報仇の猛威
登場人物
介象…………方士。干将、莫邪、眉間尺の三剣を佩びる。萬軍八極の極主。
元緒…………方士。介象の師であり、初代の介象。
娄乾…………剣の手練者。妖しの虎憑耳を僕に持つ。曳影の剣を佩びている。萬軍八極の壱。
鄒兌……医の徒の生娘。妖しの月兔を僕に持つ。萬軍八極の弐。
藺離…………槍の手練者。妖しの火鼠を僕に持つ。萬軍八極の参。
韋震…………双短剣の使い手。妖しの雷公を僕に持つ。萬軍八極の肆。
裴巽…………戟の手練者。妖しの飛廉を僕に持つ。萬軍八極の伍。
欧陽坎…………矛の手練者。妖しの短狐を僕に持つ。萬軍八極の陸。
花艮…………鉞の使い手。妖しの山操を僕に持つ。萬軍八極の漆。
丘坤…………美質な弓の名手。妖しの狻猊を僕に持つ。萬軍八極の捌。
貔貅…………萬軍八極が異界より召喚した戦闘に優れる妖し。萬軍八極の玖。
蚩尤…………邪神。
幾つもの水の弾が蚩尤を襲う。蚩尤は、右の第二腕、その手の中指に人差し指を重ねて念じた。
すると――。
バシャッ――。
宙を舞う水の塊が、力を失ったように地に落ちた。間も置かず、蚩尤が馳せ寄せたのは、欧陽坎の許だった。
「軒轅を消したのは、貴様か」
鋭い水を纏う矛を撥ね上げ、駈け抜け様に胴へ横一線を浴びせる。それだけではない。丘坤が放った矢を胸に突き刺していた。
欧陽坎の脾腹からは、忽ち鮮血が尾を引いた。
摚っと、蚩尤の往く手を阻んだのは、妖しの飛廉だった。肩に担いだ布袋の口を緩める。怒涛の勢いで噴出した突風を事もなげに躱し、馳せ違い様に飛廉を斬り上げる。
その蚩尤に押し寄せたのは、風の斬撃だった。即座に六つの眼がそれを捉えると、左の第二腕、その手の中指に人差し指を重ね、念じた。
ふっと、風の斬撃が消えた。
蚩尤は、烈火の如く馳せ寄る裴巽に狙いを定め、剣を薙ぎ払った。その身に刃は届いていない。
「尊盧は、貴様だな?」
だが、横一閃が走った裴巽の胸元から血飛沫が舞う。空をも斬り裂く閃光のような斬撃、その餌食となっていた。
スパンッ――。
手首が刎ね飛んだ。蚩尤の左の第二腕だった。
剣身が黒く光る。それにも劣らぬ眼光を放った娄乾が、疾風の如く蚩尤に寄せて斬り上げた。
蚩尤に浮かんだのは、嬉しそうな笑みだった。忽ち左の第二腕が再生すると、その掌を娄乾に向けた。
娄乾の背後から跳躍し、蚩尤の前に立ち塞がったのは、韋震だった。逆手に持った二本の短剣で斬り掛かると、蚩尤の背後に現れた雷公が電撃を放った。
刹那――。
蚩尤は、右の第二腕、その手の中指に人差し指を重ねて念じる。電撃は消えていた。
「太皞と嚳を消したのは、匪賊の韋震か」
蚩尤は、さっと半身になると左右の剣を斬り上げた。




