第1話 新城トレイル 11km
レース前日の朝である。例年通り、当レースは翌日の32kmとダブルエントリーしている。昨日の夕方迄に2日分の荷物を大きなバッグに詰めて、今日身に着ける分はバックの傍に用意している。
近くのジム併設の喫茶店経由で駅に向かって歩く。新幹線を乗り継いで15時前にJR飯田線三河槇原駅に到着。駅から徒歩15分、今日の宿泊地モリトピアに到着した。
2年前までは2食付きだったが、昨年からは素泊りしかやっていない。4人以上だと食事を付けるそうだ。何で? どうにも気に入らない。途中の駅で買ってきた色気のない弁当で2日間凌ぐしかない。
2km程度、ウォーミングアップをするつもりだったが、荷物の重さで疲れたようで中止にする。
部屋でレースの装備の確認をしていて、とんでもない事に気づき愕然となる。何と、ヘッドライトを忘れている。明日の11kmは問題ない。2日目の32kmはスマホとヘッドライトを携帯していないと受付で失格になる。さあ、困った。
持つべきは友達である。11km出場の女友達が1人,32kmに出場の知人が1人いる。彼等の援助で何とかなるか。
落ち着いて考えて結論を得た。絶対必要なヘッドライトは11kmに出場のひろみちゃんに借りる事にしよう。彼女は明日、日帰りで出場する事になっている。彼女が前泊でなくて良かった。すぐにメールを送信して了解を得る事ができた。
大相撲TV観戦、入浴、食事の後再び大変なミスに気づく。何とヘッドライトのみならず、スマホとスマートウォッチの充電器も忘れてきている。ヘッドライトは始めから忘れていたが、充電器は荷物の傍に置いといた。にも拘らず荷物に入れるのを忘れたようだ。
スマホは受付時にバッテリーが残っていれば、スタートできる。残っていなければ、32kmに出場の知人に受付前にちょっと借りて受付関門(第0関門)を通過しよう。悪意のない犯罪である。スタートしてしまえば、事故でも起こさない限り使用する事はない。
スマートウォッチはバッテリーが切れた後は記録が取れなくなるし、経過時間も現在時刻も分からなくなるが、他のランナーに訊きながらレースは続けられる。
2レース参戦の見通しだけはついたので、ひとまず安心だ。よし、寝よう。
翌朝8時15分、ひろみちゃんから電話が入った。受付を済ませたようで、部屋に来てもらう事にした。やがて彼氏と共にやって来た。部屋に招いたが食事の邪魔はしたくないそうで、ヘッドライトだけ渡してくれた。ヤレヤレだ。
昨日できなかったウォーミングアップを20分ほどやってみる。好調には遠いが不調という程ではない。ひろみちゃんは体調不良で前々日まで出場を躊躇っていたが、それでも私より先にゴールするかも?
自分としては、最近の調子から判断するとかなり厳しいが、年代別入賞を狙うならば2時間40分を切らねばならない。
定刻、10時スタート。
ひろみちゃんは私より前からスタートした。私はいつも通り後方から。スタート合図45秒後、スタートラインを通過する。24分20秒後、3kmの登山口付近に到着する。ここでいつも通り長い渋滞に遭い、登山口まで30m進むのに10分30秒要した。
登山道に入っても、初めはゆっくりしか進めない。途中から前とも後とも間隔は空いてきたが、それでも少しずつ順位を上げながら、最高地点でありウォーターステーションのある宇連山分岐に辿り着いた。凡そ6km地点である。1時間46分かかっている。
ここからは下りベースになるのであるが、例年1時間10分以上かかっているので、目標達成には程遠いようだ。残念ではあるが、せめて最低3時間は切りたい。
下りベースになりスピードよりも転倒しないように気をつけながらも、少しずつ順位を上げながら歩いたり走ったり。下山が終了したところでゴールの200m手前である。3時間に2分以上あったので少し安心してゴールへ向っていたら、彼氏と歩いて来るひろみちゃんを見つけた。結局レース中は一度も姿を見ないままだった。声をかけたらすぐ気づいて手を振ってくれた。
タイムは2時間59分半ばだった。
入浴後、表彰式を観に行ってみる。トップ選手や自分と同年代の上位のタイムに興味があった。驚いたのは総合3位の男子が小学生だった事。一番拍手が大きかったのは80代の男子が完走(年代別1位)した事だった。




