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84. 臨時パーティ編成

 ちなみに、できれば琢郎も神契魔法を習得したいという希望だが。

 講習を受けたリリィによると、


「多分、タクローさんには無理です」


 とのこと。やはりLVアップと同様、魔物(オーク)の琢郎には神も力を貸してはくれないのかと思ったが、どうやらそれ以前の問題。

 なんでも、ギルドで講習の案内を受けようとした時にまず確認されたのが、人間族であるかだったとか。


 神契魔法は元々、エルフのような高い魔力も、獣人のような身体能力も、突出した能力を持たない人間族が神の慈悲を受け生まれたもの。

 よって“人”種であっても、人間族以外の種族にはほとんど適性はなく、仮に習得できても大成はしないということらしい。


「……そういうことなら、しょうがないか」


 と琢郎があきらめの言葉を口にしたことで、話は今後の予定についてに移って最後の課題(いま)に至る。


 神契魔法については、そうは言いつつ念のためと、琢郎は後でやり方を聞いて試すだけ試してみたが、やはり結果は案の定に終わりもする。


閑話休題(それはさておき)



「ゴブリン討伐、か。これまで通り、もし危なくなったら俺が助けに入るようにすれば、なんとかなるんじゃないか?」


 最後の課題を見せられた琢郎はそう答えた。

 具体的な内容は、ゴブリンを4~10匹倒して、その耳を持ち帰ること。

 報酬額は、これまでと同じく掲示された通常の換金額のおよそ倍。相変わらず初心者課題はオイシイ仕事になっている。


「……問題があるとすれば、これかぁ」


 ただし、説明文の最後にはこうあった。


『*ゴブリンは基本的に小集団で行動するため、安全も考慮して経験者の同行が必須。

 本件の希望者はギルドにて仲介を受けること』


 そのための経費は必要ないとも記載はあるが、琢郎が気にしているのはそこではない。


「同行者が俺でいいなら、それでいいんだけど」


 そうでないなら、絶対に琢郎の正体を見られるわけにはいかない第三者が、琢郎たちに同行するということになってしまう。


「やっぱり、これもパスした方がいいですか?」


「……いや、ここで考えてても実際どうなのかわからないし、一度ギルドへ行って確認してから決めよう」


 リリィはこちらの事情を考えて言ってくれるが、琢郎としては(護衛の件はともかくとして)初心者向けの課題にリリィをきちんと最後まで挑戦させたいとも思う。

 これまでリリィが頑張ってきたのに、琢郎の都合で最後を尻切れで終わらせるのは申し訳ない。


 そんな思いもあり、また護衛の件とは多少条件が異なることもあって、結論は先送りにしてギルドへ向かうことに決した。



「……そうですね。そちらの方を信用しないということではないのですが、規則と手続き上、1人はギルドに登録している者を同行していただくことになります」


 ギルドの仲介する見知らぬ相手より、実力も気心も知れた以前からの仲間に同行して欲しい。

 そんな体裁でギルドの受付にこちらの希望を申し出てみたところ、返ってきた答えがこれだった。


 本来なら2人ほどの同行が推奨されるそうだが、そういうことならギルドの登録者は1人でいいとのこと。ただし、そこまでだった。

 一応、見届け人的な役割もあるので、1人はギルドからの者を同行させる必要があるらしい。


「ど、どうしましょう?」


 やはりキャンセルする方がいいだろうか。そんな感じでリリィは琢郎を振り返るが、琢郎は即答しない。

 護衛の件とは、状況が色々と異なる。そのことを琢郎は考えていた。


 まず、期間が短い。

 護衛は数日間の日程だったが、場所にもよるがゴブリンを討伐するだけなら日帰りで済むはずだ。


 人数も違う。

 護衛の件では琢郎たちが多くの他人の中に混じる必要があったが、今回は逆に琢郎たちに1人余所者が加わる格好だ。


 活動内容が戦闘というのはマイナスだが、戦う相手はゴブリンであり、琢郎の役目はリリィのサポートになるだろう。

 戦闘といっても、フードが捲れてしまうような動きをする必要はないはずだ。


「多分……大丈夫だろう」


 正体がバレるわけにはいかないが、そのリスクはそう大きくはないはず。

 そう結論した琢郎は、話を進めるようリリィに答えた。


「……いいんですか?」


 まだ少しリリィは心配する様子だったが、琢郎はあらためて大きく頷いてみせる。

 1人くらいならなんとかなるはずだ。実際、町中で買い物する程度のやり取りでは今のところ誰にも気づかれていない。


「では、適当な者をすぐ手配しますので、少々お待ちください」


 このまま課題の続行を伝えられたギルドの職員は、しばし待つよう言い置いて席を外す。

 ギルド内に今待機している人員に適当な者がいるか確認するようだ。いるならばよし、いなければ今日中に依頼して出発は翌日以降となるらしい。


 待つ間、琢郎は今回も換金部位の表を頭に入れていく。

 だがそれほど時間がかかることなく、10分ほどで職員が戻ってきた。


「お待たせしました。こちらです」


 職員の横には、要所要所を金属で補強した革鎧を身に着けた、女剣士と思しきくすんだ金髪の若い長身の女が立っていた。

新ヒロイン……ではなく一時参加予定ですが、その性別を迷ったのも今回更新が遅くなった一因でもあったり。

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