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報仇の剣 -萬軍八極編-  作者: 熊谷 柿
第4章 忠星
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生業の狩り

祁盈きえい…………周王朝の血筋をしん国の重臣。

楊食我ようしょくが…………周王朝の血筋を汲む晋国の重臣。

欧陽坎おうようかん…………矛の手練者てだれあやかしの短狐たんこしもべに持つ。

藺離りんり…………槍の手練者。妖しの火鼠かそを僕に持つ。萬軍八極ばんぐんはっきょくのひとり。

じい…………欧陽坎の祖父。

 困り果てた欧陽坎おうようかんを招いたのは、祖父だった。祖父は、欧陽坎から獲物のきじ野兎のうさぎを受け取ると、店の裏で血抜きの処理を施した。

「ようやったが、これほどの量では、わしらの晩飯にしかならんな」

 欧陽坎は、ちらと店の中で肉をさばく父親を見遣みやった。

「もっと狩れば、その肉も売り物になるのか?」

 普段から欧陽坎は、不愛想な父の興味をく手立てを考えあぐねていた。

「なる。鹿や猪を仕留められればもっと良いが、お前にはまだ無理じゃろ」

 何気ない祖父の返答に、欧陽坎は笑みをさらすと勇んだ。

 それから、欧陽坎は来る日も来る日も近くの山に入り、獲物を追い求めた。

 収穫は、野兎一羽の日もあったが、手ぶらで帰る日はない。野兎を五羽仕留める日もあれば、雉と野兎が三羽ずつの日もあった。

「欧陽坎の奴、凄えや」

 毎日、棒に獲物をぶら下げ、堂々と持ち帰る欧陽坎に、むらの童子たちは憧れた。

「俺も付いて往って良いか?」

 ある日、欧陽坎に同年代の男児がいてきた。

 兄弟がいない欧陽坎は、悪い気がしなかった。

「ああ。良いぜ」

 狩った獲物の半分を分け与えた。次の日になると、同行したいという男児が増えた。日が経つにつれ、欧陽坎と行動を共にする童子が増え、遂には十人ほどに達した。

 仲間が増えるに従って、欧陽坎は狩った獲物を持って帰ることが減っていった。収穫の少ない日は、新入りの童子から順に獲物を持って帰らせたからだった。

流石さすがは欧陽坎、気風きっぷが良いな」

「そんなことねえだろ。皆で捕まえたんだ。分け前は、順番だ」

 欧陽坎は、童子たちに罠の仕掛け方を教えた。

 すると、複数の組に分かれ、獲物を狩ることができるようになった。大きな獲物も、追う者と待ち構える者に分かれ、集団で狩る方法が身に付いた。四方の山々に罠を仕掛け、日ごとに獲物を追う山を変えていた。

 欧陽坎が十五を数えた頃だった。

 追い立てた獲物は鹿だった。

其方そっちに向かったぞ、欧陽坎!」

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