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月蝕の夜
ミスティリア王女が生まれた夜、
幻影帝国の空から光が消えました。
あの日のことは、
今でも忘れられません。
セレスティア妃は静かに涙を流し、
国王ヴァルディオス様は、
生まれたばかりの王女を見下ろして、
「――成功だ」
とだけ仰ったのです。
あのお二人は、
闇と光を繋ぐための政略結婚でした。
そこに愛はなく、
生まれた王女様へ
愛情が向けられることもありませんでした。
それどころか、
ミスティリア様は“先祖返り”として、
赤子ながら強大すぎる魔力を宿しておられたのです。
人々は王女様を“忌み子”と呼び、
城の裏にある『月影の塔』へ閉じ込めました。
……あの方は、
ただ愛されたかっただけなのに。




