第18話 勇者道草食ってたと思われる
カワゴエの村にあるユーズルの墓から、銀の笛を持ち去った俺。
これで銀の笛にあやかった、ユーズル聖地商売は出来なくなった。
まあ、銀の笛自体が盗品だったんだから、勘弁してくれ。
オオミヤ城まで転移の翼で戻った俺だが、これからどうしよう。
エンカウント率の高いユーズルの墓で荒稼ぎ出来たので、所持金も2412円もある。
念願の鎖かたびらが買えるのだが、もうカワゴエの村には行きたくない。
とりあえずカスカベの街で、やくそうを追加調達して、たいまつと転移の翼を買った。
ライトの呪文を覚えたけど、すぐ消えるから、たいまつも有った方がいいと思う。
宿屋に泊まろうかとも思ったが、ヒーリングの呪文で代用した。
本音を言うと、この銀の笛を、いつまでも持っていたくはない。
元々ミイラが握ってた笛だぞ。
こんなん、夜中ひとりで眠れる訳ねーだろ。
俺は森奥のほこらへ急ぐ。
途中で出くわす魔物どもが、もどかしい。
俺に一撃で倒されるくせに、何しゃしゃり出てくんだよ。
ほんとうっとーしい。
雑魚を黙らせる方法って、何かないのかな。
俺は銀の笛を取ってこいと言われた場所に、戻ってきた。
元々森奥にポツンとある、この階段。
見つける事が奇跡というか、今探してみたら、すげー迷ってしまった。
ま、この周りには結界が張られてるのか、空気が違うから、すぐ分かるんだけどな。
結界の中に入れたのなら。
「もう、遅いじゃない、ユウタ!」
階段を降りて地下室に入った俺は、なぜかいきなり怒られた。
「いや、仕方ないだろ、ユーズルの墓がどこにあるのか、分からなかったんだから。」
俺は、声だけで姿を見せない誰かに、反論する。
「あら、墓守はいなかったの?
銀の笛を持て余してたから、銀の笛を取りに来たって言えば、諸手をあげて歓迎されたはずよ。」
「ん?」
なんか知らんが、話しがかみあってないぞ。
「墓守って、なんか傭兵みたいなのが、いただけだぞ。
あそこ、魔物が持ってるお金が、資金源みたいだったし。」
俺は、墓の入り口付近にいたおっさんの事を言ってみる。
「はあ?そんなはずないでしょ!
ユーズルはね、魔物を制御しきれなくなるのを感じて、あのダンジョンを作ったのよ!」
「いや、知らんがな。」
姿無き女性の声に、なぜか怒られる俺。
「嘘ついて、開き直るなんて、最っ底。
あんた、それでも勇者ウラワタカスナの子孫なの?」
「いや、知らんがな。」
勇者ウラワの名前出されても、そいつがタカスナって名前だったのも、今初めて知ったわ。
つか、あれってタカサゴって読むんじゃないの?
「そう、折角あなたの仲間になってあげようと思ったのに、無理みたいね。」
姿を見せない声だけの主は、美しい声で、そう告げた。




