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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第4章 忠星
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主従の会合

祁盈きえい…………周王朝の血筋をしん国の重臣。

楊食我ようしょくが…………周王朝の血筋を汲む晋国の重臣。

欧陽坎おうようかん…………矛の手練者てだれあやかしの短狐たんこしもべに持つ。

藺離りんり…………槍の手練者。妖しの火鼠かそを僕に持つ。萬軍八極ばんぐんはっきょくのひとり。

じい…………欧陽坎の祖父。

 欧陽坎おうようかんは、聞いたこともない生き物の名称に首を傾げた。

「欧陽家にり付いたあやかしじゃよ。かつて、わしじいさんが自在に操ったと聞いておる。ほれ、お前がこの前、納屋なやから連れ出したであろうが」

「――――⁉」

 欧陽坎は、眼をいて息を飲んだ。

「お、俺が連れ出した……? 何を云ってるんだ、爺?」

 祖父は、作業を続けながら聞いた話を思い出すようにして語った。

「お前にいてしまったようじゃな。だが、心配するな。悪さはせん。爺さんが云っておった。己の中に霊気を感じよ――とな。そうすれば、憑いた妖しも自ずと従順となる」

「…………」

 呆気あっけに取られた欧陽坎は、何も云い返せなかった。からだからは疲れが取れていなかったが、その足で近くの山へ向かった。得物は、柄が紺のほこだった。連日見る夢が頭から離れなかった。

 山に入ると、小川のせせらぎが聞こえた。よく仲間と水分を補給するために立ち寄る小川だった。

 欧陽坎は、小川から手で水を汲み取ると口に含んだ。佇立ちょりつして一度深呼吸すると、夢に現れる妖し、短狐たんこを思い浮かべた。

 瞬間、躰に怖気おぞけが走った。

「――――⁉」

 欧陽坎は、眼に映ったものに驚愕きょうがくした。

 左の肩に短狐が乗っている。嬉しそうに欧陽坎の首元を駈け回ると、ぴょんと飛び降り、つぶらな瞳で欧陽坎と対峙した。

「わっ!」

 ひるんだ欧陽坎は、矛先を短狐に向けた。

 短狐は、それにも構わず向けられた矛を駈け上がると、たわむれるように欧陽坎の躰中を駈け回っている。

「なっ⁉ 離れろ! 此奴こいつ、離れろ――‼」

 欧陽坎は、躰の上を駈け回る短狐を振り落そうとしたが、欧陽坎をもてあそぶような短狐は、その頭上にちょこんと乗った。

 あきらめたように欧陽坎の動きが止まった。

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