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さよならワズールダンジョン

明日からまた作風ちょっと変わります


 ◇後日、女神の試練会場◇


 「残ったのは6人ですか。」


 その場にいるのは僕、ハワード、クレア、ユウジ(元勇者)、トシロウ(元勇者)、お爺さんだった。

 

 「今回で最終試練です。試練内容単純です。今から7つある部屋の好きな場所に入ってもらい、中にいる人物に勝てば合格です。扉に自分の血を流せば開くようになってますから、準備の出来た方からどうぞ。先着4名様までクリアとします。」


 僕を除いた全員が一斉に扉に入っていく。僕は試験官に教授から渡された手紙を渡す。


 「なんですかこの手紙は……成程、では貴方はこの試験を免除す……」

 試験官が喋っている途中で、元勇者のトシロウが入った部屋がなくなり、トシロウが傷だらけのまま寝ていた。どうやら失神しているようだ。 


 「早いですね。一体何があったのでしょう。とりあえず1名不合格っと」


 その後すぐにハワードが普通に扉から出てきた。

 「なんか中に俺がいたんだけど。楽勝だったけどさ。2番目か、流石マコト。俺のライバルだけあるな。」


 ハワードは今が全盛期だからそんなに苦戦しないだろうと思ってました。でもライバルじゃないですよっと。


 爺さんは全盛期の自分には勝てないだろう、これで残りは4人か。と思っていたら次のクリア者は爺さんだった。


 「いや~苦戦したのぉ~。だが生涯元気のわしは常に全盛期じゃからの~」

 この爺おかしい(・・・・)な。なぜ部屋の中の相手が全盛期の自分(・・・・・・・・・)だと知っているんだ。

 その後もクレア、ユウジの順で部屋から出てきた。これでハワード、爺、クレア、ユウジの順番でクリアだ。


 「ではこれで試練終了です。残念ですがユウジ様は来年再挑戦という事で。ではこの後女神様に会って頂きスキルを貰いましょう。」

 「ちょっと待ってくれんかのぉ~。最後に出てきたのはユウジ君じゃったかの? わしはこう見えてもかなり強い自信があるんじゃ~。どうじゃ、此処は1つわしと戦ってみんか? 場合によってはわしは辞退しても構わんぞ。」


 この爺さんは色々と怪しすぎるが、僕に被害はないので黙っておこう。


 「そうか。悪いな爺さん。試験官もそれでいいか?」

 ソウジは乗り気だ。なぜ爺さんがスキル取得の機会を譲ると言い出すのかに疑問もないらしい。

 「別に問題ないですよ。では部屋を用意しますね。」

 試験官があっさりと了承する。

 おかしい。得体のしれない爺さんに賛同する理由がない。――もしかして試験官とこの爺さんはグルなのか? まさかこの爺さんはクロエ?


 「では、先に3名は女神様にスキルを貰いに行きましょうか。」


 ユウジと爺さんが部屋に入ると試験官から移動するように指示された。できれば爺さん(クロエ?)の戦闘を見たかったけど、まあいいか。さっさとスキル貰いに行こう。


 試練会場の奥に行くと、長く青い髪を腰まで伸ばした綺麗な女性がいる。

 「女神様。今年はこの3人と後から来る1人です。スキルの付与をお願いします。」

 「では、1人ずつ順番に此方に来てください。」


 先頭はハワード、クレアさんで最後に僕と順番に並ぶ。


 女神様がハワードの頭に手をのせて目を瞑るとハワードが淡く光り出した。

 「これで終わりです。どの様なスキルを習得したかはなんとなく理解できているはずです。スキル名はステータスカードで確認してください。」

 「ん……なんとなく危険に敏感になった様な。『危険察知』か……微妙なスキルだな。」


 「そんなことないと思いますよ。その人に合ったスキルが与えられるはずですから。次の方どうぞ。」


 その後、クレアさんもスキルを貰い。いよいよ僕の番だ。女神が頭に手をのせる。

 「はい。終わりです。試練お疲れさまでした。」

 「有難う御座いました。」


 女神の試練も終わったので帰ろうとするとユウゴがやって来た。


 「中々強い爺さんだったぜぇ~。俺にもスキルをくださいなっと。」


 違和感しかない。僕らは試験官の作成した部屋に入っていくユウゴと爺さんを見た。その後にここに来た。だがユウゴは案内なしにこの場所へやって来た。まさか…… 

 危険だが話しかけてみよう。


 「その前にユウゴ君さ、この前『焼き鳥屋卍』で貸した金返してくれよ。割り勘の約束だろ。レシート持ってきてるからさ。」

 「あぁ~、わりぃわりぃ。ほらよ、銀貨10枚だ。釣りはいらねぇ~。」

 「もう2度と会う事もないだろうけどな。酒飲んだら泣く癖なおしとけよ。」

 

 やばいやばいやばい。これは完全に別人だ。でも外見は変えられるけど記憶とかは引き継げないのか。


 「ではユウゴさんには別室でスキルを与えますので、皆さんお疲れさまでした。今日獲得したスキルを世のため人の為に役立てて下さい。」

 なんでこいつだけ別室なんだよ。もう考えるの止めよう。


◇エリオット教授宅

 

 真っすぐにエリオット教授の研究室に来ると、教授は優雅に紅茶を飲んでいる。

 「教授。見てたんですよね。」

 「勿論だ。だが貴様のステータスカードを通してみているから詳しくはわからん。とにかく今はスキルの確認だな。ふむ。2つスキルが与えられているな。しかも1つは見た事がない。興味深いな。ステータスカードを出せ。上書きしてやろう。」


 教授にステータスカードを渡しながら思う。

 「今ステータス読み取るのに、魔法手から出てませんでしたよね??」

 「できたぞ。この|one day diveワンデイダイブというのはどんなスキルだ。」


 無視ですか。そうですか。帰ってきたステータスカードを見る。

 ①魔力操作

 ②|one day diveワンデイダイブ 

 と記載されている。 


 「教授が持ってるスキルとステータス全部教えてくれたら教えます。」

 「ふむ。やめておこう。それより、時間がないからワズールのダンジョンに行くぞ。」

 「時間がない?? どういう事ですか。」

 「元勇者のトシロウがワズールダンジョンで暗殺されるのだ。」


 なぜ教授がそんな事を知っているのか。急ぐとどうなるのか。少し教えて欲しい。


 「私のスキルを1つ教えてあげよう。それは『分析理解』というものだ。これは解剖して分析し、理解する事で分析結果と似た能力を得る事が出来る。そして世の中には『奪取』というスキルや魔法を奪えるスキルも存在する。元勇者は高確率でユニークスキルを持っているから狙われる。以上だ。いくぞ」

  


◇5分前 Side 元勇者トシロウ


 ま、まさかこの僕が落ちるとは。最終試験は過去の自分との対決という酷い内容だったんだな。今と違って痩せていた自分に瞬殺されたんだな。

 無事にスキルを獲得したユウゴのススメで、とりあえず忍者メダルを獲得してから合流という事にしたんだな。このワズールのダンジョンは帰還用の転送陣がないから、1Fからおりていかないといけないのが面倒なんだな。


 「ふーっ、ふーっ、『魔眼』『迅速』。」


 神様から貰ったチートスキル『血の結合者』(ハイブリッド)にストックしてある内の1つ、『魔眼』と僕が使える雷魔法『迅速』でダンジョンの下層まで下りていく。

 この『魔眼』は魔力の流れを見る事が出来るんだな。今は主に素敵に使っているが非常に便利なスキルなんだな。『迅速』は弾丸の様な速さで動ける魔法なんだな。

 あっという間に地下10Fなんだな。ダンジョンボスの扉を開けると忍者がいるんだな。


 「ふーっ、ふーっ、さ、さっさと『だるまさんがころんだ』をするんだな。」

 「残念ながら今回からルールが変更になったでござるよ。拙者と戦って貰うでござる。」


 内容変更か。まあいいんだな。どうせ勝つのは僕なんだな。

 忍者の手から魔力が流れてるんだな。どうせ次元魔法。魔力がこっちに向かって……

 咄嗟に『迅速』で右に飛ぶ。気が付くと左腕が無くなっていた。


 「お、お、お、お前!! 今明らかに心臓を狙った場所に次元魔法を展開したんだな!! どういうつもりなんだな!!」

 「ぶひぶひ五月蠅いでござるな。どうせHPは1だけ残るでござる。さっさと気絶するといいでござる。」 


 き、気絶させた後の事が怖いんだな。こ、ここは仕方ないんだな。ぼ、僕のチートスキル『血の結合者』(ハイブリッド)を使うんだな。

 『血の結合者』(ハイブリッド)はストックしてある5つの内、最良だと思われる2つの能力を選択して両者の能力を同時に引き出す事も出来るんだな(最大2つまで)。

 で、でもこれを使うと人格まで統合してしまう欠点があるから、あ、あんまり使いたくないんだな。


 

 「『血の結合者』(ハイブリッド)



 1つは『魔眼』と『鳳凰結界』が使える『聖獣朱雀』の。もう1つは『魔力操作』のチートスキルを持ったユウゴを結合させる。この2者と自分の能力が混ざった状態が相性最高のはずだ。だけど体がもたない為、この組み合わせだと持って5分という所か。


 「調子にのるなよ。忍者ごときが勇者に勝てるわけねぇだろうが!!」

 「それはどうでござるかな?」


 「くらえ。炎雷(サンダーフレイム)。」


 前に出した両手から無数の炎が雷の様に忍者に襲い掛かる。


 「お返しするでござるよ。次元収納。」

 「無駄無駄無駄無駄ぁぁああああ!!!!!!!!!!」


 『鳳凰結界』の特性で火系の魔法は全て吸収できる。

 炎雷(サンダーフレイム)で使用したMPが戻ってくる。


 「炎雷(サンダーフレイム)炎雷(サンダーフレイム)炎雷(サンダーフレイム)炎雷(サンダーフレイム)炎雷(サンダーフレイム)炎雷(サンダーフレイム)炎雷(サンダーフレイム)。さあ、いつまでお前のMPは持つかな?」

 「チッ……」


 忍者の手から魔力が漏れ出す。次元魔法で攻撃するつもりか。


 「無駄だと言ったはずだ。全て見えている。」


 この世界は手からしか魔法が出せない。だが応用技として手から魔力だけを出し、その先に突然魔法が出たかのように見せる事ができる。だが残念。此方も魔力を出し中和させて相手の次元魔法を封じ込む。


 突然、頭痛と吐き気が襲ってくる……何だ。何もされていないはずだ!!


 「そんなに沢山炎を出したらダメでござるよ。一酸化炭素中毒になるでござる。」――ふざけるな。ファンタジーの世界にそんなことがあってたまるか!!

 

 だが奴は口の中に次元魔法を使っている。別の所から酸素を?


 「突風」――まあいい。仕切り直しだ。風魔法で押し出される様に忍者の元へ。忍者に手を触れ必殺の呪文を唱える。「魔力暴走」――自分の魔力の溺れて死ね。


 「グハッ……」


 全身から血を吹き出し倒れたか……。両手を風魔法で切断して魔法が使えないようにしてやる。ここからは拷問の時間だ。勇者に逆らった罪をお前の体で償って貰おうじゃないか。


 「どうした? さっきまでの威勢の良さは何処にいったんだ?? まさか忍者如きが勇者様に勝てるとでも思ったのかよ。ギャハハハハハッハハハハハハッハハ!!」


 「ギャハハハハハッハハハハハハッハハ!!」




 ◇同時刻忍者(ボス)部屋の前 マコトとエリオット教授


 「ギャハハハハハッハハハハハハッハハ!!」

 

 何をやっているんだトシロウは。立ったまま笑ってるみたいだけど。

 危険な薬でもやっているのだろうか。


 「ふむ。幻覚魔法ではなく、幻覚作用のあるこうが炊いてあるのか。考えたものだな。」

 

 隣でエリオット教授が解説をしてくれる。現在僕らは忍者(ボス)部屋の前で扉を開けずに教授の魔法で中の様子を伺っている。



 「まあいい。面倒だからダンジョンコアを貴様のお得意だった魔法で壊してみるか。」


 『100連上級魔法』


 『ワズールダンジョンのコアが破壊されました。お近くの転送陣から地上へお戻りください。ミズーリダンジョン崩壊までのカウントダウンを開始、残り180秒…179…178……』


 「よし。3分以内にトシロウを解剖してくる。貴様は先に戻っているがいい。」


 そんな……最後の戦闘は僕の思考(至高)バトルじゃないのかよ!!

 なんか第2章の僕の扱い酷すぎないかな。

 教授が『神殺し』してるの今確定したし。

 そもそもなんで連れて来たの? もう身代わりにする気満々の気がしてきたんだけど。


 少なくとも、クロムと教授は上限なくパワーアップしているのだろう。ダンジョンが崩壊する前に教授が『分析理解』で『血の結合者』(ハイブリッド)使えるようになるとか。

 僕も殺されてしまう気がしてきたのは気のせいだろか。


 様々な疑問を残したまま僕は先にダンジョンを出た。


 ダンジョンを出ると出口でステータスカード検問のをしているようだ。

 教授が出てくるのを待ち、一緒に検問へ。無事に帰る事が出来た。



 ◇エリオット教授宅


 「教授は何の魔法を覚えたんですか?」

 「決まっているだろう。次元魔法だ。」


 ここで嘘をつく必要が分からないんだが……。


 「教授は時空魔法を知らなかった。でも次元魔法は知っていた。ダンジョンコアを破壊してまで習得したい魔法は次元魔法(知っている魔法)じゃないですよね。全然信用できない人で残念です。」

 「冗談だよ。冗談。ユーモアだ。今回習得した魔法は重力魔法だな。試しにかけてあげよう。『重力5倍』」


 重い……重いけど、戦闘力をあげるのには便利な魔法だな。

 でもこれは…………。

 「残念だよ。外れを引いてしまったらしい。外れもいい所だ。30倍くらいまですぐできるが喰らってみるかね?」


 時空魔法と比べるとショボい魔法なんじゃないかと思う。


 「嫌ですよ。効果時間はどれくらいなんですか?」

 「検証してみないとわからないな。おい助手、ちょっと来い。」


 別の部屋から白衣を着た助手が入室してくる。この人は……

 「く、く、クレアさんじゃないですか?」

 第2章の出番なしのヒロイン、クレアさんだった。


 「おかしい…私は2章ヒロイン。扱いが……。」

 「良かったな。出番だ。『重力10倍』どんな感じだ? あとでレポートをよこせ。」

 「いや…こんなの……こんなの初めてぇぇ。」


 ゆっくりと仰向けになるクレアさん、だが胸が絶壁の為セクシィ―ではない。


 「余裕そうだな。ふむ。30分はいけるな。どれ、『重力15倍』。」

 「ちょ…教授……らめぇ。これはらめなのぉぉぉぉ。」

 「ふむ。『重力20倍』。」

 「いやぁぁお嫁に行けなくなっちゃうぅぅうう。」


 酷い。酷すぎる。

 クレアさんの性格が。

 ただでさえ『教授の助手』という点で最悪なのに。こんな性格だったなんて。やはりヒロインは巨乳じゃないと出番無いのかな。サヨナラクレアさん。


 「ふむ。20倍で30分持つかどうかだな。次のダンジョンコアに期待しよう。」

 「しゅ、しゅごいのぉぉ。重力がしゅごいのぉぉぉ。」


 よし。クレアさんなんていなかった。これで行こう。 


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