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巡り巡る

俺は一度自宅に帰った。


荷物を取りに来たんだ。


父上は出かけているようだ。


「お帰りなさいませ和月様」


家政婦さんが出迎えてくれた。


「山内さん、俺、今日から佐倉家にお世話になるから当分帰ってこられないよ」


「旦那様から聞いております。ささ、さっそく支度をいたしましょう」


「そうか。ありがとう」


俺は部屋に戻って服などの必需品を持って紺屋家を後にした。


しばらく父上と顔を合わせなくて済みそうだ。


それから俺は1人電車に乗って佐倉家を目指した。


地図だとこの辺りのはず。


しかし…


「迷っちまった…」


なんせもう夕方。


暗くなる一方だ。


暗いと道だってわかりずらい。


さらにこの辺りの道は複雑に入り組んでいた。


「参ったなぁ…」


そんな独り言をいってると


「あの…どうかしました?」


と後ろから声がしたので振り返った。


「!!君はさっきの!」


後ろにいたのは2つ結びの女の子。


いじめられていた女の子だった。


千代によく似た雰囲気の女の子。


「あ、さきほどはありがとうございました。それで、あの、もしかして道に迷ったんですか?」


ビンゴです。


「わわっ!も、もしかして図星ですか?」


「うん、わりぃ、その、迷子なんだ俺」


「あわわわ。えっと、どこに行きたいんですか?」


「え、もしかして案内してくれんの?」


「もちろんいいですよ。わたしの家この辺りなので、けっこう詳しいですし」


「ありがとう助かるよ!…えーっと、名前は?」


羽柴巡利(はしばめぐり)といいます。よろしくお願いしますね、紺屋くん」


「あれ?なんで俺の名前…」


「紺屋くんひどいです…一応同じクラスですよ」


「マジか!悪い悪い。俺まだクラスの人の名前覚えてなくてさ」


「ふふ、冗談ですよ。1日でみんなの顔と名前を覚えられる人なんてそうそういませんから」


そう言って笑った顔がまた千代に似ていてドキッとしてしまう。


「あーあのさ、俺、佐倉さんのお宅に行きたいんだけど、わかるか巡利?」


「佐倉さん…はい、わかりますよ」


巡利の表情が少し曇ったように見えた。


「どうかしたのか?」


「いえ、なんでもないです。佐倉さん家なら、この坂を登ってすぐです。一緒に行きましょう」


「巡利、サンキューな」


「困ったときはお互い様です」


それから10分ほど歩いてとある家の前で立ち止まった。


「ここです」


「ここかぁ」


巡利が指指した家はなんとも大きな家だった。


さすが佐倉家ってとこか。


大きな門構えに圧倒される。


家というよりお屋敷という感じかな。


「あ、あの、わたしはこの辺で」


「ああ、ありがとうな、巡利」


巡利は深々とお辞儀をして帰って行った。


送って行ったほうがいいんだろうけど、俺がまた迷子になったらダメだしな…


「よし、行くか」


俺は意を決してインターホンを押した。

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