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魔王が現れたから、勇者の子孫らしい俺がちょっくら倒してくる  作者: 堕天の翼のあさぼらけ
ユミコ奪還編~十二宮殿の戦い

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89/221

第89話 勇者だが断りきれなかった。

 神々の仮死の秘法を使ったユミコだが、それは永遠に若さを留めておくモノではなかった。

 生身の人間には三百年しか効果がなく、アバター体に魂を移したというユミコの寿命は、あと1ヶ月もなかった。



「そんな、ユミコが死ぬ。」

 俺はその場に崩れ落ちる。

「本来なら、とっくの昔に死んでる人間。

 そんなに悲しむ事も、なかろう。」

「な、」

 ルギアの何気ないひと言に、俺はキレる!


「ユミコがどんな想いで、生き長らえてきたと思ってるんだ!

 いくら精霊神ルギア様とはいえ、ユミコの想いを踏みにじる権利なんて、無い!」

「ああ、確かにないな。」

 ヒートアップする俺に対して、冷めた口調のルギア。

 これには俺も、出鼻をくじかれる。


「ユミコには、勇者ウラワとともにサーイターマルドを救ってもらった恩がある。

 だから少しの無茶は、聞き入れてもやる。

 だが、行き過ぎた干渉ともなれば、話しは別だ。」

「ちょ、ちょっと待て。」

 俺はルギアの言葉に引っかかる。


「ユミコがかつて救ったサーイターマルド、なんだろ?

 それをルギア様は、滅ぼそうと言うのか?」

「おまえは何を言ってるんだ?」

「だってそうだろ!

 ユミコを捕らえて、俺をここに呼んだ。

 俺をゴーレム達に殺させようとした事は、魔王にサーイターマルドを滅ぼされてもいいって事だろ!」


「はあ。」

 俺の意見に、ルギアは思っくそため息をつく。

「あのね、ユウタ。

 竜王とゴハンとの争いはね、サーイターマルド内の紛争にすぎないの!

 なんでそんな紛争ごときで、サーイターマルドが滅ぶのよ!」


 なんか知らんが、ルギアにキレられた。

 つか、竜王?ゴハン?なんだそれ?


「竜王は、あんた達が魔王と呼んでる存在。

 ゴハンは、あんたんとこの、国王でしょ。」

 そういや、国王はゴハン十六世だったな。

 あらすじにしかない名前だから、瞬時に出てこなかったよ。


「ついでに言うと、勇者ウラワは神武七龍神同士の争いが産んだ厄災から、サーイターマルドを、ひいてはジャパニガルドを救ったのよ。」


 な、なんだそれ?

 なんかスケールのでかそうな名前が、出てきたぞ。


 面食らう俺を見て、ルギアはニヤける。

「なあに?聞きたい事あったの?」

「く、」


 そう前回、ルギアは俺に聞きたい事ないかと、聞いてきた。

 対して俺は、ユミコを返せとだけ、答えた。

 そうだよ、とっととユミコを返せよ。

 こんな所で、興味深い話しを聞いてる場合ではない。

 後からユミコに聞けばいい話しだ。

 だけどルギアなら、ユミコには分からない所まで、知っていそうだ。


「あらあ?

 こういう時って、なんて言うのかしらね?」

「く、」

 知りたい欲求に負けそうな俺を、ルギアはあざ笑う。


「お、教えてください。」

 俺はボソりとつぶやく。

「何か言ったかしら?」

 くそ、俺の心を読めるのに、なんてヤな奴なんだ!


 だけど俺は、ルギアに敗北せざるを得ない。

「教えてください、ルギア様!」

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