の練度を上げて行けばその域に到達できるのでしょうか?」


「んー……。私が使う【探索(サーチ)】は少し特殊なのだ……。まぁ、練度を上げれば分かるようになるのではないか?」


適当なこと言いやがって……。

ネイさん目をキラキラさせてるじゃねえか。


「エリオ、下層を目指す。でいいんだな?」


『神狼組』のリーダー、狼人のロウが方針の確認をする。

我に返ったエリオが頷く。


「ああ、行ける所まで行く。可能なら原因の除去だ。」


俺たちは道中の魔物を排除しながら一直線に階段を目指す。

道が分かっているって言うのはすごい。

ものの10分ほどで階段へとたどり着く。


俺が【アビス】で階段を探して歩きまわっていたのはいったい何だったのかと思えてくる。

やっぱり40階層ボスの撃破ボーナス回収するべきか……。


『……!?』


そして2階層へ降りていくと、そこには予想だにしていない光景が広がっていた。


「どういうことだ?」


ロウが声を出すが、それに答えられる者はいない。


階段を下りた先、そこも洞窟型ダンジョンが広がっていたが、見渡す限り魔物は1体(・・・・・)も居なかった(・・・・・・)。


「エル、【探索(サーチ)】の反応は?」


「魔物は普通にいるようだ。一番近いので正面の道を曲がったところに2体【骸(スケルトン)】が居る。」


魔物が全く居なくなったというわけではないらしい。

というかそのくらいの分布だと……。


「2階層は正常……ということか?」


「俺もその可能性を考えるな。……もう1階層降りてみよう。」


俺のつぶやきを拾ったのはエリオだった。

どうやら俺と同じ考えに至っているようだ。


「エル、3階層への階段の位置は分かるか?」


「ああ、問題ない。距離もそうない。」


そうして俺たちは3階層へと向かう。

魔物の密度が減ったため、ものの5分で階段へと到達する。


「初見ダンジョンを迷いなく……凄すぎる。」


狐人のネイさんが興奮しているが今は流しておこう。


3階層へと降りた俺たちの眼前には2階層と同じ光景が広がっていた。


「これでほぼ確定だな。」


俺の言葉にエリオが頷く。


「ああ、この異常事態は1階層が原因(・・・・・・)で起こっている。」


俺は天井を見上げた。

ちなみにネイさんは、探索と探知が別スキルであるとは気づいていません。

可哀そうに……


もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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