1-10 墜落
ーー前回のあらすじーー
なぜニートは非難の対象となってしまうのか、なぜ人々は際限なく働くのか、なぜポテチは食べ始めたら止まらないのか……そんな民衆の疑問を肩代わりして答えを探すべく、ボールは宇宙の彼方へと向かった。
もう地球に戻ってくることは出来ないかもしれない……そう覚悟したボールであったが奇跡の連続により今一度地球の大気圏に突入し帰還を果たそうとしていた!
彼は懐かしき故郷である100エーカーの森に帰ってこれるのか、それとも空中で燃え尽きてしまうのか!?
読者の皆さんは宇宙に行ったらいつも何をしていますか?
作者は地球に向けて「地球の皆さん、バカ野郎!!」と叫んでいます!
では読者の皆さん、嫌いな人間を思い浮かべて宇宙から大気圏へと突き落したら本編へGO!
「うわあぁー!!!!あづいー!!!あづいよー!!!!!!」
四人にはっきりとボールの悲鳴が聞こえる距離まで彼は地上に迫ってきた。
「しかし、何であいつは発火したんだ??」
ヤムチャは走りながら首を傾げた。
「もしかしたら熱圏まで飛んでいってしまったのかもしれないな。……だとしたらとんでもなく高いところまで行ったということになるが。」
「……なるほどその可能性があ……るのか??」
「ネッケン??何それ、おいしいのかしら?」
よしだくんが見解を説明してくれるが、ヤムチャとミーシャの二人には理解できなかったようだ。
「おっ、多分ここから少し先にあいつは落ちてくるなwwよーし!!頑張れボール!!!ゴールはもうすぐだ!!!!」
シンタローは急に声を張り上げた。
「ゴールってなにーーーー!!!???あああああーーーー!!!!」
ドカーーン!!!!!という音ともにボールは地上と激突した。
「「「「あ。」」」」
四人はボールの落下地点を見て動きが止まった。
そこは……スタークの家だった……。
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スタークの家は粉々になり所々で小さな火が出ていたが、家の木材自体は割と綺麗なままで残っているものも多かった。
「すげえww一瞬で粉砕したわwwwあの分だとスタークも粉々だな♪」
真っ先に口を開いたのはシンタローだった。
「ああ、そうだと良いんだがな……この森で一番行きたくねえ場所だが仕方ねえ、ボールがどうなったのかも気になるし様子くらいは見てみるか。」
四人はスタークの家に近づいた。
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「は?何だこれは??」
「どうなってやがる???」
「意味分かんないわ。。」
不思議がる三人の視線の先には、トイレの便座に腰かけて白目を剥き気絶しているスタークがいた。
「何で家がwwこれだけメチャメチャにwwなってるのにあいつはww傷一つ無いんだ??wwwて言うかスタークの奥に倒れてるの誰?wwww」
シンタローが堪えきれず爆笑しながら指差した先には、彼らにとって見覚えのないゴリマッチョが倒れていた。
「この一連の流れを考えればボールでしょうけど……。」
「あいつ、中身はこんなに筋肉質だったんだな……。」
ミーシャとよしだくんは信じられないという顔つきでボールのことをまじまじと見ていた。
「あれだけ激しく燃えてたがボールは生きてるのか……?」
ヤムチャは脈をとってみた。
「奇跡だな……無事みてえだ。とりあえず仰向けにしてと……少し重いな。三人とも手伝ってくれ。」
ヤムチャは人並外れたパワーがあるが、そんな彼に重いと言わせるほどの重量がボールにはまだ残っていたようだ。
「「「「せーのっ!!!えっ……。」」」」
ボールを仰向けにした瞬間、その場にいた全員の表情が凍りついた。
ボールは体の構成成分がほぼ脂肪であった……なので体表が脂肪で覆い尽くされていて、彼の本来の顔(?)が誰にも分からなかった。
その脂肪が無くなり四人とも初めて彼の真の顔を見ることになった。
二重の瞼に高い鼻、整った顎……
「えっ……すっごくイケメンじゃないの!!」
ミーシャは口に手をあて、思ったことをついつい声に出してしまった。
「さすがにこれは……wwwビビったわww」
シンタローはボールの顔の豹変ぶりにかなり引いていた。
「と、とりあえず俺の家に運んで手当てをするぞ、運ぶのを手伝え。」
ヤムチャはとりあえずこの場から早く離れたかったようだ。
何せここはスタークの家だったのだから。
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ボールはヤムチャの家で手当てされたが彼の傷と言えば打ち身と火傷くらいなもので、それ以外に目立った怪我も無かった。
「……これは本当に一体どういうことなんだ??」
よしだくんはさっきからずっと考え込んでいた。
「まあ、よく分からんが(←全く分かってない)奇跡の連続だったんだろ。きっとボールにやり直すチャンスを神様がくれたんだろうな。」
ヤムチャは遠い目をして、天井越しに見えもしない青空を見上げていた。
「にしても男前な顔してるわねー、もうボールって名前で呼ぶの止めようかしら。」
ボールの意識が無いのをいいことにミーシャは延々とボールの顔を凝視していた。
「おいミーシャ、お前は忘れてるようだがボールっていうのはこいつの本名じゃないぞ。」
ヤムチャが呆れ半分で言って、そして続けた。
「確か鯨みたいに油たっぷりだったから……くじらんって昔は呼ばれていた気がするが?」
ヤムチャはそう言う途中に何故か間があった。
首を捻っていたから何か引っかかったのだろう。
同じようによしだくんも、ヤムチャの言ったことにどこか引っかかりを感じていたようだ。
「くじらん……そんな風に呼ばれてたような……違うような??」
ミーシャに至っては「くじらん」という名前の存在すら記憶が危うかったようだ。
「いやいやいやwwwwお前らwwwwくじらんはボールの前の渾名だろwwwwwww」
今までのやり取りを聞いていて、堪えきれずにシンタローの全身から笑いが溢れ出した。
「ああ!そうだった!!……ん?じゃあボールの本名って何だよ……??」
ヤムチャは一瞬合点のいく表情になったがまたすぐに考え込みだした。
「えっ?ww……ww……忘れた。wwwww」
結局、あれだけ偉そうに言っていたシンタローもボールの本名を覚えていなかった。
「仕方ないわね、……ボールに目を醒まさせて聞くしかないじゃない!」
ミーシャが機関銃を構えた。
三人が慌てて飛び掛かりミーシャを止めようとしたが、それと同時にボールの目がぱっちりと開いた。
「……ああ、今何だかものすごい命の危険を感じたんだけど。と言うか……俺は生きてるの??」
ボールはそう呟き、横を向いた。
男三人に押さえ込まれているミーシャ、そして彼女が構えている機関銃はヤムチャの大柄な体に隠されてボールからは見えていない。
「お、おう、ボールお帰r……」
「このシチュエーション、めちゃめちゃ興奮するーー!!」
ヤムチャがボールに話しかけた途端、ボールは何かを勘違いしたらしく鼻血を吹き出して白目を剥いてしまった。
「おいwwwこいつまた気絶しやがった!!w」
「よっしゃーー!!!今度こそ私の機関銃の出番ね!!!!」
ミーシャが機関銃を構え直した。
再び三人がかりでミーシャを力づくで止めようとした。
「ぼ、ボール!め、目覚めろっ!!」
よしだくんはミーシャを押さえ込みながらボールの頬をペチペチと叩いた。
だが、ボールはぴくりとも動かなくなってしまった。
「おぎろつってんだろぉぉぉぉぉーーーー!!!!!!」
負けないで、もう少し……♪
そんなわけで大気圏突入マラソンを無事完走(?)したボールに拍手をお願いします!
↑100エーカーの森では拍手を止めたら機関銃でハチの巣にされるとかされないとか(違)
手っ取り早く痩せようと思ったら燃える(物理)のが良いらしいですよ?
一歩間違えたら痩せすぎて(?)骨だけになりそうですが……。
コストもかからないし世の中にはそういう怪しい店が一軒くらいあってもおかしくないはず!
と言うわけで流行の最先端を捉えて開業するなら今ですよ!!!()
スタークは昼間からトイレで何をしようとしていたんですかねー?
腹が減って便座でも齧ってたのかな???
まあ、人間は雑食だし別にお腹壊したりしないと思いますけど(適当)