表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

14/14

閑話 即位から25年後のアルサ

 ☆☆☆日本2010年代、某大学政治同好会



 ある国で、軍人がクーデターを起こし、政権の中核にいました。


 その軍人は革新的思想の持ち主でした。

 民主化を行い。

 農地改革も行い。地主を解体しましたが、急進的な改革は混乱を招き。

 各地で武装ゲリラが、出没するようになりました。


 その軍人は、自ら作った民主主義の制度により失脚し、少し混乱した後、新たなカリスマが生まれました。


 しかし、最初の方こそ世界でも歓迎されましたが、


 その人物は、現代のヒトラーと言われるようになりました。

 憲法裁判所を停止し、ジェノサイドは、貧困解決のための避妊手術として名を変え、半ば強制的に行いました。国連や日本も支援しました。当時は分からなかったのです。


 貧困層は、ある特定の民族に多かったのです。

 形を変えたジェノサイドとも言われています。


 この一連の動きは、20世紀末から、21世紀に掛けて行われました。


 ナチス的なものは、決して、遠い過去のものではないのです。



「貴女ね。そんな話は、マスコミで報道されていないわよ」


 ・・・そう、この話は、海外のマスコミでは報道される。日本のマスコミでは全く報道されない。


「それよりも、日本のヒトラーはどうするのよ。知子は、デモに参加するの?」


 ・・・あの国で、指導者をヒトラーと言ったら、逮捕状無しで、射殺されるまであるのに、


「しないです。申し訳ありません」


「チィ、何だよ。全く、これからは、若者の時代だ!」

「そうよ。国会前でデモを起こすわよ!」


 実を言うと、

 私は幼少の頃、あの国にいた。父の仕事の関係で、母と一緒に行った。

 最後、政権末期、治安が悪くなって、帰国する前に、首都で強盗にあった。


「(おい、お前ら、日系人か?金を出せ!)」


 銃だ。初めて見た。驚きだ。何も感じない。あまりに現実味がない。

 父さんと母さんは?

 やはり、呆然としている。


 その時、痩せたお爺さんが飛び出てきた。


「(おい!お前ら何をやってんだよ!こんな小さな子がいるのに、恥ずかしくないのか?戦士の誇りはどこにいったのだ!)」


「(だってよ)」


「(いいから、お前ら、逃げろ!)」


「ヒィ、有難うございます!」


 言葉は、通じないが、目線や仕草から分かった。


 あのお爺さんは、強盗に向かって、体を張り守ってくれている。

 腕が、まるで、大リーガーの観客のように動く。

 あっちに行けということだ。


 その後、日本に戻った。

 日本では、あの国の事を調べても、良いことしか報道されていない。


 だから、我家では、海外のテレビをネットで見るようになった。


「あのお爺さん。無事かしら」

「ああ、ああいう勇気のある人もいるのだな」


 ``今日の特集は、ナチスがどうやって政権を取ったかです``


「また、ナチス特集だね」


 欧米人は、ナチスが好きかと思えるほど、このテレビチャンネルでは、ナチス特集が行われている。

 彼らにとっても、遠い過去ではないようだ。




 私は、貧困を解消する方法に興味を持つようになった。


 昭和初期の青森の菊池さん。この人は徴兵で、外の世界を見て、自分の村の貧しさを実感し、共済組合を立ち上げ。政府に経済更生村として、表彰までされた。


 その時、コミンフォルムは、ルイセンコ農法を実証しようとしていた。

 あの悪名高き。餓死者を沢山出した農法だ。スターリンのお気に入りと言うだけで採用された農法で、進化論に共産主義の思想を入れたものだ。

 作物を密集して植えれば、植物は、資本主義的な競争を行わずに、仲良く栄養を分け与え。少ない栄養でも育つように進化するとか言うトンデモ説だ。


 思想はだめだ。革新も保守も信用できない。



 いつか。あの国に行ったときに役に立つかもしれない。

 コンチネンタル航空の立ち直り。

 日本の庄屋の経営方法、

 などなど、


 日本の商社に就職し、いつか、あのときの恩返しを出来たらと思っていたら、

 事故に遭い。



 ☆☆☆ジムザー王宮


「気がついたら、この世界に転生していたみたいなの」


「母上、転生者だったのですね。父上はご存じだったのですか?」

「ああ、教えてもらったさ。結婚を申し込んだ後だが、少しも後悔していない」


「私は、正しく政治を行ってきたつもりだけど、どうしても、見落としや、偏りもあるものなのよ。

 人は、自分が絶対に正しいと思うと、残酷になれるみたいね。だから、少し、間違いがあるかもと思うのよ」


「はい、分かりました・・・でも、母上の治世は、緩やかな経済曲線を描いていますよ」


「それでも、取りこぼした人たちがいるのかもしれない。だいたい、25年が限界かもね。だから、譲位します!」


「母上」

「陛下・・・」


「母上、本音は?」


「フフフ、ハインツと、ベッキーとで、生活防衛ギルドを、王国全土に広げるわ。民はある程度、豊かになったわ。昔は、労務の供出だったけど、今度は、安い会費で、運営できるようにしたいの。でも、その前に、一月ほど、ハインツと旅行します」


 この世界の善良な民を守ろうと決意するアルサであった。

 この後、世界に先駆け。生命保険ギルドが誕生することになる。



最後までお読み頂き有難うございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ