第13話 魔法使いアリストラは、赤髪が好き
読んでいただきありがとうございます。第六章最終話です。
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「力が欲しいか。」
子供の棺桶を前に泣き伏せる王妃のもとに現れたのは、赤い髪が美しい魔女だった。
不敵な笑みを浮かべる魔女を、王妃は見つめ、頷いた。
その瞳は、復讐に燃えていた。
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結局、オリビアが王妃に力を貸した理由は分からなかった。単なる気まぐれだったのかもしれない。
「きっと転生したとしても、迷惑をかけているに違いないな。」
アリストラは、独り言を呟いた。
しかし、そのような生き方も羨ましい。
ロッタ王国の、王女による反逆は成功した。
城では、王が武装して娘を待ち構えていたらしい。親子の一騎打ちによる勝負で、玉座は王女のものになった。
戦い好きの、王らしい最期だった。
「私は、ここに残るよ。」
王子達は、急ぎ、もうここを立った後だった。
ハイラル王国の王は崩御したとされ、王妃の派閥と王子たちは、やはり戦うことになった。
第二騎士団の一部が北部に残っているが、リリアーナも一緒に残り、北部を守ると言う。
「テッセン卿のことが、心配なので。」
「どうしてこの間から、私のことを気にかけてくれるのかな。」
「私はあなたを救って、運命を変えたいのです。」
リリアーナは笑って、城の門を開けた。
助太刀に行く、魔女たちを見送る。
空はチラチラと粉雪を落とし、地面はうっすらと雪が積もっていた。
白いローブの集団はその中に消えようと、妹弟子に、手を振った。
「好きにしたらいいさ。私が縛るものは、もうないわ。」
「いいなあ。ステラ、俺の鎖は。」
「あんたはまだダメ。」
リリアーナの鎖は、魔法を使ったときに外れてそのままだった。
ステラは、オリビアの責任を取って力を貸すようだ。それとも、王子たちのことを気に入ったのかもしれなかった。
「……アリス。」
サクサクと、霜雪の上を歩き出した魔女たち。
リリアーナは、俺のことを呼び止めた。
雪は粒をだんだん大きくして、頭の上で溶けた。彼女は、それを気にもしない。
寒いのが、苦手なのに。
「小説とは、内容が変わってきているんじゃないの。どうなの。」
「それは、分からないな。自信がなくなってきたよ。」
時が経つにつれて徐々に、前の世界の記憶を思い出せなくなっていた。
小説の内容も曖昧になるにつれて、イリヤ・エリオールに一目会いたいと言う目標も、曖昧になっていった。
それが、自分を見失う様で、怖かった。
「私が言いたいのは、ここがアリスの知っている世界なのか、それに迷い込んでしまったのか分からないけど。」
リリアーナとは、お互いオリビアに拾われてからずっと一緒に過ごしてきた。そういえば、こんなに離れることになるのは、初めてかもしれない。
不安なときは、いつもそばにいてくれた。
「そろそろ、この世界での人生を真剣に生きてみたらどうってことだよ。ステラの一番弟子、アリストラとしての。」
今世での、新たな目標が必要なのかもしれない。ステラの傭兵団には、後継者が必要だった。
向こうでステラたちが、俺のことを呼んでいる。
「リリー、俺がいなくても大丈夫か?」
「大丈夫。エルネン様を頼んだよ。」
人見知りで臆病な女の子は、もうそこにはいなかった。
片目を失った銀髪の剣士は、戦友の背中を押して、見送った。
読んでいただきありがとうございました。次の章が、最終章になります。ラスト5話、よろしければお願いいたします。




