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ミズーリダンジョン攻略~前半~


<ミズーリダンジョン破壊4日前 エリオット教授――研究所>

 闘技大会で優勝した翌日、エリオット教授の研究所を訪れたマコトだったが、入口で教授の助手を名乗る男と揉めていた。


「何で入れてくれないんですか?僕は生徒なので会う権利があると思いますが?」

「教授から3日ほど誰も入れるなって言われてるんだ。ごめんね。」

「(チっ…)わかりましたよ。一度帰りますね。」



 助手の見えない所で零式(存在感をけす)を使って

 …こっそりお邪魔しまーす。

 助手のいる部屋の奥に扉があるからそこにいるのかな?



 …あれ?奥の扉を開けたら地下に階段がある。

 何かヤバイ気がするけど…大丈夫だよね…。


 こっそり地下の研究所に入るとそこには元勇者ソウジ

 ……いや、元ソウジ君が



「アガ…ガ…俺ハ日本トイウ街カラキタ異世界人デ…ガガ…飛行機ヤヘリコプタートイウ乗リ物ガ…兵器ハ銃ヤ爆弾ガガガ…」

「ふむふむ。それは素晴らしいな。」



教授による研究(じっけん)が行われている…恐ろしくて見ていられない…

「アガ………異世界転生トイウ中デオ約束ハ…ガ……アッテ………」



(いや、ダメだ。いくら何でも酷すぎる…彼は何も悪いことをしていないじゃないか。

 それなのにこんな非人道的な扱いを受けるなんて。

 見過ごしていいのか?いや…ダメだ!今すぐにでも辞めさせないと!!)




「グゴ……前ノ世界ニハ12人ノ妻ト48人ノ子供タチガ………サイトウマコト許サナイ……」



……


………



――――よっし。帰ってミズーリダンジョン攻略しなきゃ☆

その日、マコトは嫉妬という悪魔に魂を売ってしまった。




~ミズーリダンジョン地下50階ボス部屋~

何事もなかったかのようにダンジョンを攻略するマコト。主人公がクズすぎて作者が辛くなってくる程である。



「オーラ弾!」


――それにしてもサクサク進めるな。零式のおかげでボス部屋まで無駄に戦闘しなくていいし、ボスはオーラ飛ばせばすぐ倒せるし。

 楽勝だな。オーラ無くなると困るから1日に更新できるのは20階か。


 ドロップ品が宝箱になるのを待つ……うん。出ないってわかってたよ。

 悔しくなんかないんだからね!



~同ダンジョン地下60階ボス部屋~

武器屋で買った武器にオーラ流して攻撃してみるか…。

ダメだな…。耐久力がないのかすぐに折れちゃうみたいだな…。





<ミズーリダンジョン破壊・2日前>


 さて…。既に99階まで攻略したし、いつでも制覇できるな。

 その前にエリオット教授の研究所にもう一度行ってみようかな。

 朝食を食べながら新聞を読むか。



――――元勇者ソウジ 行方不明――――

元勇者ソウジが行方不明となっております。もし何処かで見つけた場合はご連絡下さい。

連絡先は……


……おや?エリオット教授が連れ去ったのは多くの人が目撃しているはずなんだが…どうなってるんだ?とりあえず教授の元を訪ねてみるか。



「エリオット教授居ますか~」

「入りたまえ。」


 研究所の扉を開けるとエリオット教授と助手が珈琲を飲んでいた。


「元勇者のソウジ君はどうされたんですか?」

「ふむ。ついてきたまえ」


 教授が奥の扉を開け、地下へと続く階段を一緒に降りていく。

 どうやら助手は地下研究所には入れないようだ。



「……で、これは何ですか教授?」

「これは…そのだな……。つい熱が入ってしまってだな…。」


 そこには「ボクソウゴ!ヨロシクネ!」と壊れた機械のようにしゃべる元勇者ソウジの姿が。

――一体いったいここで何が行われていたのだろうか。(白目)



「いやぁ、残念ですよ。周囲には人格者で通っているエリオット教授を。まさか死刑台に送る事になるとは…。なんでだろう……目から汗が………。」


「ほう?この男はお前を相当恨んでいたが、構わんのかね?元に戻してしまっても?

 サイトウ・マコト君。」


「ハッハッハ!いやだなぁ教授。僕と貴方の仲じゃないですか。裏切りなんてありえませんよ。2人の秘密にしましょう」


「話が早くて助かるよマコト君、これからも仲良くしようじゃないか」


「「ハッハッハッ!!」」


~~勿論、教授は元に戻すことなどできない。ハッタリではあった。横では「ヤア。ボクソウジ、ヨロシクネ。」と言っている~~



「教授、こいつは何処かに埋めておきましょうか。」

「とんでもない!マコト君、最後にやりたい実験があるから、私に任せると言い。心配ない。明日から2度と(・・・)ソウジ君を見る事はないから安心したまえ。」

「流石(さすが)です教授!」


「「ハッハッハッハッハッ!!」」



「そういえば教授、ダンジョンコアを破壊するとどうなるかご存知ですか?」

「勿論だ。何かしらのユニークスキルを覚えたり、新しい属性の魔法を使えるようになる等だな。

 ダンジョンコアは生活基盤だから、コア破壊の報酬は機密事項だがな。

 おかげで国家にダンジョンコアの破壊は禁止され、大都市のダンジョンコアは私でも手を出せない状態 だ。」



「そうなんですか。無許可で壊すとどうなるんですか?」

「賞金首になるな。おまけにステータスカードに『〇〇ダンジョン破壊者』と出るからどの町にも入れなくなる。」


「教授はステータスカード偽造できないんですか?」

「まあ、一応(・・)は不可能だと行っておこう。まさか貴様ダンジョンコアを破壊する気か?」


「まさか~、そんな事しませんよ。ダンジョンコアは最下層のボス部屋にあるんですか?」

「む?そうだな。だが最下層のボスを倒すとダンジョンコアから魔物が出てくる。それも恐ろしく強いやつがな。

 深いダンジョンになればなるほど強さが増すと言われている。そういう意味ではミズーリのダンジョンも難攻不落だったな。

 Lv100が上限の今はわからないが。|(こいつ絶対にコア壊すつもりだな…)」



「ふ~ん。コアを破壊するとダンジョンは崩壊するんですかね?」

「そうだな。モンスターもいなくなり、その後約3分で崩壊するからその前に転送陣でダンジョンの外へ出ると良い。(賞金首なったら解剖してやるか)」



「あ、ちょっと用事があるのでこれで失礼しますね。」

「待ちたまえ。これをもって行くとい。お守りだ。いつか必ず君の役に立つだろう。中は絶対に開けないように(いや…それよりも有効な手段がある…か)」


 なぜか笑顔だった教授から名刺入れのような物をくれる。


「最後に、君に1つ『良い事』を教えてあげよう」

「なんですか?」

万が一(もし)コアを破壊するのであれば、『アレックスには気をつけろ』」

「???」



 良くわからないな。

 とりあえず、『ダンジョンコアを壊すと賞金首』になるのか。

 だがササーキを許すわけにも行かないし…。

 防具屋で装備だけは整えておくか。



<ミズーリダンジョン崩壊・前日>


 朝食を食べながら新聞を読む


――――世界地図について――――

この世界は大きな5つの島からできているらしい。

今いるのはミズーリ島。5つの大きな島の他に、小さな島が7つあるようだ。


……ん~、次は何処の都市に行こうかな。とりあえず今日ダンジョンコア破壊してから考えよう。

新聞を丸めてゴミ箱へ投げる。ストライク。今日はいい日になりそうだ。



ダンジョンの入口で受付に銀貨1枚を渡し、転送陣へと向かうと、アレックスが待ち構えていた。


「おう! 調子はどうだマコト?! 一緒にダンジョンでも攻略しようぜ?!」

「え?」

「おう! 早く行こうぜ! 99階まで攻略してるんだろ?95階位からにするか!」

「いや、誰も一緒に行くとはいってな……」


 そのまま強引に転送陣まで連れて行かれてしまった。

(なんで99階まで攻略してる事を知ってるんだ?誰にも言ってないのに……)


 背後(アレックス)に気を付けながらダンジョンで戦闘力上げをする。

 念の為にオーラは全身強化しか使っていない。



 なぜアレックスが99階まで攻略していると知っているのか。

 なぜダンジョンに着いてくるのか。

――もしかして教授が? いや。ソウゴの件があるからそれはないはずだ。とりあえず帰ったふりをしてまた来るか。


「とりあえず今日はこの辺で終わりにして帰りますね。」

「おう! じゃあ帰るか!!」


 転送陣で地上に戻りアレックスと別れる。

 が、アレックスは転送陣の前から動かない。


「あれ? アレックスさんは帰らないんですか?」

「おう! ちょっとな!!」

「ではお疲れ様です。」


 帰ったふりをして夜まで零式(気配を消して)を使って見張っていたが、アレックスは転送陣の前から微動だにしなかった(・・・・・・・・・)



<夜・エリオット教授・研究室>


「教授。なんかアレックスが転送陣の前でスタンバってんですけど、裏切りましたか?」

「やはりか。他にも何か言ってなかったか?」


「なぜか僕が99階まで攻略してるの知ってましたね。誰にも言ってないのに」

「ふむ。君は危険者として監視対象になっているようだね。」


「監視対象?どういう事ですか?」

「簡単なことだよ。『アレックスもダンジョンコアだ』という事だ。そして君はコアを破壊する可能性があると考えられ、監視されている。わかるかね?」



…どういう事だ。アレックス()ダンジョンコア?

つまりダンジョンコア=人間って事?



「さっぱりわかりません。説明をお願いしても?」

「ふむ。簡単であれば構わんよ。但し、決して口外しない事を契約してもらうがね。」


教授と口外しない事を契約し、話の内容を聞く。


三行で説明すると

①ダンジョンコアはこの世界で神々の使いを名乗っている。

②彼らはダンジョン経営を行い、人間の育成(・・・・・)をしている。

③彼らの目的はエリオット教授も知らない。

…よくわからないけど③は嘘だと思う。なんとなく。


「とりあえず、ミズーリのダンジョンコア=アレックスという事なんですか?」

「アレックス()と言っただろ。ダンジョンコアはミズリーという奴だな。」


「なんで教授がその事をご存じなんですか?」

「無論、研究したからに決まってるだろ。」



どうやって? と聞こうとしたが怖いから辞めた。



「そんな君に朗報だ。明日の14時からアレックスは1時間だけこの世界にはいない。」

「なぜか理由を聞いても?」


そういう手配(・・・・・・)をしておいたからだ。感謝したまえ」

「……教授もダンジョンコアなんですか?」

「違うな。今日はもう遅い。帰りたまえ。」


 釈然としない(わけがわかない)まま宿屋へと帰宅する。

――つけられてるな。今も宿屋の周辺で見張られているようだ。


 どうしてダンジョンコアを破壊してはいけないのか。

 教授にも見張りはついているのか。

 知らない間に何かに巻き込まれているのか?


 ただ1つだけ言えることは、ダンジョンコアが神様(あの爺)の使いだというなら、僕には壊す理由が増えただけ。それだけだ。


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