46話 陳興道会戦7
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ベトナム宇宙軍応援に駆けつけた第6艦隊は3艦隊を残したベトナム宇宙軍には並ばず、敵の後背を突く形から入る事が出来た。陳興道恒星系を駆け回り、遂にほぼ元居た地点に帰って来て戦闘に及んでいる。
公国側は普段第6艦隊が掲げる赤地に黄色のSではなく、笹本の白地に丸に柏葉一枚紋に反応出来ないでいた。まさか第6艦隊に当たった5艦隊が負けるとも思ってなかったのだろう。わざわざモールストーチ信号でおかえりとまで送ってきた。
その返答はギリギリまで近づいての斉射である。暫く何が起こったのか分からないでいたようだったが、撃ってきた艦隊が丸に柏葉一枚。世界ではサークルリーフ、公国からペテン旗と呼ばれたそれを確認し、1艦隊が慌てて向き直った。それは残念ながらスタークでは無かったが。
「相手が決まったようだね。スタークでは無いけど」
笹本がつぶやくと何故か叢雲が「ちい!」と吐いた。しかし笹本はそこに気に掛けてはいられない。敵の提督がみるみる姿を変え各船団密集体型を取り始めた。ペテン師のやり口を警戒したのだ。
「ユボーさんならあれをどう攻略しますか?」
笹本の問いかけにエチエンヌは答える。
「戦法は正攻法。宇宙方陣にて正面より攻撃」
「じゃあ、そのように頼めるかい?」
笹本がエチエンヌに無造作に参謀長バッジを投げ渡す。
「私が指揮しても急激な変化に耐えられないわ。ちょっと」
「では私がやります。補佐官をお願いします」
叢雲がエチエンヌが咄嗟に握った参謀長バッジをもぎ取り自分の胸に装着した。自分の服にこだわりのない叢雲だが、その日の軍装はノースリーブでベージュ色のワンピースに前が開いて紐で縛るタイプの肋骨服。肩に階級とフサフサ。名称エポレットを取り付けている。
これはモザンピーク宇宙軍出身者が好んで着る女性向け軍装で、叢雲はそれを充分可愛らしく着こなしている。
「ん。では叢雲さん、頼んだよ」
「了解。殲滅します。サントスさん、敵の斉射時は……」
「皆まで言わなくて良いよサナエ。僕に任せて」
「ありがとうございます。本音だけ言えばナイスガイですよ」
「それは最高の誉め言葉だよ。君の為に回避するよ」
そんな甘いお話の間にエチエンヌ・ユボーが宇宙方陣を完成させている。
「准将、さあご命令を!」
エチエンヌの申しようにさすがの叢雲も目をキッとさせて指令を下す。
「各艦前進、敵を殲滅します。航宙隊は発艦。装備は好き放題、斉射は出来るように今から充填、届く武器から攻撃開始です」
叢雲の号令一過駆逐艦のナハトドンナーミサイルが咆哮する。クインカントゥスに当たる確率は若干低めではあるが、再集合を防止する効果は充分にある。ましてや更に接近する第6艦隊は電磁レーザーを撃ち放つ。更にクインカントゥスの合間を第6艦隊の艦船が縫い始める。もうファランクスには戻れない。側方からの攻撃少々と、更にやって来る前方からの攻撃に手前から順次クインカントゥスは押しつぶされるように崩壊し、次々に浸透していく。笹本的には自分に警戒し過ぎてくれたこのバカ提督はありがたい。ここにいる参謀は自分だけではない。
防御のサントス、殲滅の叢雲、やろうと思えば韋駄天のアリーナと突撃の小島も居るのだ。他には……笹本は次なる参謀陣の育成をしなくてはと思っていたが、今はそんな事している場合ではない。叢雲とエチエンヌは真剣そのものなのだ。
押しつぶされた艦船の向こう側にアホの提督はちゃんといた。これも慌てて逃げようとしていたが各やり方が中途半端に過ぎたその提督は 逃げるのも中途半端に過ぎた。向きを変えている瞬間に次々と指揮艦に各種武装が命中し、途中までターンした所を撃沈された。目の前のエンブレムが一斉に消え、コントロールアウトした艦船が何処かに流れ始めた。それでもスタークはまだ現れない。目の前にはもう一人提督が居るのだ。笹本は目の前に居る敵の性格が読み切れない為、叢雲から参謀長バッジを返してもらい、自ら戦闘に当たった。しかしながらこの段階で公国2艦隊に対してベトナム、国家連邦政府連合艦隊は3艦隊。もはや数的優位が覆らない所まで来ていた。
目の前の提督が慌てて宇宙円陣に切り替え防戦を行うも、こちらは最低でも2方向からのクロスファイヤーが出来る構えだ。防御陣にしたところでもうどうしようもない。正面の攻撃力に劣る防御陣形を順次切り崩していくだけだ。
目の前の敵はもはや敵の数には入っていない。笹本は最後の敵になるだろうスタークの心を折る為の布陣を練っている。
「大場忠道さんは戦艦500を連れてこの辺りに」
「ユボーさんも戦艦500を連れてこの辺りに」
「サントス、軽巡洋艦300を連れてこの辺りに」
「航宙母艦はスタークの背後に宙雷をばらまいてください」
笹本プロデュースの豚狩りは目の前にもう1艦隊ある段階から始まっていた。
「各分隊は大至急移動してください。多分あと20分、目の前の敵は持たないから」
各艦が巡航速度まで使って現地に移動する。笹本の悪意ある最終決戦が間もなく始まるのだ
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