記憶
「は?」
俺は困惑していた。
お手だと…?
「姫さん、俺はペットじゃないんですよ?」
姫さんは可愛く首を傾げてこう言った。
「似たようなもんでしょ?」
「いやいや、全然違いますよ!?!?」
「別にいいじゃない。ほら、お手っ!いいから!」
俺は差し出されたその小さな白い手に、つい手を乗せてしまった。
「え、ええと…?」
振り返ると、吉倉が驚いた顔でこっちを見ていた。
「紺屋くんが佐倉さんの下僕…?」
や、やばい。
これは小紅の評判が…
しかも、妖魔退治するところバッチリ見られたし…
バキッ
小紅のひと蹴りが吉倉の急所にクリーンヒットした。
「なにやってんだ姫さん!!!」
「いや、頭打ったら記憶消えるかなーって」
「あ!そうか…記憶消せばいいのか」
俺は札を何枚か取り出し、記憶操作の呪文を唱えた。
そして、必要な情報を抜き出す。
「ねーねー、こっちの子は大丈夫なの?」
姫さんが抜け殻みたいだった女生徒を指でツンツンしながら言った。
「大丈夫だ。その子は恐らく魂を抜かれてて、その抜いてた妖魔を倒したから。もうじき目を覚ますと思うよ」
「そう、ならいいんだけど」
「2人が目を覚ます前にここから出ないとな」
「そうね、ところでなんだかアイス食べたくなっちゃったなー」
「え」
「お願いね、和月♡」
下僕というよりパシリな気がするが…まぁ、よしとするか。
これからも姫さんを狙う妖魔は、姫さんが覚醒するまで現れ続けるだろう。
俺は姫さんを守りきれるのだろうか?




