29. 驚異の再生能力
オーガ擬は大悟を睨みつけると、全速力でこちらに向かってきた。
「グォォォーン」
巨漢にしては速いな
オーガ擬は、大悟の前まで来ると思いっきり拳を振るう。しかし、大悟は体を後ろに逸らして躱す。
うぉ、すんげぇー風圧
こんなの普通の人間がくらったら一溜りもないな
そのままオーガ擬は2発、3発と拳を打ち込んでくるが、悉く大悟に躱される。
「グォォォーン」
あ、怒った。
怒ったオーガ擬は大悟を掴もうと手を伸ばしてきた。しかし掴む瞬間、横っ腹を大悟に蹴られ数m吹っ飛び、瓦礫の山に突っ込んだ。
「殴る感染者、明らかに今までの感染者とは違うな」
オーガ擬は瓦礫を吹き飛ばして起き上がる。そして、先程と同じ様に大悟に向かって走り出した。
大悟は魔剣エスパースを取り出し、構える。
大悟の前まで来たオーガ擬は、先程と同じように拳を振り上げ殴りかかる。が、大悟はその腕を一瞬で切断した。
切断したその拳は、そのまま下に落ちるかと思われた。が、次の瞬間、再び腕にくっつき再生した。
「な!?」
そして、その拳は何事もなかったかのように再び大悟に向かってきた。
「ちっ」
大悟は体を仰け反らしてギリギリ拳を躱し、そのまま後ろに下がった。
「マジかよ、再生すんのかよ。クソッ、それなら」
大悟はハンドガンを取り出し、オーガ擬の頭に撃ち込み頭を吹っ飛ばした。
「流石に頭が吹っ飛べば」
しかし次の瞬間、首から頭が生えオーガ擬の頭は完璧に再生してしまった。
「おいおい。切断もダメ、破壊もダメ、不死身過ぎるだろ」
大悟が困惑していると、そんな事はお構いなしとばかりにオーガ擬が突進してきた。
せっかちな奴だな
大悟は、オーガ擬の連打攻撃を紙一重で躱しながら考え始める。
丸ごと消滅させちゃえば流石に倒せるとは思うが、それは最後の手段。まずは、他の対処法を探るべきだな
最初に大悟が考えたのは火、氷、雷の攻撃だった。
大悟はオーガ擬から離れ、実験を開始する。
まずは、火。
とにかく火炎弾を撃ちまくり燃やす。しかし、火への耐性は強く、少し焦げ跡が付く程度だった。
次に氷。
切断した部分に撃ち込み一瞬で凍傷させ、細胞を壊死させようと考えたが、オーガ擬は元々死人、細胞など疾っくに死んでいたため効果なし。
クソ、コイツどうやって再生してんだよ
最後に電気。
全身を感電させてみた。すると一瞬動きが止まり、少し苦しんだ。
効いた? 効いたな!
つまり、不死身じゃない部分、もしくは不死身の元凶がアイツの体の何処かにあるんじゃないか? 調べてみるか。
大悟は左手に魔剣エスパース、右手にハンドガンを持ちオーガ擬に猛攻を仕掛ける。
オーガ擬は手足を切断され、頭を吹っ飛ばされるが、すぐさま再生し何事も無かったかのように立っている。それでも大悟は構わず攻撃を続けた。
色んな箇所を何度も何度も切断し、吹っ飛ばす。
すると異変を見つける。小さな、ホント小さな変化、普通の人では見逃しちゃうような。
だが大悟は見逃さない。
大悟が見つけた変化、それは切断された部分が体にくっつく時の動きであった。
今までは切断された部分が動き、体にくっついていた。しかしこの時は違う。体が動き、切断された部分(腕)にくっついていたのだ。
なるほど。今のは、腕の中に寄生虫がいたんだろう。それによって腕が中心(本体)になり、体が腕に引き寄せられたんだな。
しかし、移動する寄生虫か。普通の人間には対処できんだろ
そう思いつつ、大悟は新しく剣を取り出した。
――名刀 瞬速――大悟が持つ十剣の内の1つ。その名の通り、一瞬に近い速度を持ち、その速さから飛ぶ斬撃を生み出す事ができる。
大悟は腰を低くし瞬速を構える。
オーガ擬は大悟に向かって走りだし、大悟に飛びつこうとジャンプした。その瞬間、大悟の右手と刀が一瞬消え、閃光が走る。
気がつくとオーガ擬は空中で格子状に斬られ、100分割にされていた。
大悟は注視する。
100分割された体の中で動かない部分を探す為に。
見つけた。
大悟はハンドガンを構え、動かなかった部分を吹き飛ばす。
するとオーガ擬は再生能力をなくし、バラバラのまま地面に落ちた。
うわっ、気持ち悪。俺がやったんだけど。
しかし、厄介な感染者が出てきたな
大悟はオーガ擬の死を確認し、プリンの元に向かう。
「あ、大悟なのぉー」
「お疲れプリン、助かったよ」
「問題ないのぉー」
「ちょっといいかい?」
リーダー格の男が話し掛けてくる。
「いや、悪いが今人を探してて、あまり話してる時間はないんだ。すぐ探しに戻らないと」
「そうなのか? あてはあるのかい?」
「いや、ないが」
「それなら、俺らの拠点に来てみないか? もしかしたら誰かその人の情報を持っているかもしれない。俺達は情報通なんだ」
「なるほど……分かった」
今は少しでも情報がほしい
大悟は彼らの拠点に付いて行く事にした。
彼らの拠点に着くと、そこはバリケードで固められたビルだった。
「ようこそ、我等ホープの拠点へ」
大悟はリーダー格の男に招かれビルの中に入った。
すると、突如エビスから脳内通信が入る。
「大悟殿、由紀殿を見つけたでござる」
「何、ホントか?」
大悟がエビスの報告に喜んでいると、誰かがビルの入り口が叩く音がした。
リーガー格の男はドアに近付き、ドアを開ける。
するとそこには
「御主人様!」
エリとユリが立っていた。




