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49話  イブの戦後処理

 見つけてくれてありがとうございます

 Twitterから来てくれた皆さん。ようこそお越しくださいました

「いやあのウルシュラ。みっともない所を見せてしまって申し訳なかったです」

 時は12月24日。俗にいうクリスマスイブで、本来笹本達第6艦隊は1月5日まで戦後休暇が与えられているのだが、一部の人員はちょっとだけ戦後処理が有るので残ってそれをこなしている。

「気にしなくて良いんだよ。元気になったならそれが一番さ」

 ウルシュラの笑顔はいつも豪快で歯ががバッと出る。下品だ。しかし今日に限っては笹本にとってそんな笑顔が有難かった。

 お薬で眠っていた5時間以外、運ばれている時や病室で二人だけでいた時の記憶はちゃんと残っている。いっそ記憶から抹消してくれたら良いのにとも思わなくも無いのだが、笹本は元薬局務めの時に薬剤師に聞いた事をちゃんと覚えている。

 再発防止と今後そうなる前のセルフ管理の為に、記憶は残しておくのだそうだ。

 それにしたって精神的な病気までが内服薬の投薬だけで1日2日したら完治してしまうだなんて。便利な時代になったものだ。

「ユボーさんもその節はすみません」

「気にしないで。ねえササモト?あなたなんで私の事だけ家名で呼んでいるの?」

「あ。え?」

「あなた日本人同士の時は家名で呼んでいるわよね?大場ファミリー以外は。そして私の事も何故か家名呼びなのよね。なんで?」

「実はさぁ。ユボーさんには苦手意識が有るのとユボーさんは僕のことが嫌いだろうと……」

「嫌っていないわ」

「え?そうなの?結構憎まれ口放り込まれているから」

「あなたの作戦が突飛すぎるからだし、他の艦隊通りには行っていない事が多いからあんな態度しているだけよ。まあ、第6(うち)は特に敵が大きいからまともな戦い方では勝てないから仕方ないのでしょうけど」

「え?嫌っていないの?」

 笹本は冷静なエチエンヌの分析よりも嫌っていないという一言に反応した。

「ええ。私にとって『ユボーさん』って呼びかけられ方、あまり聴き慣れなくて困っているんだけど」

「そうか。では今日からエチエンヌさんと呼ぼうか」

「日本人は結局『さん』を付けるのね。構わないわ。では今後ともよろしくお願いするわ。ケンジサン」

「あ。はい」

 畏まった感じの二人が砕けて見せる事に恥じらいと照れも有ってお互い顔が赤くなる。

「ねえ、なんでいい感じになっちゃってるかな?しかも私の真ん前で?そんな事より笹本君のお部屋のどこにエッチな物隠しているのか聞いてみようぜ!」

 エチエンヌと笹本の顔が一瞬で素に戻る。ウルシュラ・キタ26歳。意外と甘い雰囲気が苦手な女性だ。

 

「で、今向かっている所はっと」

 笹本のやっと出た発言にエチエンヌが答える。

「ええ。東京第6艦隊基地に併設された捕虜収容所の視察と、スタークへの面会よ」

「ああそうでした。でも面会なんてグェン提督の仕事な気がするんだけどな」

「笹本君をご指名なんだってさ」

「今度はご指名ですか仕方ないね」

「愛されてるねぇ笹本君」

「スターク提督からかい?あんまりうれしくない」

 捕虜収容所は病床施設と居住スペースから出来ており、割と何でも出来るように様々な設備や空き地も用意されている。空き地は花や作物でも育ててくれと言うスペースなのだろう。

 笹本達はその病床スペースに向かった。その殆どの捕虜は足などに銃創を受けて未だ療養中だからだ。一応3人とも軍装であり、更に捕虜の全てがナノテクマシンを無効化され、武装は解除されている。万一にも攻撃されるような事は無いだろう。

 実際そうであった。思いのほか捕虜は臆病であり、更に笹本が胸に付けたエンブレムに参っていた。話しかけられることも多かったが憎まれ口よりこんな内容だった。

「ああ、閣下がペテン師、いやサークルリーフの笹本少将でしたか。お初にお目にかかります」

「おお。敵の謀将がお見えだ。敬礼」

 何とも穏やかだ。しかし笹本には一つの疑問が渦巻いた。

「実力主義の公国は人種差別を旨としているんだろ?でも僕は完全な東洋人なんですけど?誰も悪口言わないよね」

 挨拶をしてくる捕虜の人種もまちまちだ。人種差別って何がどうなっているのだろう。

「そうね、どうしてかしら。一度指揮官に話を聞いてみる方が良いわね」

「それが僕からスタークに会いに行く理由付けか」

「そうよ。まあ行ってごらんなさい。意外な先客が居るわ」


 エチエンヌがそういうので病床の最上階にある個室に向かい、ドアをノックすると返事の前にドアが開いた。中から出てきたのはアリーナで、そこには既に小島、叢雲、サントス、小鳥遊が居て意外にも和やかに談笑している。若手の子達も和やかにぬいぐるみを飾ったり寝巻に玩具のアニメキャラの缶バッジを付けたりしている。

「ああ、貴殿は良くお会いしましたな。スタークです宜しく」

「国家連邦政府宇宙軍第6艦隊副提督兼参謀長の笹本です。スターク提督、こうして直にお話しするのは初めてですね」

「うむ。笹本閣下もお人が悪い。ムラクモ嬢が女の子なのだったらそう言ってくれたら良い物を。何度もこの場で謝罪しましたぞ」

「あんなに憎々しげだった提督が、実際会ってみればこの物腰。斬新過ぎます」

「そうそれ。個人的に聞かなければならない事が山ほどあるんですよね」

「ははは構いませんよ。なんなりと。で、このような若い子達に聞かせても良い話なんですかね?あ。ここにいるのは私以外みんな若いか」


 スターク提督は捕虜としての心得である名前と階級以外にもどんどん話してくれた。公国を捨てて亡命するつもりなのだという。

 糖尿病は最近では年間通して内服薬を服用すれば治る病になっている。

 そんな時代にスタークは長年糖尿病に困っているという事が公国に入った理由だったそうだ。糖尿病で自己管理が出来ていないと失職し、仕方なく長時間作業しなければならない職を転々とし、そのお陰で薬を取りにも行けないという悪循環を断ち切れる社会を目指して欲しかったが、実際集まった公国のブレイン達は本当の実力主義者ではなく人種採用枠であぶれた人物たちだったそうだ。

「人種採用枠?」

「ケンジサンの国には無いわよね。フランスには有ったわ。大学や就職の採用枠を実際の国内に住む人種比率に合わせる制度よ」

「ポーランドにはその制度は無かったよ。まあ、受からなかった人にみっちり色々教える教育していたけど」

「私は気にしてなかったな。頭の中は空っぽだからな」

 アリーナは豪快に笑い飛ばした。

 人種で落とされた人物が集まれば人種差別に向かおうとしてしまうかもしれない。

 スタークは病気で振り落とされた人物だ。だから彼は単に病気を嫌っただけの人物だったのだ。

 その割に口から出たスタークの「黄色い小僧」は、パラメスワラでの折はそのような差別主義者が乗組員に多く、しかもそれらの息のかかった親衛隊系統の人物が多数乗りこんでいた為あのように言ってご機嫌を取ったが、今回は差別的でない人物を配下に集め、先に親衛隊を始末(・・)してから投降したのだという。どんな物騒な『始末』をしたのかは聞かないでおこうと笹本は固く誓った。

 そしてその経済力については本人の口から笹本に聞けることは無かった。国家連邦政府から口止めされてしまっているそうなのだ。仕方がない。その辺りは事務局に丸投げだ。


 さて時は12月24日。クリスマスイブだ。多くの日本人乗組員はここで帰るなどとは言わない。海外の乗組員は帰郷しているようではあるが。で、アリーナやその他の面々は笹本が約束していた通り、笹本の実家に招く事になっていたのだ。収容施設を後にしたアリーナが早速サンタコスしてウキウキしている。

「さあ行こうすぐ行こう」

 レンタル車輛は用意されているのだが参加者が増えた。ウルシュラとエチエンヌも同行したいと言いだしたのだ。ただの狭小な公団住宅に何人集まれば気が済むのかと心配になるが、車を2台にして、幸いウルシュラが日本の自動車免許を持っているので皆で笹本の家に向かう。楽しい休暇は始まったばかりなのだ。


 ブックマーク1件頂きました。ありがとうございます。


 読んでくれてありがとうございます

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完結作品

 素人集団!!国家連邦政府宇宙軍第6艦隊奮闘記

https://ncode.syosetu.com/n7603hp/


 ココチュのフェイクニュース

https://ncode.syosetu.com/n7689id/


各種短編

 伯爵閣下がホラ話で領地を盛り上げてみるようですので発表します

https://ncode.syosetu.com/n0773gs/

 

 精霊だらけインタビュー

https://ncode.syosetu.com/n9175hv


 SS 家元になろうよ

https://ncode.syosetu.com/n4840hw/


 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


Twitterやってます。@kokochu539です。

大したことはしていませんが、フォロバは確実です。お気軽にどうぞ

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