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41.踏破者、単眼悪魔を討伐する。

「倒せる……のか?」


俺の言葉に困惑しながらエリオが問いかけてくる。


「倒せるな。」


「ど、どうやって?」


「どうやってって……普通に?」


「それを……2人で出来るというのか?」


「ん?俺1人でいいだろう。」


エリオは呆然としている。

『神狼組』をはじめとした他のハンターたちも困惑しているようだ。


「まぁ見てろ。」


俺はそう言うと【単眼悪魔(サイクロプス)】が来るであろう方へと歩いていく。

皆から少し離れた所へ来たタイミングで木々をかき分けて【単眼悪魔(サイクロプス)】が現れた。


【単眼悪魔(サイクロプス)】は俺をターゲットにすると、右腕を大きく振りかぶる。

そして、そのまますさまじい勢いで腕を振り下ろす。

だが、その一撃は俺に届かない。


「【重力相殺(アンチグラヴィティ)】」


俺の使った魔法により【単眼悪魔(サイクロプス)】が浮き上がる。

振り下ろした腕は俺の眼前を通過した。


そして踏ん張りの利かない空中で【単眼悪魔(サイクロプス)】の体がぐるんと回転する。


【重力相殺(アンチグラヴィティ)】は直接攻撃しか使えない奴には凶悪な威力を発揮する。

無重力にして浮かせてしまえば、移動手段がない限り脱出することも出来ないのだ。


そしてちょうど【単眼悪魔(サイクロプス)】が反転して頭が下まで来たタイミングで攻撃を開始する。


【剛力】を使用し切りかかる。


まず目を。

次に耳を。

そして首を。


次々に舞う鮮血。

痛みに叫び暴れる【単眼悪魔(サイクロプス)】。

出鱈目に腕を振り回すも、目も耳も潰された状態でそんなものが当たるわけもない。


やがて【単眼悪魔(サイクロプス)】は静かになった。


【重力相殺(アンチグラヴィティ)】を解除すると、宙に浮いていた巨体が地に落ち地面が揺れる。


俺はシュラに付いた血をふき取り、鞘に納める。



「「「うおおぉぉぉぉおおおおお!!!」」」



後方から雄たけびが聞こえてくる。

おそらくは死をも覚悟したであろう状況が一変したのだ。


「ジーク!!お前【単眼悪魔(サイクロプス)】を単独で討伐しちまうなんてすげぇぞ!!」

「あいつを浮かせたのは魔法か?なんて魔法なんだ?っていうかお前剣士じゃなかったのかよ!!」


ハンターたちは俺を囲い、喜びを爆発させている。

だが、その傍でエリオだけが難しい顔をしている。


「エリオ?」


その様子に気付いたハンターの一人がエリオに声をかける。

エリオは意を決したように俺に問いかけてきた。


「ジーク、余力があるか?」


その一言でその後の言葉を察した俺はゆっくりと頷く。


「【単眼悪魔(サイクロプス)】位なら複数体の対処も可能だろう。」


流石にその答えは予想外だったのか、エリオは苦笑いする。


「……規格外だな。今回はそれに救われたわけだが。」


そこでエリオは全員に聞こえるように少し声を張る。


「聞いてくれ、俺たちは再度ダンジョンへ向かおうと思う。」


エリオの言葉を予想していた者は神妙に頷き、そうでない者は驚いていた。


「ちょっと待ってくれ、撤退するべきだろ。Aランク魔物が出てくるような場所、もっとしっかり準備しないと死んでしまう。」


「本来ならそうだが、今回は異常事態だ。時間を置くとさらに状況が悪化する可能性がある。幸い俺達にはジークが居るから対処ができる。今状況を確認し、可能なら異常の原因の排除をしてしまいたい。」


これにはさすがのハンターたちも黙り込んでしまう。

エリオの言っていることは【単眼悪魔(サイクロプス)】を倒したとはいえ、いつ力尽きるか分からない、素性のよくわかっていないハンターを当てに死地に飛び込むということだ。

【単眼悪魔(サイクロプス)】以上の魔物が出てくる可能性もあるし、俺がそのすべてに対処できる確証も持てないだろう。


やがて一人のハンターが声をあげる。

『神狼組』のリーダーで、狼人のロウだった。


「俺はエリオに賛成だ。だが、大人数では『名無し』の負担も大きいだろう。エリオに俺達、『名無し』の2人で調査続行を提案する。どのみちギルドへの報告も必要だろう?」


エリオも同じことを考えていたようで、表情を変えることなくロウの言葉に頷く。


「皆、それでいいか?」


少し静寂の時間が流れる。

反対意見は挙がらなかった。


「よし、俺と『神狼組』、『名無し』で調査を続行する。ギルド報告組は『銀星』を中心に隊列を組み直して帰還だ。」


ハンターたちは2チームに分かれてそれぞれ行動を開始する。


「ジーク、無理をする必要はない。これ以上は難しいと判断したら言ってくれ。退避する。」


「分かった。一応、こっちのエルも俺と同じくらいには戦える。」


それを聞いたエリオは驚く。

エルをまじまじと見る。


「てっきりサポーターだと思ってたよ。それは心強い。」


「『赤い斧』はどうする?」


ロウがエリオに問いかける。

エリオは少し考えた後結論を伝える。


「調査に協力的なら共闘する。そうでなければ邪魔なだけだ。行動は共にしない。」


「表向き共闘の意を示して裏切ってくるかもしれんし、取得物のちょろまかしもするかもしれんぞ?」


「共闘の場合でも裏切りの警戒は必要だな。それは対魔物にリソースを割かない分、俺と『神狼組』で警戒しよう。取得物については帰還後チェックをかけよう。」


「わかった。それでいい。」


『神狼組』も納得の上で方針が決まったようだ。


「よし、行こう。」


そして俺たちは再度ダンジョン目指して調査を開始したのだった。

サイクロプスさんは可哀そうなことになっていますが、本当は強いんです。

本当です。


もう少し読んでみてもいいと思っていただけましたら評価、ブックマークよろしくお願いします!!

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