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神殺しのクロエって誰ですか?

◇エリオット教授宅


 「で、何の用だね。」

 「教授って聖女とも知り合いなんじゃないですか?」

 「知り合いだが何か問題でも?」



 やっぱりか。教授は何かを知っている。現段階でワズ、アレックス、ミズリー、そして教授の助手がダンジョンコアで確定。つまり聖女も……



 「聖女はダンジョンコアではないぞ。そして|ミズリーも生きている。《・・・・・・・・・・・》正確にはダンジョンコア破壊後、3ヶ月後に生き返ると言っておこう。」

 「ちょっと待ってください!! ステータス偽装しても発覚するのが時間の問題じゃないですか?! どういう事ですか?」

 

 「その前に質問だ。貴様は前の世界で魔王を討伐したな。そしてその後に神を名乗る人物と出会った。そして酷い目に合ってこの世界にきた。ここまではいいか?」

 


 あれ? 魔王を討伐したなんて言ったっけな。この人は何を知っているんだろう。



 「そうですね。」

 「この世界に来たという事は魔王を簡単に倒せたはずだ。その時、なぜ神を名乗る人物を殺さなかった?」



 殺さなかった? どういう事だろう。



 「何でって言われても……。そんな恨みもなかったし。」

 「今は恨みがあると。結論を先に言っておこう。君にはミズリーが復活する前にこの世界で神を名乗る人物を倒してもらいたい。」

 ……話が全く読めない。



 「なぜですか?」

 「そうしないと、貴様は『神殺しのクロム』に目を付けられるからだ。それからでは遅い。先にこの世界の神を倒せ。それでかなりの力を得る事が出来る。今は最善を尽くすべきだ。そうそう。第3の試練は『全盛期の過去(・・・・・・)1年後の未来(・・・・・・)の自分自身との対決』だ。装備なども再現されるぞ。」


 「『神殺しのクロム』って誰ですか??」

 「今は答えるつもりはない。そんな事より今、お前はスキルを得なければならない。過去の自分との対決には勝てるのか?」


 釈然としないが、これ以上聞いても何も答えてくれそうにない。何か取引材料があれば教えてくれるだろうか…。


 「過去の全盛期の自分ですか……。100%勝てないですね。」

 「そうなのか? 開始直後にオーラ弾とやらを出せば瞬殺じゃないのか。」


 「良くて相打ちですね。まず負けます。」



 この世界に来る前の自分か。



 転生初期は魔法を使えるだけで有頂天だった。

 何もない所から火を出せる。それだけで嬉しくてたまらなかった。 「ちょっと待て。」



 「今過去回想しようとしなかったか? 私は暇じゃないんだ。別の所でやれ。そんな事より、魔王をどうやって倒した。そこから話してみたまえ。」



 チッ……。どうあっても過去回想はさせてくれないらしい。



 「世界の異変の前、今と違って何処からでも魔法を出せましたよね?」

 「そうだな。」


 「例えば収納魔法が使えたとします。大きな岩を収納して、出口を相手の上に設定して、上から落とすとかもできましたよね?」

 「場合によっては可能だな。」


 「では、出口を相手の体内に設定する事は出来ましたか? 今の世界は手からしか魔法が出せませんが、例えば相手に傷をつけて、そこに手を突っ込んで大きな岩を出せばどうでしょうか。」

 「なるほど。貴様は元収納魔法の使い手か……」


 「違いますよ。例えばの話ですから。僕は初級の火魔法しか使えませんでした。」

 「なぜ初級の火魔法しか使えないのに今のお前が勝てないんだ。いや待て、まさか……しかしMPの上限があるはずだ。何回まで初級魔法を唱える事が出来た?」


 「大体300までですね。」

 「今のお前はオーラの操作で分身に近い事が出来るはずだ。回避しながらMP切れを狙えば勝てると思うが。何故100%勝てないと言い切れる?」


 「勝てないんですよ。知りたかったら『神殺しのクロム』について教えて下さい。」

 「ダメだ。それはできない。ふむ。だが互いにヒントだけを出し合うのはどうだ? それなら可能だ。」

 

 「いいですよ。ヒントは前の世界では万能回復薬と言われるポーションがありました。数滴飲むだけでMPが全回復するものです。」

 「飲む暇を与えないければいいだろうが。私からもヒントだ。クロムはダンジョンコアを開発した人物の1人だ。そして神を憎んでいる。だが、とある理由で自分ではこれ以上神を殺さない。」


 「ちょっと待ってください。神を憎んでいる。でも自分では殺さない。つまり誰かに殺してほしいって事では? なぜ僕が狙われるんですか?」

 「詳しくはわからん。自分の仲間にでも神殺しをさせるつもりなのかもしれんな。神を名乗る人物の数は決まっているからな。次はお前からヒントを出せ。」


 ここまでで教授のヒントを纏めると

 ①神を名乗る人物を殺すとなぜかパワーアップできる。

 ②クロムは仲間のパワーアップをさせたい??

 ③クロムはなぜかもう神を殺さない。

 わけがわからないが、神を憎んでいるのに神を倒そうとする僕とは敵対する? だめだ。もっと情報がないと分からない。


 「ご存知だと思いますが、ポーションは飲むことで効果を発揮するんです。」

 「まて、わかった。無詠唱魔法だな。」



 もう一部がバレてしまうか。



 「そういう事ですね。」

 「成程な。確かに分身の意味はなさそうだ。相当訓練したという事か。今から仮説を話す。肝心な部分が不明なままだがな。」


 「まず、なぜかお前は敵の体内を発生源に魔法を発動する事ができた。恐らく、敵が何処かに隠れていても気配を感じるだけでソコに叩きこむ事が出来たのだろう。例えばドラゴンは硬い鱗で覆われているが、体の中はそうではない。デリケートな場所に初級魔法を大量に叩きこみ瞬殺していた。」

 「その通りです。基本は50~100連の初級魔法ですね。」


 「だが相手が大勢いる場合は苦戦してしまう。そこで貴様はこう考えたのだ。ポーションを一気に飲まなければいいと。

そしてそれを可能にするために訓練をした。口の中にポーションを含み、少しずつ摂取する訓練を。」


 「正解です。」


 「馬鹿げた発想だが確かに恐ろしい。必殺の魔法を無制限に発動できるのだからな。確かに私でも|少しは苦戦するかもしれない《・・・・・・・・・・・・・》だろう。だが高速で動けば捉えきれないはずだ。此方からの最後のヒントだ。神を名乗る人物を倒すと神か悪魔だと思われる人物と出会う。以上だ。」


 「待ってください。なぜ僕が『神殺しのクロムに狙われるのか』のヒントにしてください。それと、例え高速で動いたとしても僕の100連魔法からは逃げられないと思います。」

 「必中等のスキルか?「いいえ」

未来予測のスキルか「いいえ、僕のスキルは経験値2倍だけでした。」

そうか。わからんな。教えたまえ。」


 「教授からヒントを出す番ですよ。なぜ僕が神殺しのクロムに狙われるんですか?」

 「さあな。暇つぶしじゃないのか。まあ良い。なぜ逃げられないのかは自分で考えるとしよう。次の試練ではこの手紙を試験管に渡したまえ。」


 もしかすると『神殺しのクロムに狙われる』というのは教授の嘘なのでは??


 教授は机の引き出しから手紙を取り出して渡してくれた。



 「暇つぶしですか? そんな理由には思えないのですが。」

 「それ以上質問するな。」


 「嫌ですよ。だって、神殺しが出来るって事は、ここの神の影響を受けない可能性が高いですよね。つまりクロエはレベル上限100や手からしか魔法が出せない等の制約がない可能性が高い。教授も絶対神様を名乗る人物殺してますよね?? さっきの話聞いて苦戦するけど勝てるみたいな事言ってましたし。」

 「それ以上質問するなと言ったはずだが?」



 エリオット教授は今まで手からしか魔法は出していない。だけど、そう見せているだけで、実際は違うんじゃないだろうか。勘だけど、この人も神を名乗る人物を殺していると思う。



 「クロエの外見や特徴を教えてやる。いいか。クロエは外見を変えられる。だが『無駄に馴れ馴れしい』『飄々(ひょうひょう)としている』『語尾を無駄に伸ばす』この3つ内1の特徴を出している事が多い。そして嘘つきだ。話はこれで終わりだ。もう帰りたまえ。」


 「有難う御座います。ちなみに、クロエは解剖しなくていいんですか??」

 「前にも言ったはずだ。私は死にたくないと。」




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